低温やけどに注意! 湯たんぽによる皮膚トラブルが続出。
Lifestyle 2025.02.20
寒い季節、湯たんぽなどの温熱器具が手放せない人も多いことだろう。しかし、毎日のように長時間同じ部分を温めていると、肌に予期せぬ悪影響を及ぼし、傷跡を残すこともある。皮膚科医がその症状と対処法について解説する。
冬のある日、腹部、ふくらはぎ、太ももに、赤みまたは茶色がかった縞模様が現れることがある。この皮膚現象は、ソーシャルメディアで「グリルドスキン症候群(焼けた皮膚症候群)」という非常に恐ろしいニックネームで呼ばれている。ここ数週間、英国の外科医カラン・ランガラジャンやフランスの医学生カーラ・ヴァレットなど健康関連のインフルエンサーが、この特異な赤みに苦しむ患者の写真を公開し、警鐘を鳴らしている。その原因は、温熱器具、特に湯たんぽで長時間温めていたことによるという。
皮膚に鉄が沈着
「この問題は19世紀、いえ、それよりずっと前から観察されており、いまに始まったことではありません」と、ロスチャイルド病院(AP-HP)の皮膚科医でフランス皮膚科学会(SFD)の会員でもあるシルヴィ・モーム氏は語る。当時、医師たちは、暖炉やストーブ、ヒーターなど熱源の近くに人が住んでいる傾向と、木炭を詰めた小型の携帯用温熱器具との関連性を指摘し、これが最終的に「ヒーター皮膚炎」という医学用語を生み出し、現在でも使われている。
この皮膚炎のメカニズムは簡単で、皮膚が高熱にさらされると、局所的な炎症が起こり、色素沈着、特に網目状の茶色または赤色の斑点が残るのである。「この色素沈着は、熱の影響を受けた血管が、皮膚に沈着した鉄分と結びつくことで起こります」と皮膚科医は説明する。
対処法は保湿
火傷とは異なり、この炎症は痛みを伴わない。不幸にも「グリルドスキン症候群」にかかった人は、熱によるわずかな不快感、ヒリヒリ感を感じるかもしれないが、長期的な健康被害をもたらすものではないという。実際には、むしろ見た目の悪さから相談する人が後を絶たないようだ。実際にそうなってしまった場合の対処法として、医師は、炎症を鎮めるために保湿剤を使用し、辛抱強く我慢するようアドバイスする。「このような斑点は、消えるまで数週間、数ヶ月、あるいは数年かかることもあります」と医師は警告する。
一刻も早く治したい場合、この見苦しい斑点を薄くするために、レーザー治療という過激な手段を取りたくなるかもしれないが、モーム医師はそれには反対だ。「せいぜい茶色い斑点の上に白斑が現れるだけで、本来の望ましい効果は得られません」
ノートPCやモバイルバッテリーにも要注意
このような状況に陥らないためには、予防が最善の解決策である。守るべきルールは、熱が強すぎると感じたら、すぐに使用をやめること。湯たんぽ自体は危険ではないので、使用する場合は、皮膚に直接当てないようにし、また必ずタオルなどの当て布を1枚挟んで肌を保護するよう医師はアドバイスしている。さらに、ノートパソコンやモバイルバッテリーも長時間太ももに触れていると、跡が皮膚に残ることがあるため、医師は注意を促している。
また最後に、過度に長時間熱にさらされても不快感のシグナルに気づかない場合は、何か病気が潜んでいる可能性もあるので、医療専門家に相談して根本的な病態を探るのがいいだろう。「ひどい月経痛を和らげるために湯たんぽを使う女性が多いのですが、子宮内膜症が隠れていることもあります」
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text: Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr) translation: Eri Arimoto