パリの川村さんちの朝ごはん

旬のフルーツたっぷり、ラディッシュにはバターがフランス流!

朝ごはんを決める時に、色をテーマに考えることが結構多い。
特に、5月の終わりから6月のはじめにかけての、この季節。
ピーマンやトマトなどのパキッとした発色の夏野菜が出てくる直前、赤いフルーツがマルシェのスタンドに並ぶと、うれしくてうれしくて、果物で一食にするのか? という勢いで買う。

買ってきた赤い実の果物は、翌日には食べきるつもりで冷蔵庫には入れず、外に出しっぱなしにしておく。そして、水分補給は果物から(キュウリも!)というくらいに、台所に行くたびにつまむ。
少しデザートっぽいものを欲したら、常備しているライス&ココナッツミルクか、オーツミルクを飲む。どちらもナチュラルな甘みがあるから(ライス&ココナッツは特に)、胃の中でミックスされて、フルーツミルクシェイクになっているだろう、と思っている。

夏の始まりを感じるこの季節に、もう一つ、マルシェに行くたびに買うものが、ラディッシュだ。
フランスでは、バターをつけて食べる。はじめは驚いていたこの組み合わせも、一度口が慣れてしまってからマヨネーズに戻ると、「いや、バターの方がいいな」と思うようになり、今ではすっかりバターをつけるのが定番だ。ラディッシュ&バターは、焼き芋に冷たくて硬いバターを載せるのと同じくらいに、おいしいと思う。

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今年は、このラディッシュ&バターの登場頻度がさらに高まった。ある生乳バターとの出合いがきっかけだ。出合ったのは、1年ほど前に3区にオープンしたMiyamという食材店。“信頼できるスーパーマーケット”を謳い、温室栽培物は扱わず、生産者から直接届く(収穫から消費者の手に渡るまで24時間以内)野菜や果物だけを販売していて、傷モノの素材はソースやペーストに変えて製品にし、フードロスは1パーセント以下を実現。この店で売られている、菜種油やひまわり油などのオイル類、そしてバターなどの乳製品には、デザインされたラベルが付いていない。製品名と原材料、生産者、日付などが書かれたシールが貼られているだけだ。バターは、それらさえも直接、包みに印刷されている。

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初めて、まるで石鹸かのようなバターの包みを見た時に、「ノルマンディーのマルシェで売られているようなバターがパリで買えるなんて!!」と興奮した。
早速買って帰り、そのまま、ひと舐めしてみたら、「これラディッシュにぴったりだ!」という味だったのだ。

かくして、我が家のラディッシュ&バター率が高まった。

お皿の上にトマトが加わると、全体的に赤の濃度を濃くしたくなるのだけれど、まだその手前。ラディッシュは半分に切り、白を混ぜるようにして、ちょっとピンクも混ぜたくて、ハムを加えた。
ピンクと黄色の取り合わせも好きだ。
バターの黄色よりも、少し濃いめの黄色でグラデーションをつけようと思って、ゆで卵を添えることにした。

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パンは、この半年くらいおそらく一番買っているパン屋さん、Brut de Painsのもの。イル・ド・フランス圏(パリ市を中心に周囲7県を含む首都圏)で生産されるオーガニックの小麦粉だけを使っているらしい。ずっとパリ市内では、木曜日と土曜日に7区のAvenue de Saxeに出るマルシェでしか買えなかったのが、つい最近、販売箇所が増え、11区と20区のマルシェにも出店するようになった。
ここのブリオッシュがとてもおいしくて(形は、最近ところどころで見かける、ほぼ立方体の生地が繋がったタイプ)、あとドライフルーツ入りのLe Norvegienも、これまたバターとの相乗効果が抜群で、心が満たされるパン。くるみ入りも、全粒粉も、あとブリオッシュ生地で作られてるLa Bressaneがまたおいしいんだよなぁ。一度「きっと、好きだと思うのでぜひ食べてみてください」とおまけで頂いて、食べてみたら、「うわ!こりゃ大好きだよ!」と止まらなくなった。食べ始めたら最後、理性を失って、一気に食べ切りそうなので(なのにこのパンは大きい)、あまり買わないようにしています。
これから、少しずつ紹介していきますね。

今日の朝ごはん
・ラディッシュ
・イチゴ
・フランボワーズ
・サクランボ
・ハム
・ゆで卵
・有塩バター(Miyamで買ったもの)
・コーヒー(La Grande Epicerieのブラジル・サントス)
・パン(BrutのLa Moule)

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パリの川村さんちの朝ごはん一覧

川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。


Instagram: @mlleakikonotepodcast「今日のおいしい」 、Twitter:@kawamurakikoも随時更新中。
YouTubeチャンネルを開設しました。

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