信じてはいけない、料理にまつわる10の迷信。

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卵白を泡立てる時に塩をひとつまみ加える、ワカモレには種を入れておく、鍋に木ベラをのせる……。おばあちゃん直伝の調理のコツの中には、間違っているものがたくさんある。化学者のラファエル・オモンがその一部を紹介する。

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パスタの食感を損なわないために、湯は沸騰させ続けないほうがいい。photo:Getty Images

冷蔵庫の中に、栓の代わりにスプーンを指した前の晩のシャンパンボトルが入ってる? そんなことをしても何の役にも立たない。卵白を泡立てるときに塩をひとつまみ、あるいはレモン汁を少々加える――これも実は効き目はない。分子ガストロノミーに詳しい化学者ラファエル・オモンが、こうしたコツがいかに不条理であるかを説く。あなたが実践していたものはある?

木ベラをのせて、湯の吹きこぼれを防止する。

木ベラがのっていようがいまいが、鍋の湯は吹きこぼれる時は吹きこぼれるものだ。水が沸騰すると、泡が浮き上がってくる。確かにこの時、鍋の上に木ベラがのっていれば、それに接触して弾ける泡も中にはある。しかし、湯が吹きこぼれないようにするにはこれでは不十分だ。専門家のアドバイスはというと、「真の解決策は、温度を管理すること。つまり弱火で湯を沸かすか、あるいは絶えずかき混ぜるかのどちらかでしょう」

調理には沸騰した湯を使う。

料理初心者は沸騰した湯にパスタを投入し、沸騰させたまま茹でるが、その必要はない。というのも、水は沸騰すると100度に達するが、これは大半の食材にとって高すぎる温度なのだ。「調理の間中、湯を沸騰させたままにしておくと、茹で上がった後で食感が損なわれてしまいます」とオモンは言う。つまりパスタはゴムのようになってしまう。パスタを茹でるなら、80度が理想の温度だ。「卵は65度で火が通ります。一方、野菜や米、パスタやクスクスのスム―ルなどのデンプン類は80度で茹でましょう」

シャンパンのボトルに小さなスプーンを差す。

「シャンパンのボトルに小さなスプーンの柄を差して、冷蔵庫に入れなさい」。パーティの後でテーブルを片付ける時に、多くの親が子どもにこう教える。しかし、これはまったく意味がない。「金属がガスの発生を止めるということはありません」とオモンは言い切る。「本当のコツは、液体に圧力をかけること。ソーダサイフォンに入れるのもひとつの手です」。それにしても、どうしてこんな神話が生まれたのか? かつてレストランでは、客からボトルをキープしたいという要望があると、給仕係がボトルの首に名札の代わりのスプーンを差し込んでおいたのだという。「こうしてワインの所有者が誰かわかるようにしたわけです。ワインそのものを保存するためではありません」

マヨネーズを上手に作るために、卵は室温に戻しておく。

マヨネーズの原理は乳化。材料が温かくても冷たくても、乳化作用に影響はない。「オランデーズソースもマヨネーズも、安定性という点では変わりありません」とオモンは言う。ということで、卵は冷蔵庫から出したばかりでも、そうでなくても、結果は同じというわけだ。

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卵白を泡立てるために、塩をひとつまみ加える。

迷信によると、卵白に塩をひとつまみ加えると、塩の電荷が卵のタンパク質に含まれる電荷と結合することで、スムーズに卵白が泡立つのだという。オモン曰く、これは真っ赤な嘘。「むしろ三頭筋を鍛えるか、頼りになるミキサーを用意しましょう」

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卵白は塩をひとつまみ加えても、泡立てやすくはならない。photo:iStock

ポーチドエッグに酢を加える。

初心者に言わせると、ポーチドエッグは料理のエリート向けの一品らしい。そこで初心者は沸騰した湯に酢を加えてみるわけだが、それでも絶対に成功しない。当たり前だ。酢はこの際、何の役にも立たない。「ポーチドエッグを上手く作るコツは、卵を割り入れる前に湯をしっかり沸騰させ、かき混ぜて渦を作っておくことです。湯さえ熱ければ、ほかに何も加える必要はありません」

型にバターを塗る時は垂直に。

型にバターを塗るのにやり方があるなんて、料理初心者には思いもよらないことだ。実はこれには根深い信仰があって、料理学校の生徒たちはいまでも、スフレの型にバターを塗る時は、刷毛を上下に動かして垂直に塗るように教わる。何のためかというと、こうするとスフレがスムーズに盛り上がるのだという。「塗る時の方向が垂直でも水平でも、バターは熱が加わると溶けてしまいますから、スフレが刷毛目の方向に左右されることはありません」

型や魚に小麦粉をふる。

ケーキを型からきれいに取り出すための秘訣は、型の内側にバターを塗った後で小麦粉を薄くふることだったはず。「むしろ逆です」とオモンは断言する。「バターと小麦粉が混ざることで薄い生地ができることになりますから、ケーキ生地によけいにくっついてしまいます」。魚の調理も同じ。「油をたくさん使うなどして上手くいった場合は、まぶした小麦粉のおかげでカリッとした食感の層ができますが、多くの場合は食材がフライパンにくっつきやすくなるだけです」

ワカモレに種を入れておく。

今夜は家に友達を呼んでアペリティフ・パーティだ。朝、仕事に行く前にワカモレを仕込んでおくとしよう。出来上がったワカモレをサラダボウルに移し、真ん中にアボカドの種を入れる。ワカモーレが変色しないためのコツだ。「私もやってる」と言う人も多いだろうが、そんなことをしても無駄だととオモンは言う。「出来上がったワカモレの色が黒くなるのを防ぐのは、抗酸化物質だけ。たとえ種に抗酸化物質が含まれているとしても、それが種から出て全体に浸透することはあり得ません」。目的は酸化を阻止すること。ならば、出来上がったワカモレにレモン汁をふりかけるか、薄く油を塗ったラップで覆う方が効果的だ。

料理をおいしくする「7回」のルール。

よく考えてから話すために、「話し始める前に口の中で7回舌を回せ」ということわざがある。似たような発想からか、料理でも調理する前に米は7回洗うとか、リゾットを作る時はブイヨンを7回に分けて投入する、などと言われてきた。数字は苦手という方々はご安心を。こちらはただの迷信なので、その通りにしたからといって料理の仕上がりよくなるわけではない。

皆さんが実践していたものはあるだろうか? 人々が長い間、引き継いできた料理のコツでも、まったく根拠がなかったりする。料理作りはもっと正確で、もっと簡単なものに感じられるはずだ。

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texte : Mélissa Cruz (madame.lefigaro.fr)

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