野菜、果物、チーズ、魚......秋の食材を楽しむ方法。

Gourmet 2019.10.11

ブドウ、カボチャ、クリ、ナシ、季節のチーズであるモンドール……。気温が下がると、私たちの食事も変化する。秋に食べたい食材とその簡単な調理法のヒントを紹介しよう。

191008-que-mange-t-on-en-automne-.jpgPhoto: Getty Images

夏が去り、秋が到来する。イチゴやトマト、アプリコットにはそろそろさよならする時期だ。収穫の時期、木々にはクリやナッツが実を付け、森の中にはキノコが生え、秋という季節は何かしら私たちを魅了する。秋ならではの野菜や果物、チーズ、魚、肉などを楽しむことができる。

野菜

緑の野菜
スイスチャードやホウレン草は抗酸化成分を豊富に含んでおり、調理方法も簡単だ。パイや野菜カレー、スープ、カネロニ(円筒形のイタリアンパスタ)にも最適である。また、ホウレン草の葉はサラダにも使える。

サラダとスプラウト
クレソンは9月から5月が収穫のピークである。微量元素が豊富な半水生植物であるクレソンは、スープやピューレだけでなく、パイにも使われ、魚と非常によく合う。また、ノヂシャ(マーシュ)は10月から最盛期を迎える。

カルシウムを豊富に含んでおり、肉や魚と合わせるのに最適だ。クリーミーなスープに加えると最高の味となる。そして最後はアンディーブ(チコリ)だ。フランスはヨーロッパの中でもアンディーブの生産が非常に多く、マーケットでもよく見かける。クリスピーなサラダやグラタン、またフライパンで焼いて少しとろけた感じを味わうのもよい。

キャベツ類
キャベツは秋野菜の目玉のひとつだ。緑キャベツ、セルリアック(セロリの根)、ブロッコリー、白キャベツは、生でも加熱しても両方で楽しめ、サラダやクリームシチュー、詰め物などにもよい。また、冬の到来の前に仕込むアルザス料理のザワークラウトの重要な食材のひとつでもある。白キャベツは海外でもよく用いられるため、伝統的な食卓に一味違った料理を加えることができる。芽キャベツは、加熱してもキャベツ独特の臭いは気にならない。蒸したり、サーモンとポワレにしたりしてもよい。

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根菜類

191008-panais.jpgパースニップは、ヘーゼルナッツのような甘い風味を持つ根菜で、近年また人気が出ている。Photo: Getty Images

パースニップ、ニンジン、カブ、キクイモ、西洋ゴボウは、グラタンやクリームシチュー、マッシュポテト、さらにはマフィンなどにおすすめだ。繊細でほんのりジャコウの香りがする根菜類は健康効果も絶大だ。中国人は秋のカブを「小さな高麗ニンジン」と呼び、これもまた驚くほど活力を与えてくれる。鴨のムネ肉とともに冷やして食べたり、マリネにしたり、調理方法はたくさんある。また10月はビーツもおいしい。シンプルにサラダに入れたり、ミモザ風サラダにしたり、エビとゼリー添えにしたり、数多くのレシピに応用可能だ。

カボチャ
カボチャは秋の野菜の王様で、この季節になると食べたくなることを、誰もが認めざるを得ない。

ウリ科に属するカボチャは、ヘーゼルナッツを思わせる甘い風味を持ち、最も健康的でグルメな食材のひとつといえる。10月から1月までは、カボチャ、ソウメンカボチャ、バターナッツカボチャ、パティパンカボチャを使ったスープやポタージュ、グラタンを楽しめる。サツマイモも一緒に調理するのもおすすめだ。

キノコ類
これまで野菜類を紹介したが、キノコは野菜ではない。キノコ類は光や空気なしで成長し、その環境が限界まで成長させる。キノコは大雨の後や気温が低い時など自然の恵みによって地面から出てくる。9月から5月にかけて収穫が可能で、リゾットやファルシなどの料理を楽しめる。ジロール(アンズ茸)やセップ茸、昔ながらのマッシュルームは森の中に広がるキノコの王様たちだ。ただし、森の中を歩く場合はすべてのキノコが食用ではないことに注意してほしい。

デザートにぴったりの秋野菜

中世では、野菜はしばしばデザートとして食べられていたが、現在じわじわとその人気が戻ってきている。秋はお菓子にぴったりな自然の甘さが魅力の野菜でいっぱいだ。人参とホワイトチョコレートケーキは人気だが、それ以外にも人参とレーズンのケーキやオレンジクリームのタルト、アンディーブを使ったイルフロタント(卵白を使ったデザート)、アメリカ風パンプキンパイ、かぼちゃとシナモンのタルトなども魅力的だ。

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果物類

リンゴ、ナシ、マルメロ
リンゴやナシはハイシーズンの9月から5月に購入すると生で手軽に食べられる。デザートにはコンポートがよい。リンゴとマルメロ(西洋カリン)、リンゴとシナモンの組み合わせは非常によく合う。リンゴを使ったタルトタタンや洋ナシのワインコンポート、そしてベルエレーヌ(洋ナシにチョコレートソースをかけたデザート)などもおいしい。

ブドウ
フランスで最も人気のある果物のひとつである。朝食から夕食まで、黒、ロゼ、白とさまざまなブドウを一日中味わうことができる。 9月と10月のぶどうの収穫が有名な南フランスでは、ブドウをクラフティ(カスタード生地にフルーツが入ったフランスの伝統菓子)にしたり、ココナッツとヤギのチーズを使ったケークサレを作ったりする。

クリ

191008-les-chataignes.jpgクリは店頭に並ぶ期間が短い。甘い味付けでも塩味でもおいしい。Photo: iStock

クリ好きはご存知のとおり、秋から冬のはじめまで味わうことができる。スープやポタージュに合い、カプチーノに入れてもよい。ホタテにピューレにしたクリソースを添えたり、七面鳥の丸焼きの中にクリを詰めたりもする。デザートにはクリのムースのスペキュロス(シナモン風味のクッキー)添えがおすすめだ。

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チーズ

チーズにも季節が存在する。秋には、エジー・サンドレチーズ(ブルゴーニュワインでウォッシュしたチーズ)、クレームナンテ(生クリームと白カビチーズを混ぜたもの)、またはオイルでマリネしたヤギのチーズなどを楽しむことができる。有名な秋のチーズ、モンドールも忘れてはならない。モンドールは温めて、パンやジャガイモを浸していただく。10月はブレス・ブルー(青カビチーズ)の季節でもあり、ポワラーヌ(パリで人気のパン屋さん)のパンにのせて食べたり、洋ナシのショーソン(パイ)など加熱調理したりしてもおいしい。

サーディン(イワシの油漬け)やアンチョビ(イワシの塩漬け)はもちろん、魚屋さんにもたくさんの新鮮でおいしい魚が並んでいる。イワシは岩塩に漬け込んでアンチョビにしたり、甘めのピクルスにしたピーマンをサーディンに添えたり、甘めに味付けたオニオンスライスの上にアンチョビをのせたり、シンプルに楽しめる。

そのほかの季節の魚では、サバ、レモンソール、子ダラ、メジナモドキなどがおいしい。

10月は、狩りが開始される時期だ。ヤマシギ、シカ、ヤマウズラ、イノシシ、野ウサギは、シチューにしたり、セップ茸またはクランベリーやジロールなどと調理したり、さまざまな調理方法が可能だ。

ぜひ試してみて!

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texte : madame.lefigaro.fr, traduction : Hanae Yamaguchi

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