クリエイターが選んだ、こだわりの絵本&おもちゃ。#02 フォトグラファーTISCHの、色を通して教えたい社会のこと。
Lifestyle 2016.10.27
本誌でもおなじみのフォトグラファーやエディター、デザイナーなど、第一線で活躍するクリエイターたちに、0歳児から読み聞かせしたいファースト絵本と、少し言葉が分かるようになってから読ませたい絵本をそれぞれセレクトしてもらった。また、国内では手に入らない海外のものから手作りのものまで、クリエイターの目線で買ってよかった、遊ばせてよかったおもちゃとは? クリエイティブユニット、ボブファンデーションの朝倉洋美さんに続き、今回はフォトグラファーTISCH(ティッシュ)さんがおすすめする絵本とおもちゃをご紹介。
『にんじん』(福音館書店刊)
“やさしい色があふれる、切り絵の世界観に思わずほっこり。”
昔からある、せなけいこさんの切り絵の絵本シリーズ。特にこの『にんじん』には、ぞうやうさぎなど、色んな動物が登場しますが、切り絵の色彩がやさしくて美しい。でも特徴をしっかり捉えていて、実物を見る前に見せるものとしてはうってつけだと思います。
きっと、子どもにとっての認識の順番は、まず色、その次に形や大きさだと思うんです。なので、色を重要視して、色遣いが美しい絵本を選ぶことを心がけています。手でちぎったような切り絵のやさしさに、大人も心が安らぎます。
>>20か国以上で翻訳され世界中で愛されている絵本から学べるものとは?
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『ぞうのエルマー』(BL出版刊)
“子どもに伝えたい、「もともと特別なオンリーワン」ということ。”
こちらも言わずと知れた名作。差別を知らない小さな子どもだからこそ、読んであげたい1冊です。ひとりひとりが違ってていい、個性を尊重しよう、というメッセージは、みんなと同じであることにこだわる文化が根強い日本では大切なこと。「違い」をポジティブに受け止められるストーリーで、社会性を養って欲しいと思います。
ストーリーはもちろんですが、この絵本のもうひとつの魅力はカラフルなぞうのデザイン。ストーリーが分かるようになるまでは、このぞうたちのさまざまなデザインに見入っているようでした。海外の作家ならではの絵のタッチに、大人の自分も魅了されました。
>>フォトグラファーが手作りした愛情たっぷりのおもちゃをご紹介。
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“歌に合わせて見せたい、お手製のオリジナル絵本。”
日常的に、積極的に育児に参加しています。日々成長する子どもたちに刺激を受けて、自分でも絵本を作ってみようと思い、子どもたちに馴染みのある歌に合わせた絵本を作りました。水彩絵の具を使って描いた絵に歌詞を乗せた簡単なものですが、子どもがとっても喜んでくれるので何枚も描きました(笑)。ビリビリに破いてしまったものもありますが、月齢を経て遊び方が変わっていくので、その成長ぶりは見ているだけで楽しいです。
ティッシュ/TISCH
東京藝術大学美術学部芸術学科卒。2003年に単身でNYに渡り、2004年より広告ファッション写真を中心に活動。本誌『フィガロジャポン』を始めとする各メディアで、ファッションフォトグラファーとして活躍中。現在、2児の父。
photos:JOHN CHAN