神経科医に聞く、スマホのスクロールが脳へ及ぼす悪影響。
Lifestyle 2025.01.19
SNSの投稿や動画を延々とスクロールし続けることは、目を疲れさせるだけではない。ある神経科医がインスタグラムの投稿で、スクロールが脳機能にどんなダメージを与えるか説明している。
photography: Professional Studio Images / Getty Images
ARCEP(フランス電子通信郵便規制庁)が発表した2024年のデータによると、フランスの人口の87%の人がスマートフォンを所有し、63%が、スマートフォンによって生活が便利になると考えている。しかし、スマートフォンでスクロールやクリック、スワイプを何時間も続けていると、目が疲れるだけではない。2024年12月29日のインスタグラムの投稿で、「@doctor.bing」というアカウント名で知られる神経科医が、その行為が脳に及ぼす有害な影響について詳しく述べている。
集中力の低下
まず、一日中スクロールをし続けることは、「集中力と気分をコントロールする化学物質の乱れを引き起こす」と彼は言う。それは、快感をもたらすホルモン「ドーパミン」がスマートフォンのスクロールの度に脳から少量ずつ放出されるからだという。
その何が問題なのだろうか? 「絶え間ない通知や動画によって、何度も何度もドーパミンが送り込まれ、脳は手っ取り早く簡単な報酬に飢えるようになります。そして時間とともに、読書や問題解決といった、より時間のかかり、頭を使う作業に集中することが難しくなるのです。なぜなら、同じような満足感が即座に得られないからです」
不安の増加
また、SNSは「愛着ホルモン」として知られる「オキシトシン」の分泌にも混乱を引き起こす。神経科医は、日常のなかでSNSが占める割合が大きくなるにつれ、物理的な交流は減少すると指摘する。他者との接触は、このホルモンのレベルを著しく向上させるのだ。
「他人の"完璧な"生活の写真ばかり見ていると、不安や孤独、物足りなさを感じることもあるでしょう。ネット上で人と自分を比較する時間が長ければ長いほど、気分も低下するのです」
「現実」への満足度の低下
最後に、画面の見過ぎは脳を過剰に刺激し、精神的疲労にも繋がる。「スクリーンに起因するドーパミンが多すぎると、友人と過ごす時間など、人生上の経験の満足度が下がることが研究から明らかになっています。落ち着かず、精神的に消耗した気分になるのです」
こうした有害な影響を避け、脳の健康を維持するために、彼が勧めること。それは当たり前だが、オフラインの時間だ。「友人と出かけたり、スポーツをしたりしましょう」
少し画面から離れて、いまを楽しもう。
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text: Shapnam Mougammadou (madame.lefigaro.fr) translation: Shion Nakagawa