パリの川村さんちの朝ごはん

アレンジ自在、魚醤を使ったそばサラダのレシピ。

ちょうど10年前の7月に『パリ発 サラダでごはん』というレシピ本を出版した。

フランスに来てから、大きな皿に目いっぱい盛られたサラダを、ランチにメインとして食べている人たちをカフェのテラスでたくさん見かけて、すぐさま私も“サラダでごはん”にするのが大好きになった。日本でそんな風に、一人で大きなサラダを一皿食べてごはんとする、なんてことはなかったから、その楽しさをシェアしたくて、サラダ本企画を出版社に持ち込んだ。料理本を多数手がける出版社だ。料理学校を出た、翌々年だったと思う。もう今から20年近く前。

「日本でサラダは添え物です」。
それが、知人からの紹介で企画を見てくださった編集者の言葉だった。一刀両断。「そうですよねぇフランスだと大きなサラダ、みなさんカフェで食べてますよねぇ、でも、日本で……」と言われて、“いや、だから、そうじゃなくて、別の楽しみ方があるってことを出したいんですよ……”と言いたかったのを、まだ1冊も本を出した経験のなかった私は飲み込んだ。
でも、“サラダでごはん”はずっと好きで、そしてその8年後に、晴れて(別の出版社で)、出版することになったのだった。

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メインの項目には、ごはんや米麺やパスタなどの炭水化物を具にした“おなかいっぱいサラダ”を据えた。特にそばを使ったレシピは5つ入れた記憶がある(すみません、今、手元に本が1冊も無く……)。
幼い頃からそばが大好物だったところに、フランスで暮らし始めてそば粉のガレットが身近になったことで、そばの楽しみ方が広がった。“そうか! チーズもバターもハムも合うんだ!”と思ったら、一気に、めんつゆありきの固定概念が取っ払われた。そして、パスタの発想でオリーブオイルはもとより、中華麺や米麺に合わせるのと同じ気分で、ピーナッツバターや魚醤も使うようになった。
時は経ち本を出して10年。そばサラダのレパートリーはより自由に増え続けている。

そんなわけで今日は、そばサラダ2021年バージョンを2つ、アップしたいと思います。
今回はどちらも魚醤を使ったもので、材料もほぼ同じです(分量は、非常にザックリです)。

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●ラディッシュの葉のペースト和えそば (1人分)

2011年バージョンでは、チーズとナッツも加えて作っていたハーブのペーストも、いつしかオイルとミックスするだけのシンプルなものになりました。

○ラディッシュの葉のペースト和えそば(1人分)
ラディッシュ 食べたい分
鶏胸肉 1/2枚
そば  70~80g
ラディッシュの葉のペースト 大さじ2〜3
コラトゥーラ 小さじ1/4程度
レモン 1/6個くらい

○ラディッシュの葉のペースト(適量)
ラディッシュの葉 カフェオレボウルに山盛り1杯分
オリーブオイル 大さじ4
フルール・ド・セル 小さじ1

→ハンドブレンダー、ミキサーなどで全部を一気に混ぜ合わせる

  1. ラディッシュはスライスして塩もみ(塩は分量外)。
  2. 鶏胸肉は湯に酒(適量)を入れて茹でる→繊維に沿って裂く。
  3. そばを茹でる
  4. 3が茹で上がったらざるにあげ、水洗いし、水気を切って、ペーストと和える。量は、そばがまんべんなくグリーンになればOK。
  5. 4にコラトゥーラを加え、和える。
  6. 5を皿に盛り、水気を絞った1、2をのせ、レモンを上から掛け回す。

*コラトゥーラはイタリアの魚醤。ナンプラーでもニョクマムでもしょっつるでもOK。塩味はそれぞれ強さが違うので、量は好みで調節してくださいね。

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フランスでラディッシュを一把買うと、これくらいの量。葉っぱも捨てるのは勿体ないから食べます。

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●キュウリの塩もみとインゲンのサラダそば 魚醤だれ和え (1人分)

もともと本に掲載した醤油を使った冷やし中華風だれを、魚醤バージョンに替えたもの。

○魚醤だれ和え サラダそば
キュウリ 1本
ミント(orシソ) 好きな分
鶏胸肉 1/2枚
インゲン 1つかみ分くらい

○魚醤だれ
ゴマ油  大さじ1/2
クルミ油 大さじ1/2
魚醤 大さじ1
シェリー酢 大さじ1
砂糖 大さじ1/2

*魚醤はコラトゥーラを使用。でも上のレシピと同じく他の魚醤で問題なし!
*クルミ油がなければ、他のナッツ系のオイル、あるいは、ごま油のみでも全く問題なし!
*シェリー酢は、米酢、リンゴ酢、シードル酢など何でもいいです。好みの酢をお使いくださいね。
*元のレシピは、ゴマ油 大1、醤油 大1、酢 大1、砂糖 大1/2です。

  1. キュウリを薄切りにして塩もみ(塩は分量外)。
  2. 鶏胸肉は、湯に酒(適量)を入れて茹でる。茹で上がったら手で裂く。
  3. 2の茹で汁でそのままインゲンを茹でる。茹で上がったらざるにあげる。冷めたら半分の長さに斜め切りにする。
  4. そばを茹で、茹で上がったらざるにあげ、冷水で洗い、水気を切る。
  5. 2、3、4をそれぞれ、タレで和える。
  6. そばを皿に盛り、鶏肉とインゲンをのせる。
  7. 1の水気を絞り、千切りにしたミントと和え、6にのせる。

*好みで、味が足りなければタレを上からかけまわしてください。
*これに練りゴマ、もしくはピーナッツバターを加えてもおいしいです。その場合、酢も少し加えた方が良いかも。

今回のサラダは、一応、朝ごはんなのでそばの量を70〜80gとしましたが、ペーストもタレも、100gにしても間に合う量ですので、ランチや軽め夜ごはんにもアレンジ可能です。

今回は魚醤を使ったものにしたこともあって、ご家族やお子さんの好みに合うかはわからないなぁと思い、一人前お試しバージョンの量にしてみました。
私は通常、2人分くらいで作っています。

そばサラダ、もしくは、他の炭水化物を使ったおなかいっぱいサラダ、もしご好評だったら、別のレシピ出しますので、ぜひリクエストくださいね〜。

パリの川村さんちの朝ごはん一覧

川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。


Instagram: @mlleakikonotepodcast「今日のおいしい」 、Twitter:@kawamurakikoも随時更新中。
YouTubeチャンネルを開設しました。

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