たとえば新しいものを手に入れると、最初はその新鮮さにワクワクウキウキします。そして徐々に、そのアイテムが身体や暮らしになじみ、深い愛着が生まれます。さらにその先に行くと、それがあるのがあたりまえになるか、あるいは、どこかでもっと新しいものに心を惹かれて、飽きて使わなくなってしまう、という展開もあるかもしれません。
新鮮さを楽しむ段階、愛着を深める段階、そして、もうひとつその先の段階。この3つの段階のうち、今はふたつ目と3つ目が大きなテーマとなっているようです。靴ずれをしている段階から「履きこなしている」段階に進み、その靴がないと困る状況を経て、「その先」がどうなるか。その先の展開にこそ、もしかすると、その人の生き方や価値観が色濃く表れることになるのかもしれません。なぜなら、そこにはさまざまな選択肢があり、個人差も大きいからです。
修理しながら長く使う人もいれば、まったく別の形に「リフォーム」する人もいるでしょう。あるいは、処分して新しいものを買う人もいますが、ここでも「まったく同じものを繰り返し買う」人、「まったく違った傾向のものに挑戦する」人、「同じようなものでも、よりグレードの高いものを買う」人など、さまざまな考え方があります。
住処や普段通う場所、身近な人間関係などにも、このことは当てはまるのかもしれません。すでになじんでいる存在、ごく身近な存在との関わりを「どう選ぶか」が、今のタイミングで問われることもあると思います。それは、言わば「生き方を選ぶ」ようなことに繋がっているように見えるのです。