東京美的デザイン空間案内。 ベッドに花が咲き誇る、週末だけのフラワーショップ。
Interiors 2018.07.04
建築、内装、そこで働く人が作り出す、美しい空間。そこに足を運べば、ショッピングだけではない特別な体験ができる。色とりどりの花が夢のように美しく咲いているのは、何とベッドの上!?
花だけがカラフルに存在する、親密なグレーの寝室。
エデンワークスベッドルーム
今年2月に2階から3階に移転して、光がより入るようになった。内装はクリエイターのHYOTAが手がけ、グレーに塗られた家具に「市場で、直観で選んでいる」という季節の花たちが生き生きと映える。
フラワークリエイターとして、幅広く活躍する篠崎恵美のフラワーショップ、エデンワークス ベッドルームは一般的な花屋とは趣を異にする。週末のみオープンする店は、築40年のマンションの1室。入口は表通りに面していない3階で、ショップのサインもさりげない。だから、通りがけにふと立ち寄って花を買うのとは違い、ここを目指して、探して来るお客がほとんど。住居と見まがう扉を開けると、いきなり女性の“ベッドルーム”に足を踏み入れることになる。
売る人、買う人という区別なく、対等にコミュニケーションできるように、花を扱う仕事を生業としない人が店番になる日もある。
「自由に花と向き合う、夢を見る空間」というコンセプトから、寝室をイメージした店はグレーの世界。ベッドの上に強度のあるアクリルボックスを被せ、その上に色とりどりの花々が鎮座する。「人はベッドで生まれ、ベッドで最期を迎える。ベッドで目覚め、ベッドで眠る。一生も一日も同じ。その間を精一杯生きている。それは草花も同じだから」と。花が芽吹き、枯れるまでの短いワンシーンに、訪れる人は立ち合うことになる。
音楽も寝室には大切な要素。ジェイムス・ブレイクのビニールレコードがかかり、床にもレコードジャケットが立てかけられている。
ここで売れ残ったり、撮影で余った花を捨てずに再生できる場所として、店から徒歩10分ほどの場所に、ドライフラワー専門店、EW.ファーマシーも昨年オープンした。ここもまたグレーの空間だ。調剤薬局のように5種または10種の花を選んで、透明な四角いパッケージに詰めてくれる。そのまま絵のように壁に掛けてもいいし、取り出して自由に飾ってもいい。束ねてスワッグに、カットしてピンセットで瓶に詰める、花びらのみをオイル詰めにすることも可能。
どちらも花との新しい出合いがある、アートギャラリーのようでもある。
EW.ファーマシーもグレーが基調。衛生的で無機質なガラスの什器に鮮やかな花の色。選んだ花の名前と詳細が書かれた処方箋がつく。
Edenworks Bedroom
東京都渋谷区元代々木町8-8 motoyoyogi leaf 3F
営)13時~20時
休)月~金
tel:03-6407-9554
http://edenworks.jp
EW.ファーマシー
EW.Pharmacy
東京都渋谷区富ヶ谷1-14-11
営)13時~20時
不定休
tel:03-6407-0701
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*『フィガロジャポン』2018年6月号より抜粋
photos : YASUYUKI TAKAGI, réalisation : KANAE HASEGAWA