うつわディクショナリー食堂 #1 ナティーボのイタリア料理をあの人のうつわで

うつわディクショナリー食堂へようこそ

いつも読んでいただきありがとうございます。
うつわ作家さんの生の声と、そのとき開催中の展覧会情報をお届けしているこの連載、すこしの間、ステイホームバージョンでお伝えいたします。名づけて「うつわディクショナリー食堂」。これまでにご紹介した作家さんのうつわ(著者私物)で飲食店のテイクアウトを楽しみ、使いながら、魅力をお伝えできたらと思いました。参考になったら作家名をクリック! その作家さんのインタビューページに飛び込んで、親しまれるうつわが生まれる背景を知っていただけたら嬉しいです。(衣奈彩子)
 
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絶品バターチキンと野菜たっぷりのお惣菜、
評判のイタリア料理を自宅でどう楽しむ?
 
三軒茶屋にあるレストラン「ナティーボ」は、滋味深いイタリアの郷土料理で評判のお店。グランドメニューの中でもひときわ人気なのが、名物ともいえるバターチキン。澄ましバターを何度も何度もかけながら揚げ焼きすることで生まれるしっとりとした食感とバターの香ばしさがたまらない一品です。我が家は、4人家族なので、ほかに、豆類や根菜など4種のイタリア惣菜セット、くたくたブロッコリーのペンネをプラス。お店にピックアップに行くと、普段はイベント時のみ特別に提供される焼き菓子がカウンターにずらりと並んでいて、絶品カヌレをゲットできた。しあわせ……。
 
おうちイタリアンは、陶磁器で。
 
せっかく家でいただくのですから、レストランの白い磁器とは違ったものに合わせてみたい。この頃は気持ちを穏やかに過ごしたいのもあって、若草色はどうかなと思いました。お肉やパスタがあるので、ナイフやフォークを使った時に切りやすかったり、刺しやすかったりするフラットな形状のお皿を投入したいところ。
 
そこで、取り皿を安齋新・厚子さんの青磁のリム皿に決め、それに合いそうな灰釉のうつわをいくつか見てみることに。
 
灰釉とは、木灰、土灰、藁灰など天然の灰を原料とした釉薬で、青磁も草木灰をベースにした灰釉です。灰釉は、材料や土、配合や窯の温度によって、緑っぽく、ベージュっぽく、グレーっぽくと色の出方はさまざまですが、組み合わせると奥行きが増していい感じ。私は、いろいろな作家さんの灰釉のうつわをテーブルの上でいくつも組み合わせて天然色のグラデーションを作るのが大好きです。
 
テーブルの中央にドーンと置きたい前菜のお皿は、林拓児さんの定番オーバルに決めました。歪みのあるフォルムが気が抜けていて、よく見るとわかる貫入(陶磁器特有のひび割れ)もカジュアルな料理にちょうどよいテンション。
 
あとはお洋服をコーディネートするみたいに。
 
さて、このあとはどうしましょうか。たぶん……若草色〜グレーのトーンには、黒が合いそう。食事の時間になんですが、グレーのパーカに黒スニーカーを合わせるような感覚で3名の作家さんの黒を投入することに。異なる黒を組み合わせるときのポイントがあるとすれば、ツヤ感を揃えることかなと思います。つまり今回はマットな黒。
 
ブロッコリーのペンネは、平皿ではなく、二階堂明弘さんのおおらかなリムボウルに盛ることで特別感がアップ。バターチキンは、伊藤環さんの錆銀彩のリム皿でカッコよく。ナイフで切るのでフラットな形状を選びました。銀彩、金彩というように釉薬に金属を使っているものは電子レンジはNG。別のうつわで温めてから盛り付けてください。私はお皿の上でナイフを使ってしまいますが、気になる方は切ってからのせて。
 
デザートのカヌレは、大中和典さんの黒に忍ばせるようなイメージで盛り付けました。こちらのコンポートは漆塗りのようですが、違うのです。黒の釉薬を使いながら漆器のように見せているところが、個人的にツボ。
 
さてはて、イタリア料理だというのに、単色の、ともすると地味なコーディネートになったけれど「ナティーボ」のお料理は、素材の味を引き出したシンプルさが最大の魅力。だからうつわの色は抑えて。トマト系の赤い煮込みのお惣菜も、灰釉のうつわに盛り付けることで「ナティーボ」ならではのやさしい味が引き立つような気がします。お店で食べられない今だから、自分なりにそんな演出もしながら盛り付けるとお店を思いながら美味しくいただけそうです。またお店で食べられる日を楽しみに。
 
ひとり分のテイクアウトならこれがおすすめ。
 
ひとり分なら、バターチキン、イタリア惣菜、自家製フォカッチャの3品がおすすめ。うつわは安齋新・厚子さんの青磁リム皿と菊花皿のセット。カヌレの小皿は、伊藤環さんの「1+0 pottery」から。ワイングラスは低めで気軽に。
 
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【PROFILE】
ナティーボ
東京都世田谷区上馬1-17-8
Tel. 03-6450-8539
テイクアウト販売時間:16:00〜20:00(予約推奨)
定休日:不定期のためインスタグラムで確認を
https://www.instagram.com/nativo_jp/?hl=de
自宅でお店の味を再現できるレシピつきのパスタセットもオンラインで販売中。
テイクアウトメニューや販売期間は、変更の可能性があるので必ず事前に確認をしてください。

photos:TORU KOMETANI realisation:SAIKO ENA

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