仲良し3人組なのに、なぜ崩れる?友情の三角関係が壊れやすい理由。
Lifestyle 2025.05.17
たとえ仲良し3人組であったとしても、友情が崩れてしまう可能性もある。専門家がその要因について解説する。
幼なじみの3人、夢のようなタイのホテル、巨大プールサイドで楽しむカクテル......。2月中旬にMaxで配信され、話題を呼んだ『The White Lotus』の最新シーズンは、まるでInstagramのポストカードのようなシーンから始まる。しかし、シリーズが進むにつれ、表面上の輝きは次第に剥がれ落ちていく......。盤石に見えたものはひび割れ、言葉にされなかった想いや、嫉妬、恨みが露わになっていく。不穏なささやき、第三者の背後で交わされる視線、競争、小さな裏切り......。3人組のグループはやがてバランスを崩し、崩壊寸前まで追い込まれるのだが、こうしたことは実際に多くの人が経験する問題であり、友情の三角関係の欠陥を巧みに演出している。3人グループというのは総じて、2人組よりも簡単に関係性が揺れ動く傾向にあるという。
三角関係という複雑な構造
まず、3人という構成が特殊だと言えるだろう。「2人から3人になることで、いわゆる"システム"が発動します」と精神科医のマリン・コロンベル氏は分析する。この概念は、相互作用がより複雑で予測不能になることを示している。「3人になると、必ず情報格差が生じます。2人は知っていても、もう1人は知らないといったケースが生じます。それが不満を生むのです」
対人関係療法(IPT)を専門とする心理療法士のケリー・ララナガ氏によると、この変動的な関係は過去の古傷の記憶を呼び起こす可能性があるという。「3人になると、幼少期の不安や兄弟間の力関係のようなものが引き起こされることもあります。自分が他の2人にとってお気に入りではないんじゃないか、居場所がないんじゃないか......といった不安を覚える人もいるでしょう」と彼女は指摘する。そして、この曖昧な関係は、痛みをもたらす可能性があるのだ。友情は、一般的なイメージでは、「彼女は私の親友だ」という明確な確信を伴う、唯一無二な関係のことを指し、排他的な絆に基づいている。しかし3人になると、この排他性が曖昧になり、関係性に不均衡が生じやすくなるようだ。
関係性の不均衡が鍵
3人の関係性は、それぞれの取り巻く状況に変化が生じるとさらに脆弱になる。たとえば、学生時代のアルバイトや独身の時に生まれた友情は、結婚や引越し、そして子を持つタイミングで揺らぎがちだ。「最初の枠組みに縛られたままの友情だと、人生のターニングポイントで耐えられないことがある」とコロンベル医師は指摘する。つまり、3人組が揃って成長しない場合、関係性は硬直して固まってしまい、最終的に崩壊してしまう可能性があるというのだ。また心理療法士のララナガ氏は、過去のカウンセリングから実例を挙げる。「3人の友人のうち2人が母親になりましたが、残りのひとりとは疎遠になってしまいました。実際には疎外されたわけではなかったものの、後者は孤立したと感じていました」
そうした人間関係のひずみから生じる苦痛は微々たる兆候として表れるかもしれないが、不安に思う気持ちは一度感じると拭い去るのが難しい。常に最後に知らされることになるという感覚、他の人ほど重要視されていないという感覚、いつでも比較される感覚......。そこから発せられる「『私はずれているのかもしれない』『無視されているように感じる』といった自分の内なる小さな声に耳を傾ける必要があります」と心理療法士は訴える。そうして自分自身との対話を重ねても不安が続くようであれば、それは実際に関係性のバランスが崩れているからかもしれない。
さらに、時に三角関係の力関係は有害になることもあるだろう。「嫉妬や競争心が入り込むと、健全な関係は崩れてしまいます」とララナガ氏は断言する。「相手の立場を奪ってそこに自分を据え置こうとするため、計算された行動をとるようになるのです」
意味のある友情とは?
しかし、3人の友情にはプラスの面もあると心理療法士は強調する。「豊かさ、異なる視点、ある種の感情の多様性をもたらすので、それは非常に有益だと言えます」。ただしそれには、柔軟性や、人の話に耳を傾けること、排他的にならないことといった、適切な条件が備わっていなければ実現しない。コロンベル医師は、年月を経てやがて配偶者や子ども、そして新しい友人ができたとしても、元々の絆を失わずに一緒に変化していくことができる、いわゆる「適応型」の友情関係を推奨している。
三角関係の友情を維持するもうひとつの大事な要因は、不安定な関係だったとしても脅威と見なさずに受け入れる能力だ。「3人のうち2人がより親密になる瞬間は必ずあります」と精神科医は警告する。「しかし、そのことが苦痛を引き起こさないなら、その友情は持続可能です。重要なのは、メンバーひとりひとりが揺るぎない安心感を持つことです」とララナガ氏は強調する。もし他の2人が自分抜きで出かけたとしても、疎外感を感じることなく心穏やかでいられるならば、この条件はクリアできるだろう。
三角関係を維持するには?
他のグループ構成と同様に、3人の関係にも特別な配慮が必要になる。専門家は、まずはさまざまな質問を通じて自己分析から始めるべきと指摘する。たとえば「この関係は本当に自分に合っているのか?」とか「この状況から不安や悲しみを感じたり、自分が邪魔な存在だと思ったりするだろうか?」といった質問を自分に投げかけることだ。「関係性が不完全であることに対し、自分はどこまで許容できるのか、その範囲を自問することが重要です」とコロンベル医師は要約する。
次に、不快感が生じる前にメンバーとコミュニケーションを取ることが重要だ。言葉にして感情を共有する際、相手を非難しないことが大切になってくる。「責めるのではなく、自分の経験を共有できる話し合いの場を設けることです」とララナガ氏はアドバイスするが、その場合は"聞くこと"を特に重視するようにしたい。対話を試みた際に拒絶されたり、笑われたりした場合は、その関係を見直す時期なのかもしれない。
グループの中で後れを取っていると感じる場合は、どうしたらいいのだろうか? 「自分の居場所がない気がする」とか「時々、自分の存在感が薄いように感じる」というように簡単な言葉でいいので、相手に伝えることが大事だろう。これには勇気が必要だが、同時に信頼がないと成り立たない。それから、もしあなたが3人組の"リーダー"側なら、グループの"フォロワー"の存在を忘れないように注意しよう。いつでも同意してくれる友人には、質問を投げかけ、十分な役割を与えることが重要になってくるという。なぜなら、三者間の友情は、うまくいけば飛躍のきっかけになるからだ。「その経験は、たとえ内向的な人であっても、公私問わず人生のあらゆる場面で、自己主張する際に役立つこともあります」とララナガ氏は断言する。友情の三角関係は、どんな環境だろうと努力があれば育むことができるものと心得ておくべきだろう。
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text: Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr) translation: Eri Arimoto