ChatGPTに「どんな服を着ればいい?」と聞いてみると?

Lifestyle 2024.02.26

いまやフランス人の53%がChatGPTをなんらかの形で利用している。そこで、ChatGPTにファッションアドバイスをしてもらったらどうなのか、試してみた。

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パリ2023年春夏コレクションでのストリートスタイル。(パリ、2022年9月29日) photography : WWD / Penske Media via Getty Images

調査会社Ipsosがソプラ・ステリア社のためにフランスで実施した調査(調査期間:2023年10月30日から11月2日)によれば、回答者の53%はChatGPTを使ってみたことがあり、47%は特定のテーマに関する情報を得るために利用したことがあるそうだ。同調査によれば、「フランス人の77%がこのツールをひとつの革命と見なしている」。では、ファッション情報についてはどうだろう?つまり、このAIアプリは、どんな服を着るべきなのかについて、役立つアドバイスをしてくれるのだろうか。映画『クルーレス』(1995年)の主人公、シェールが使っていたファッション・アプリのように、生活が便利になるだろうか。そんな疑問を最初に持ったのはUS版『ヴォーグ』だった。

同誌編集者のジョイ・モンゴメリーはchatGPTに、「2024年のトレンドとなる」アイテムを教えてほしいと依頼した。すると「幾何学的な」バッグや「フューチャリスティック(未来的)な」靴といった具体的な提案があったが、それ以上詳しい説明はなかった。さらにジョイが「ヴォーグの編集者」っぽい服をリクエストしたところ、映画『プラダを着た悪魔』(2006年)に出てくるようなスーツを着るようにという回答があった。chatGPTは表面的な提案をするデジタルムードボードのようなもので、真に革命的とは言えないという結論にジョイは達した。言い換えればこれは機械であって人間ではない。さて、フランスの「マダムフィガロ」誌でも同様の実験をおこなった。

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「職場に着ていけるトレンドの服を探して?」

「トレンド」、「職場」といったキーワードを使って簡単な質問をしたつもりだったが、chatGPTは即答してくれなかった。「もちろんです! 職場に着ていけるトレンドの服を提案するには、もう少し情報が必要です」という文字が現れた。「職場のドレスコードは? 色やスタイル、小物に関するなんらかの制限はありますか?あなた自身、どんなスタイルが好みですか?ビジネス、カジュアル、あるいはシックな感じ?」。特に好みはなく、クラシックだけれどトレンドを取り入れたものと答えたところ、男性用、女性用の2種類の服装が提示された。

おもしろいのは、提案された「女性用」が、これぞ典型的なオフィスウェアというべきスタイルだったことだ。白いブラウス、パンツはシガレットパンツかストレートなもの、ブレザー、小物はエレガントな時計か控えめなジュエリー、そしてミドルヒールのパンプスかローファー。超クラシックなスタイルで、「トレンド」らしき要素は微塵もない。ひょっとして最近のミュウミュウのコレクションにインスパイアされたのだろうか。超人気のイタリアブランドは"セクシーセクレタリー"風のシルエットを打ち出している。

「このチョイスはミュウミュウのコレクションにインスパイアされた?」

「いいえ、ミュウミュウ、その他特定のブランドのコレクションにインスパイアされたものではありません。私の提案は、職場向けのクラシックなファッションスタイルの一般原則に基づいています。白いシャツやブラウス、クラシックなパンツ、ブレザー、控えめなアクセサリー等、ご提案したアイテムは、さまざまなブランドやコレクションにある、時代を超越した選択肢です」と回答があった。オフィスウェアに関してはリスクを冒さないことにしているのだろうか。ファッションにどれだけ詳しいかみるために質問を変えることにした。

「最新のミュウミュウのコレクションのモデルたちみたいで、オフィスにふさわしい服装を教えて?」

「もちろんです! ミュウミュウのファッションショーでは、アバンギャルドでクリエイティブなルックがよく登場しますが、特定のトレンドからインスピレーションを受けつつ、職場環境に適したスタイルにアレンジできます。ミュウミュウの最新ショーにインスパイアされた着こなしをご紹介しましょう」との文言と共に提案されたのは、たっぷりしたボリュームや柄物のブラウス、ワイドパンツやタックパンツ、ゆるっとしたブレザーや構築的なジャケット、ステートメントウォッチや個性的なベルト、スタイリッシュなダービーシューズやアンクルブーツといったアイテム。確かにオフィスウェアとして使えるし、ミュウミュウの2024年春夏コレクションで見かけたシルエットにも割と似ている。

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ミュウミュウ2024年春夏コレクションより。photography : Imaxtree

ChatGPTは最後に、「あなたの職場の服装文化に合わせて、これらの提案をアレンジする必要があることを心に留めておいてください。自分らしさにこだわりながら、流行の要素を取り入れることで、仕事人らしいモダンな装いを実現しましょう」と言ってきた。

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「夜のデートには何を着るべき?」

ChatGPTが自分らしさを大切にしているのなら、デートの服装を聞いてみるのも一案だと思い、質問してみた。すると服装だけでなく、デートの心得まで説いてくれた。「魅力を引き出すエレガントなドレス」に洗練されたアクセサリー、ヒール付きの靴を提案しつつ、事前準備も抜かりがないようにと念を押してきたのだ。大切なのは次の4点だそうだ。すなわち、清潔感を忘れないこと、目立ちすぎる服は避けること、デートの場所に合った服装をすること、自信を持つこと。ChatGPTの答えは今回も漠然とした一般論に終始した。

「マダムフィガロのファッション編集者のような着こなしをするには?」

「ファッションやライフスタイル記事で知られるマダムフィガロ誌のファッション編集者のようになりたいなら、流行を意識しつつ洗練されたエレガンスを表現することが重要です 」とChatGPTはのたまう。続いてオススメのアイテムやアクセサリーが挙げられた。基本になるのは「フランスのデザイナーのブランド」のシックなスーツや洗練されたドレス。小物としてはブランドバッグやエレガントな靴で、カラーパレットは黒、白、ベージュといった古典的なカラー。「自分らしさやマダムフィガロらしさを考慮しながらこの提案を取り入れてみてください。大切なのはあなたが働く業界になじみつつ、仕事ができておしゃれな人のイメージを演出することです」

実のところChatGPTが提案してきたのは高級ブランドばかり。シャネル、ディオール、ジバンシィ、サンローラン、グッチ、プラダ、セリーヌ、ルイ・ヴィトン等々。生身のスタイリストとは異なり、紋切り型な提案と言っていいだろう。ボッテガ・ヴェネタのクリエイティブ・ディレクター、マチュー・ブレイジーも2023年11月、「ビジネス・オブ・ファッション誌」にこんなふうに語っている。「私たちは職人技を支えるためにテクノロジーを必要とする時もあるが、機械だけではこれら全てを実現できない」

text : Augustin Bougro (madame.lefigaro.fr)

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