自己催眠の効果はいかに? 専門家に聞いてみた。
Lifestyle 2024.02.27
自己催眠とはどんなものなのか、簡単におさらいしよう。フランス「マダム・フィガロ」がリポート。
photography : Francesco Carta fotografo/Getty Images
患者自身で問題を解決する自己催眠療法
催眠とは「ギリシャ語のヒプノス(睡眠)に由来する言葉です。催眠はいわゆる"変性意識状態"、すなわち目覚めている時の通常の意識状態とは異なったトランス状態になるための自然なプロセスなのです」と、催眠療法士兼心理学者のベティ・ジュレクゼクは言う。
彼女は意識活性化セラピーを専門としている。「日常生活の中で、誰でも知らないうちにトランス状態に自然となることがあります。本や音楽など、なにかに夢中になっているうちに、時間が経つことさえ忘れた経験はないでしょうか」とベティは問いかける。
いまや催眠療法は苦痛、恐怖症、強迫性障害、ストレス、睡眠障害、依存症などを克服するための治療にも使われている。この療法を使えば、患者の意識下へ働きかけ、患者自身の力で問題の解決を図ることができる。
セルフコントロール
催眠と聞いただけで尻込みしてしまう人に対し、フランスの催眠療法士訓練校、アルシェトレーニングセンター所長、ケヴァン・フィネルは、催眠状態になっても「他人から操られることは決してありません」と語りかける。むしろ催眠状態を体験すると、自分のことがわかるようになり、セルフコントロールもうまくできるようになる。
催眠療法士兼心理学者のジェニファー・ピッチも、「自分の意識、無意識の中から向上するためのカギを見つけ、より良い人生を送るためのものです」と言う。なお、心を無にすることを目指す瞑想とは異なり、催眠はもっと能動的でダイナミックなプロセスなのだそうだ。
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なぜ、そして誰のために?
まずは己を知り、論理的思考の縛りから抜け出すことだ。自己催眠ならいつでもどこでも、ひとりで実践できる。専門家へ相談しに行く勇気を出すきっかけになるかもしれない。すでにカウンセリングに通っているのなら、それを補完する効果がある。
「自己催眠を学ぶと、自分の可能性に気づきます」とジェニファーは言う。自己催眠は集中力、記憶力、モチベーションを高め、学習能力や自己評価を向上させ、問題解決の原動力となり、変化を加速させる。ただしトラウマなど、非常に深刻な問題を抱えている場合は要注意だ。自己催眠によって否認に走り、自分の感情から目を背けてしまう可能性がある。そのような場合は本来、専門家の助けを借りて感情を掘り下げるべきなのだ。
専門家が催眠を施す場合、患者の反応を見ながらうまくリードしてくれるが、自己催眠の場合は、自ら変性意識状態をリードしていかなくてはならない。その場合、上手に空想に浸ることが成功のカギとなる。初心者は手始めにオンラインで催眠ガイド動画やオーディオをチェックしてみてはどうだろう。ケヴァン・フィネルによれば「コツがつかめて自信がつくでしょう」とのことだ。
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text: Christelle Laffin (madame.lefigaro.fr)