パリの川村さんちの朝ごはん

熱々のブルーチーズソースと、洋梨のタルティーヌ。

リンゴと洋梨が木箱に山積みで、マルシェのスタンドに彩りを添える季節になった。
“1日1個のリンゴは医者を遠ざける”と言わんばかりにおなかが空けばリンゴをかじる日々の始まりだ。
リンゴだけじゃなくて、洋梨もすでに香り高くジューシーで毎日食べている。
いつもはもう少し秋が深まってからのような気がするけれど、気のせいだろうか。

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フェンネルと大根も買おう、とスタンドの前を移動したら、その合間にクルミが見えた。
今週からお目見えしたらしい。

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野菜に、3種類のリンゴと2種類の洋梨を3つずつ、それにクルミも買った。
洋梨はどれも、「(まだ熟しきっていないから)食べるのは数日待ってね」と言われるし、リンゴはすぐに食べちゃうから、室温に置いておく。
家の中では3箇所に分けて、コンポート皿に盛っている。
前を通りかかると、気持ちが明るくなるような爽やかな甘い香りがふわぁっと追ってきて、思わず後ずさりする。こんなに幸せなルームフレグランスがあるだろうか、と思う。

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家にブルーチーズが少し残っていたから、この季節が始まったらいつも食べるタルティーヌを作ることにした。
相変わらず私の朝ごはんは、「作る」という言葉を使うほどに用意することは無い。

ブルーチーズとクレーム・フレッシュを耐熱性の小皿に入れ、パンを軽く焼くついでに、一緒にオーブンに入れて温める。

その間に、クルミの殻を割る。
殻のお尻にナイフを差し込み、クイッと捻るようにするとぱかっと開く。くるみ割り器を使うよりも、これがいちばんきれいに割れる。
割って、早速つまんでみると、今年のクルミはえらくおいしい気がした。いつだって殻から割って食べるクルミはおいしい。でも、今年のは、殻もいつもより大きいし、実の艶やかさとしっとり加減が味わったことのないものに感じた。

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クルミを数粒出したら、洋梨を切る。

パンの表面が、乾いたと感じるくらいに焼けたところでオーブンから出し、その上に洋梨を並べ、クルミを散らす。

そして、熱々のブルーチーズソースを上からかける。
これで、出来上がり。

ものすごく簡単なのだが、食べ方にコツがある。
チーズが熱いうちに食べるべし!!
パンの温かさとチーズソースに挟まれ、ほのかに温まった洋梨がまたおいしいので、チーズはフツフツしてるくらいの熱々をかけた方がいい。
ベストは、それを、台所で立ち食い! だけれど、やっぱり座って食べたいよねぇという場合には、お皿は先にテーブルに運んで置いて、チーズソースはテーブルで回しかけ、熱々を頬張る。
一応、フォークとナイフを出しましたが、手で持って食べるのがいちばんです。

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そのほかのポイントは……

・チーズソースは電子レンジで温めても、湯せんにかけてもOK。
我が家には電子レンジがないのでオーブンで温めますが、オーブンのメリットはチーズソースに軽く焼き色が付くこと。これがまたおいしい。

・ブルーチーズは、ブルー・ドーヴェルニュを使っています。そのほかのブルーチーズでもおいしいと思います。ただ、クレーム・フレッシュを加えるので、なんとなく同じミルクの方が良いかなぁと思い、ロックフォール(羊乳のブルーチーズ)は使わないです。牛乳で作られるブルーチーズにしています。クリームの量は、チーズの塩気次第です。

・いつもクレーム・フレッシュに“濃厚な生クリーム”と補足していますが、濃厚とはどんな感じかわかりにくいかと思い写真を撮ってみました。すくえば、伸びます。ねっとり&もったりです。

・洋梨の風味次第では、ライムを洋梨にまわしかけておくのもいいかもしれません。

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●今日の朝ごはん
・洋梨とブルーチーズのタルティーヌ
(パンは、ten belles breadの全粒粉パン。全3店舗のうち、17, rue Breguet 75011がten belles breadでパン屋さん、その他2店舗はコーヒーショップです(いずれも若干のパンの取り扱いあり)。

・コーヒー

私はコーヒーと朝ごはんにしますが、例えば日曜のブランチに用意して、白ワインを合わせるのもいいと思いますよ〜。

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パリの川村さんちの朝ごはん一覧

川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。


Instagram: @mlleakikonotepodcast「今日のおいしい」 、Twitter:@kawamurakikoも随時更新中。
YouTubeチャンネルを開設しました。

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