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パリの川村さんちの朝ごはん

サマータイムの朝に、ハーブサラダと自己流オムレツ。

先週の日曜日に、フランスはサマータイムに切り替わった。

3月の最後の日曜日、午前2時に時計の針を1時間早める。そう、その前日までの朝6時は、この日を境に7時になる。それまで6時半に日の出だったのが、いきなり7時半になって、だから、明るかったはずの朝7時が、突然夜明け前へと後戻りする感じだ。毎年のことなのに、そしてたった1時間早まるだけなのに、身体が慣れるのに2〜3日かかる。

3月中はずっとやるべきことが盛りだくさんで、最終週に入ると大詰めを迎えた。5時半に目覚ましをかけ、遅くとも6時には起きるのだけれど、まだ空が暗いうちに窓を開け、少しずつ鳥の囀りが聞こえてきて夜明けが近づく朝の空気は新鮮で嬉しくて、意外にも快調に目覚めている。ただ、暗いうちに電気をつけて朝ごはんを用意する気にはならず、コーヒーに、クッキーやリンゴを少しつまみながら仕事を始め、ひと段落したところで朝ごはんにしてひと息つく。

入稿しなければいけない原稿を書き終え、東京に送ると9時半を過ぎたところだったある朝、とてもお腹が空いていて、ハーブをたくさん食べたい気がした。ジャガイモ、クスクス、それかスペルト小麦と一緒にサラダにしようかと思ったけれど、ただ葉っぱをむしゃむしゃしたくて、ハーブだけでサラダにすることにした。冷蔵庫には、コリアンダーとディル、チャービルがある。とりあえず、葉を摘みながら他のものを考えよう。そう思い、準備を始めた。

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“生ハムがあるからあれで目玉焼きにしようかな”と想像して、“いや、今日の気分は違うな。それよりもぐじゅぐじゅオムレツだな”と思い直す。ぐじゅぐじゅオムレツというのは、私が勝手に名付けているもので、スクランブルエッグよりはとろっとした、オムレツの中身みたいな、でもオムレツのように形作らないで仕上げる卵料理(極めて自己流)だ。卵液をフライパンに流し込み、底が固まらないようにゆる〜く菜箸で崩しながら半分くらい固まってきたら、本当にざっくりと、3箇所くらい底からから返すようにして(私は竹製の深さのない大きなレンゲを使っています)もうそこからは動かさず、表面はまだだいぶトロトロの状態で火を止める、だけ(ポイントは、鉄のフライパンだとふわふわ度が高くなりその分とろっと加減が弱まるので、とろっとさせたい派としてはテフロンをお勧めします)。そして私は、オムレツでもスクランブルエッグでも塩味だけなのがどうも苦手で、砂糖を加えて作る。それに生クリームも。コショウは加えない。食べるときにケチャップもつけない。

卵の黄色はそれだけで幸せな気分になるよなぁといつも思う。その黄色を活かすために、ぐじゅぐじゅオムレツの時は、お皿全体が黄色っぽくなることが多い。“チーズを添えるとして、あとはリンゴもいいな。でも、今日のハーブは青々としているな……”頭の中でイメージして、ちょっと色を薄めたい気がした。

黄色いビーツのピクルスを加えるか、それともアンディーヴかなぁ、と思ったところで、うすーい黄緑に少し紫色の筋が入ったトレビスがあるのを思い出した。

早速冷蔵庫から出し、ひと口大にちぎって、すでに葉だけになったハーブの中に少し加えた。それを軽く混ぜ合わせた途端に、“あ、混ぜない方がいい”と手を止めた。色が和らぐどころか、逆にうるさくなってしまった。急遽、2種のサラダにして、隣り合わせに盛ることにした。

ハーブのサラダには、オリーブオイルとレモンに、軽く塩。トレビスには、オリーブオイルとビネガーに、軽く塩。ビネガーは、ピノー・デ・シャラントというブドウ果汁とコニャックを合わせオーク樽で熟成させる度数の高いワイン(のようなもの)から作ったものを合わせた。このビネガーは、甘みがあって樽の香りが最後にやってくるのが好きで、白とロゼの両方を常備している。

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オーヴェルニュのコショウ入りのチーズPradoux(プラドゥ)を添えるつもりでサラダにはコショウを振らなかった。

テン・ベルズ・ブレッドのパンがあったので、それを少し焼き温め、添えた。軽い酸味と、みずみずしくも重たくはなくてとてもバランスがいいと感じる生地が好きで、近くに行くと立ち寄るパン屋さんだ。

欲張って作ったハーブのサラダは、ワシワシ食べたけれど少し残った。それはお昼に、麺と和えて食べることにした。

今日の朝ごはん
・コリアンダー、ディル、チャービルのサラダ(オリーブオイル、レモン、塩)
・トレビスのサラダ(オリーブオイル、ピノー・デ・シャラント・ビネガー(白)、塩)
・ぐじゅぐじゅオムレツ(卵、塩、ブラウンシュガー、クレーム・フレッシュ)
・プラドゥ(オーヴェルニュ地方のチーズ)
・リンゴ
・テン・ベルズ・ブレッドのパン
・コーヒー(グランド・エピスリーのブラジル・サントス)

*サラダの塩はフルール・ド・セル。オムレツの塩は、ゲランドのグレーのお塩です。
*ぐじゅぐじゅオムレツに加えるクレーム・フレッシュは、生クリームでも。

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パリの川村さんちの朝ごはん一覧

川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。

Instagram: @mlleakikonotepodcast「今日のおいしい」 、Twitter:@kawamurakikoも随時更新中。

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