東京で食べるイタリア郷土料理。#09 【イタリア郷土料理】ヴェネツィアの干し鱈ペースト。

Gourmet 2019.10.18

発売中の「フィガロジャポン」本誌11月号は、イタリア特集! それぞれが個性的な町や村がモザイクのように煌めく、イタリアの魅力がぎゅっと詰まった一冊です。オンラインでは、東京のイタリア料理店でいただける、イタリア10州の郷土料理をフィーチャー。ヴェネト州からは、北欧からヴェネツィアに伝えられた干し鱈「バカラ」を使った一品を紹介。

ヴェネト州「バカラマンテカート」

アルヴァ(アマン東京/大手町)

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「バカラマンテカート 鱈とポレンタ ブロッコリーニ」¥2,909。手前右がバカラマンテカート。干し鱈を水で戻し、水と香味野菜とともに炊いた後、オリーブオイルで伸ばしてペースト状にしたもの。

州都は、あのゴンドラの街としても知られる水の都ヴェネツィア。地中海を通じた東方貿易の拠点としても栄えたヴェネト州は、『ロミオとジュリエット』の舞台となったヴェローナや、北イタリア最古の街ともいわれるパドヴァなど、有名な都市が点在する歴史のある場所だ。

このヴェネト州の料理をこよなく愛しているのが、アマン東京のイタリアンレストラン「アルヴァ」の平木正和総料理長。17年に及ぶイタリア滞在中、ヴェネト州には13年もの長きにわたり滞在、研鑽を積んだ経歴の持ち主だ。その平木シェフはこう語る。

「ヴェネトはイタリアのなかでも大きな州。そのためエリアごとにさまざまな料理が存在します。たとえば、アドリア海に面する海岸部ではイカスミのパスタのような新鮮な魚介を使った料理をよく食べるし、内陸部では馬肉などの肉料理が多い……というように。その多様性が特徴のひとつでしょうか。そんなヴェネトの代表的な味といえば、やはりバカラ。干し鱈のことで、これを使った料理やビーゴリと呼ばれるパスタが真っ先に思い浮かびます」

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「スパゲティビーゴリ ポルチーニ茸とアジアーゴヴェッキオ」¥3,795(要予約)。ドライポルチーニソースの風味とパスタの下にひいたチーズソースのコクが味わい豊かな逸品

このバカラ、実は中世ヴェネツィア共和国時代の元首が航海の途中難破し、流れ着いた先の北欧で見つけた干し鱈を持ち帰ったところ、この地に定着したのだとか。なかでも「バカラマンテカート」は家庭でもおなじみの一品。また、ビーゴリはトルッキオという木馬のような器具で、トコロテンのように押し出して作るヴェネツィアの伝統的なパスタ。現在は小麦粉で作るが、昔はそば粉や全粒粉で作っていたそうだ。

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季節の食材をふんだんに取り入れたシンプルで温かみのあるイタリア料理がコンセプト。シェフが客の目の前で料理を取り分けるなどのパフォーマンスも楽しみ。美しい夜景とともに味わいたい

アルヴァ
アマン東京
東京都千代田区大手町1-5-6 大手町タワー33F
Tel. 03-5224-3339
営)11:30〜14:30、17:30〜22:00L.O.
無休
www.aman.com/ja-jp/resorts/aman-tokyo/arva-restaurant

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※この記事に記載している価格は、標準税率10%の税込価格です。

photos : HIROYUKI ONO, texte : KEIKO MORIWAKI

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