細川亜衣、イタリア4州の味を巡って 美食の地ピエモンテの絶品お肉レシピ。
Gourmet 2020.09.20
スローフード運動が始まったと言われる村がある、美食の地ピエモンテ。ここでは牛肉を、さまざまな部位で楽しむ。定番のソース、バニェットを合わせて召し上がれ。
|ピエモンテ
マンマの知恵が光る郷土の味。
ボッリートミストは、ファッソーネと呼ばれるピエモンテ牛の肉のいろいろな部位を味わうごちそう。専門店では、部位ごとに軟らかく茹で、専用のワゴンにのせて供する。家庭で食べるなら、手に入りやすい部位だけでも。最初にスープをいただき、残った茹で肉は、刻んだ生野菜と和えてサラダにしたり、ブロードはリゾットに使ったり、パスタを茹でたりさまざまなシーンで活躍する。必需品のバニェット(ソース)とともに。
Bollito
ボッリート
材料(4人分)
牛肉(スネ、モモなど) 600g
鶏肉(丸鶏、半身、骨付きモモ肉など) 適量
玉ネギ・トマト 各1個
ニンジン・セロリ 各1本
ニンニク 2かけ
黒コショウ 10粒
クローブ 3粒
ハーブ(ローリエ、ローズマリー、セージなど)・粗塩・ソース(下記) 各適量
作り方
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鍋に野菜類とスパイス、ハーブを入れ、かぶるくらいの水を注いで強火で沸かす。
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肉類(鶏肉は余分な脂をのぞいておく)を入れ、灰汁が出たらすくう。ごく弱火にし、随時灰汁をすくいながら2~3時間ほど、牛肉が軟らかくなるまで煮る。
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鶏肉は1時間半ほどで煮えるので、骨から肉が簡単に外れるようになったら取り出しておき、牛肉が煮えたところで鶏肉を戻し入れる。熱々のブロード(煮汁)を漉して、スープ皿に盛り、まずスープをいただく。
- 肉を食卓でさばき、熱々を供する。始めは粗塩で味わい、その後、好みのソースを付ける。
※鶏肉は丸鶏が理想だが、手軽に骨付きモモ肉で、牛肉は手に入りやすい部位を大きな塊で作ってもいい。
粗塩で味わったのち、ソースを付ける。ボッリートをサーブするのは、ひとつの儀式のようなもの。
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Bagnetto Verde
バニェット・ヴェルデ(緑のソース)
材料(4人分)
イタリアンパセリの葉 50g
固くなった田舎パン 20g
赤ワインビネガー 10g
ニンニク小 2かけ
茹で卵の黄身 1個
アンチョビ大 2尾
塩漬けケッパー・トマトソース 各小さじ1
オリーブ油 100g
塩 適量
作り方
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パンは、ひたひたのビネガーにつける。
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イタリアンパセリ、ビネガーを絞ったパン、ニンニク、アンチョビ、塩漬けケッパーを細かいみじん切りにし、卵黄とボウルに入れる。
- トマトソース、オリーブ油を加え、完全になめらかになるまでよくかき混ぜ、塩で味をととのえる。
※トマトソースはなければ省いてもよい。バニェット・ロッソを加えてもよい。
イタリアンパセリはバニェット・ヴェルデのベースに。ソースはハチミツとカラシ入りといったバリエーションもある。
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Bagnetto Rosso
バニェット・ロッソ(赤いソース)
材料(4人分)
玉ネギ・ニンジン・セロリの軸 各100g
ニンニク 1かけ
トマトの水煮 400g
ローズマリー 1枝
バジリコの葉 数枚
赤唐辛子 2本
オリーブ油 40g
塩・コショウ 各適量
作り方
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野菜はすべてみじん切りにする。
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鍋を熱してオリーブ油を入れ、1の野菜を中火で炒める。塩をしてふたをし、野菜が透き通るまで炒める。
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トマトの水煮とハーブ、赤唐辛子、挽いたコショウを加え、ふたをして時々混ぜながら弱火で1時間ほど煮る。甘く香り高いソースになったら、水分が多いようならふたを取って飛ばす。
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ハーブと赤唐辛子を除いてミキサーにかけ、うつわに盛り、仕上げにオリーブ油(分量外)をかける。
※辛いのが好きな場合は、赤唐辛子は種ごとみじん切りにして加えて煮る。
*「フィガロジャポン」2020年8月号より抜粋
photos : MAKIKO OGOMORI, recettes et cuisine : AI HOSOKAWA