うつわディクショナリー食堂 #2 ベトナム料理をあの人のうつわで

うつわディクショナリー食堂#2へようこそ

いつも読んでいただきありがとうございます。うつわ作家さんの生の声と、そのとき開催中の展覧会情報をお届けしておりますこの連載。前回に引き続きステイホームバージョンでお届けします。名づけて「うつわディクショナリー食堂」。これまでにご紹介した作家さんのうつわ(著者私物)を使いながら楽しみたいと思います。うつわが気になったら作家名をクリック!インタビューページに飛び込んで、親しまれるうつわが生まれた背景を知っていただけたら嬉しいです。(衣奈彩子)
 
 
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ハレのうつわをカジュアルに。
ベトナム料理を
染付&色絵でコーディネート。
 
学芸大学駅にほど近い「スタンドバインミー」は、ベトナム料理とフランス産自然派ワインのお店。産直シャキシャキの有機野菜やオーガニック食材を使い、天然酵母を使用したパンにもこだわった数種のバインミーのほか、カレーライスなどご飯ものやおつまみまで美味しいと聞いていつも気になっていました。この日のテイクアウトは、バインミーだけのつもりが、メニューを見ていたら気になって結局いろいろと……。
 
染付&色絵は、ハレの日だけのものにあらず。
 
私は、染付や色絵など絵付けのあるうつわに目がありません。「染付、色絵は、和食のためだけのものにあらず。ハレの日のためだけのものにもあらず」「アジア料理をはじめとする多国籍な献立に使ってこそ、もっともっと楽しく使える」と信じております。というわけで「スタンドバインミー」のベトナム料理をお持ち帰りしながら思い浮かべたのは、家にある数々の絵付けのうつわたちでした。あれにしようか、これにしようか、さあどうしよう。
 
染付とは、白い素地に呉須と呼ばれる酸化コバルトを含んだ青色の顔料で絵付けを施し、透明の釉薬をかけて焼成したもの。そして色絵とは、赤、緑、黄色などの彩釉を用いて釉薬の上から絵付けしたもの。有田焼などが有名ですね。どちらも手が込んでいてとにかくかわいい。いまから400年以上前に朝鮮から日本の有田に技法が伝わったといわれていて、職人仕事の古いものにも人の筆のあとが感じられるあたたかみのあるものがたくさんあります。明治時代頃につくられた印判(スタンプ)柄のものなら、骨董市で手頃な価格で手に入ります。
 
一方、ベトナムは、バッチャン焼と呼ばれる焼物が有名。首都ハノイにほど近いバッチャン村のこの陶磁器は、15世紀ごろに製造が始まったと言われる伝統ある焼物。菊花やトンボモチーフの茶碗や土瓶は、お土産にも嬉しいアイテムですよね。残念ながら私はベトナムに行ったことがないので、バッチャン焼の食器で食べる、ちょっとキッチュで異国情緒あふれるテーブルの雰囲気を、我が家の和のうつわを使って出せたらなあと思いました。
 
まず最初に手を伸ばしたのは、志村和晃さんの染付の浅鉢。人気メニューのチキンライス鴨肉仕立てを盛り付けるのにちょうどいい直径23cm。我が家でよく登場するサイズ感です。バインミーやライスの取り皿は、松浦コータローさん稲村真耶さんのお皿を同サイズで。サイズを揃えることを意識するのは、もはや、一枚ずつお皿を買うときの鉄則でしょうか。違う絵柄や薄さ、素材でも、サイズを揃えて購入しておけば、ひとりひとり違う取り皿になったとしてもテーブルがまとまりますよね。今回は五寸皿です。
 
柄×柄、そしてフレンチのエッセンスも忘れずに。
 
アジア料理を和のうつわでコーディネートする時のポイントがあるとすれば、とことん柄物でいけ!でしょうか。盛り皿も取り皿も薬味入れも、とにかく、柄、柄、柄! 
 
さらに外せないのは、色ガラスを加えること。絵付けの一部から色をとって合わせられたら、尚よし。お皿でもコップでも鉢置きでもなんでもかわいいと思います。透け感のある素材をプラスすることで、プラスチックを加えなくてもキッチュな雰囲気がでてくるのです。
 
今日は、カラーパレットのような色バリエーションが魅力の黒川登紀子さんの赤いプレートに、思い切って水餃子を盛り付けました。ガラスにホカホカの熱いものっていうのも、妙に南国っぽさがあって好きな組み合わせです。耐熱ガラスではないので、熱々の食材を盛り付ける時は、事前にうつわをぬるま湯につけてすこし温めておきましょう。耐熱でないガラスはいれるものとの温度差が大きいと割れることがあるのです。
 
ベトナムは、かつてフランス領だっただけあって「スタンドバインミー」のお料理がベースとしているのもフランス料理。ちょうど今年の初めに大江戸骨董市に行った際、パリからきた「galerie 1月と7月」のブースで(使いこなせるか分からないけれどなんだかかわいくて購入した)フランス製のコーヒーメーカーがあったので、グラス(台湾で購入)にのせてベトナムコーヒーに挑戦してみました。練乳の上にポツポツと時間をかけて注がれる濃いめのコーヒー。初めてにしては、めちゃめちゃ美味しかったです。
 
ひとり分のテイクアウトなら。
 
ひとり分なら、バインミー、自家製水餃子、特製無農薬ポテトサラダ(¥550)でヘルシーに(すべてカットしたり、半量で盛り付けています)。まずは、ベトナムビール(¥660)と熱々の水餃子でまったりと。うつわは黒川登起子さんのガラス器。その他は、さきほど盛り皿にした志村和晃さんの浅鉢を、ワンプレートとして使って。テラスやベランダで食べたくなるこれからの季節にぜひ、染付、色絵のうつわをカジュアルに楽しんでみてください。染付、色絵は、ハレの日のためだけのものにもあらず!
 
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【PROFILE】
スタンドバインミー
東京都目黒区鷹番2-16-23
Tel.03-6451-0827
テイクアウト&デリバリー:11:00〜16:00
定休日:火曜日、第一、第三水曜日。念のためインスタグラムで確認を
https://www.instagram.com/standbanhmi/
直接お店にてオーダー可能。事前に電話注文するとよりスムーズです。数が多い場合は、早めの電話注文をぜひ。
テイクアウトメニューや販売期間は、変更の可能性があるので必ず事前に確認をしてください。

photos:TORU KOMETANI realisation:SAIKO ENA

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