おうちご飯が楽しくなる、テイクアウト日記。#05 イタリアン＆中華料理、名店の味をテイクアウト。

多くの飲食店がテイクアウトを継続中。大好きな行きつけから、予約の取れない人気店、近所の隠れた名店まで、フードライターが自らテイクアウトしたおすすめをご紹介。今回は連載「今宵もグルマンド」をはじめ多くのレストランや料理人の取材を行う森脇慶子さんによる、イタリアンと中華の絶品テイクアウトを紹介。

選・文／森脇慶子（フードライター）

ITALIAN

トラットリア ピエトラ ビアンカ（麹町）

プーリア州の郷土料理を自宅で！

「前菜盛り合わせ」￥3,240

今年1月、麹町は日本テレビのすぐそばにオープンした「トラットリア ピエトラ ビアンカ」。都内ではまだ珍しいプーリア州の郷土料理に特化したレストランだ。この4月からはテイクアウトも開始。本間道夫シェフいわく「生もの以外はほぼテイクアウト可能」だそうだが、おすすめは5月から新しく始めた「前菜盛り合わせ」だ。生ハムやコッパをはじめ、アジのオーブンパン粉焼きや桜エビフリット、タコのオイル煮などなど、ざっと11種がぎっしり。なかには、贅沢にも鮨屋垂涎のマグロ仲卸、「やま幸」のマグロを使った自家製ツナと、力強い野菜作りで知られる千葉の農家「キレド」のパプリカとのマリネといった同店ならではの一品も。

また、写真中央のプーリア州原産ブッラータチーズは、鎌倉「ラッテリア べべ カマクラ」の自家製手作りチーズと、素材を選ぶ目利きも確か。しかも、2～3人で十分楽しめるボリュームで￥3,240！　ホームパーティでも活躍してくれそうだ。このほか、自家製パニーニのサンドウィッチも人気。前述のやま幸のマグロで作ったハンバーグやキレドの有機野菜サンドなど4種類が揃う。

「マグロの照り焼きハンバーグパニーニサンド」￥650。そのほかに「ロースカツパニーニサンド」￥650、「ハンバーグパニーニサンド」￥650、「キレド野菜のパニーニサンド」￥600も。

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テストキッチン エイチ（表参道）

名シェフ自慢のラザニアとスープ。

「カニたっぷり！　海鮮のラザニア」（耐熱オーブン皿付き）￥4,500

「いちばんのおすすめはやっぱりこれ、カニのラザニアです」。きっぱりとそう言い切るのは、日本のイタリア料理シーンを牽引してきた山田宏巳シェフ。そのカリスマの味をテイクアウトできるのがここ「テストキッチン エイチ」だ。店先に置かれたテイクアウトメニューには、定番の「六度手間の特製ボロネーゼパスタ」や山田シェフお得意の「漢方三元豚の自家製ハム」、「豚肉と香草の自家製ポルケッタ」などがずらり。

数ある中からこの「カニたっぷり！　海鮮ラザニア」を選んだ理由を尋ねれば、「なんといってもタラバガニがたっぷり100g以上も入っているからね。それも活けを使っているから、旨味がひと味違いますよ」とのこと。確かに、ベシャメルソースを纏ったタラバガニは、ソースのなめらかさに寄り添う優しい甘味が印象的だ。隠し味のアメリカンソースも控えめながらいい仕事をしている。が、それだけではない。旨さのカギは、ソースのベースに用いたタラのブランダードにある。ブランダードとは、タラのすり身とジャガイモ、牛乳を混ぜた南仏の郷土料理（イタリアにも同じくタラをペースト状にしたバカラマンテカートという料理がある）のこと。これがカニとソース、そしてパスタ生地を繋ぐ名脇役となっている。また、冷凍の4種のスープセットは常備しておくと便利なアイテム。なかでも「白インゲン豆のスープ」は、パスタが入った具だくさんの食べるスープ。塩加減も柔らかく豆の素朴な旨味がしみじみと伝わる佳品。肉料理の付け合わせにもおすすめだ。

「白インゲン豆のスープ」は、4種のスープセット（￥3,200）の一品。ほかにニンジンスープ、魚介のスープ、ビシソワーズスープも楽しめる。

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CHINESE

慈華（外苑前）

素材を生かした、滋味あふれるチャイニーズ。

「慈華チャイナ弁当」￥3,240

日本のテロワールと中華料理の融合をテーマに、素材の持ち味を生かした味作りを目指す田村亮介さん。2019年の暮れ、青山にオープンした「慈華（いつか）」のオーナーシェフだ。その思いは、テイクアウトのお弁当にも表れている。たとえば、青椒牛肉。山形のランプ肉を用いたそれは、塊のままの牛肉に低温調理で一度優しく火を入れ、ローストビーフ風に仕上げてから細切りにして、パプリカとさっと炒めるといった具合。さらに味付けも控えめに素早く調理することで、肉は柔らかく仕上がり、本来の旨味がしっかりと伝わってくるというわけだ。

この「山形牛ローストビーフの青椒牛肉」のほか、田村シェフの十八番である「四川麻婆豆腐」「海老・えだの卵炒め」「能登 高農園有機野菜漬物」「くらげ甘酢」「テラマードレ菜心と腸詰め」「佐賀野々香さんの新玉葱とどろぶた焼売」、そして土鍋で炊いた新潟あらやしき農園のコシヒカリの白飯入りといった充実の内容。夏日が続く今日この頃、焼売や漬物、青椒牛肉などをつまみにビールで喉を潤してから、花椒の香り高い麻婆豆腐で白飯を堪能するのも一興。弁当のほか、単品のテイクアウト商品も揃っている。

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赤坂璃宮（赤坂）

知る人ぞ知る絶品弁当が1人前から注文可能に！

「赤坂璃宮弁当」（銀座店のみ）￥2,700　※メニュー内容は一例となります。

ほのかな甘味と香りの中、噛みしめるうち豚肉の旨味がじんわり広がるチャーシュー、きめ細かく柔らかな蒸し鶏に冷めてもなおプリプリの歯ごたえが小気味よいエビのチリソース、そしてさすがのおいしさは五目炒飯だ。パラリと風味よく炒めつつも、どこかしっとりと舌になじむ絶妙のバランス。冷めても旨いと思わせる出来栄えなのだ。これら中華のベストセラーメニューが一堂に会する魅惑のお弁当が、この「赤坂璃宮弁当」。中華料理界の重鎮、譚彦彬氏がオーナシェフを務める、あの「赤坂璃宮」の隠れた銘品だ。というのも、これまでは大口の会議用にのみ用意していた知る人ぞ知る存在だったからだ。それが今回、初めて一般向けにも販売がスタートし、1人前から注文できるのもうれしいかぎりだ。しかも、東京一との誉れも高い焼物をはじめ、ご覧のバラエティの豊かさでなんと￥2,500！　この価格で名店の味を少しずついろいろ楽しめるとあれば、おうちご飯も悪くない。

おせち料理のレベルの高さでも知られる同店だけに、お弁当のノウハウも確か。鶏の唐揚げにしても、油淋鶏風にピリ辛の甘酢タレに絡め、冷めてもおいしく食べられるようアレンジしている。さらに注目したいのは、プラス￥2,700でセットにできる「蟹肉入りフカヒレスープ」。フカヒレが1人前20gも入る贅沢さもさることながら、スープそのものが実に美味。淡麗にして滋味豊か。飲むほどに深みが増していく、そんな味わいなのだ。聞けば、老鶏と豚の赤身肉、金華ハムを約6時間あまり煮込み、布で丁寧に漉してから使う手間のかかった逸品、香港では上湯と呼ばれる最高級のスープだ。また、具だくさんの「五目ビーフン」も隠れたファンの多い佳品。温め直せばよりおいしくいただける。このほかにも、店のメニューはほぼテイクアウトOK。特別メニューや通常のアラカルトをウーバーイーツで注文することも可能だ。

「赤坂璃宮弁当」に、プラス￥2,700で「蟹肉入りフカヒレスープ」をセットにできる。

「五目ビーフン」￥1,944

※この記事に記載している価格は、軽減税率8％の税込価格です。

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