「スマホ疲労」とどう戦う? ベッドから起き上がるための方法。

Lifestyle 2025.12.06

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一日中ベッドの上で過ごし、スマホをスクロールしたり、ドラマを観たり、食事をするくらいしかせず、ただただベッドでゴロゴロする過ごし方がじわじわと広まっている。SNSで広まったこのトレンドには、「ベッドロッティング(ベッドで腐る)」という名前がついている。これは私たちの社会と、世界で生きることの疲れを如実に表している。そもそも、「疲れ」という言葉やその派生語が繰り返し登場し、まるで時代のテーマのようになっている。中でも「めんどくさい」という表現は、思春期の象徴的な言葉、あるいはステータスになりつつある。思春期の子どもたちは何に対しても「めんどくさい」と感じ、その言葉には、変化のただ中で感じる疲れや、変化から身を守りたいという気持ちが込められている。

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photography: Shutterstock

社会全体を覆う疲労感

年長者の間では、出会い系アプリのあまりの選択肢の多さに疲れてしまう「デート疲れ」という感情が生まれている。同じ傾向はラグジュアリー業界にも及んでいる。最近、専門家たちは、LVMHやケリングといったといった大手ラグジュアリーグループの売上減速を説明するために「ラグジュアリー疲れ」という言葉を用いている。ヨーロッパやアメリカなどの成熟市場では、ラグジュアリーブランドの顧客たちは絶え間なくオファー攻勢に晒されることにうんざりしていると言われている。「疲弊はいまの時代の病」と心理学者のサミュエル・ドックは指摘する。自由主義社会では、常に成果を追い求めることを強いられ、個人は疲弊してしまうのだ。それに加えて、SNSや24時間ニュースチャンネルから絶え間なく流れ込む情報や映像が、私たちを消耗する過剰な警戒状態に置き続ける。「認知的な面から見ても、絶えず大量の情報を処理し続けなければならず、身体を動かさずにいると、とてつもないエネルギーを消耗する」とサミュエル・ドックは警告する。

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スクロールのリスク

こうした過剰な刺激に反応して、多くの人々は座りっぱなしの生活を送っている。実際、買い物や食事は配達で済ませ、映画館に行くよりもソファで映画を観る方を好む。こうした座りっぱなしの生活は、身体と心を固めてしまう。心理学者はこう指摘する。「人々は十分に体を動かさなくなっています。一時的にベッドの心地よいぬくもりに包まれるのは構いません。しかし、それが習慣化すると、心身の健康に悪影響を及ぼします。私たちは惰性と無気力に支配された社会に生きており、多くの人が生きる意味を見いだせずにいるのです」さらに彼はこう付け加える。「身体も心も動かさない社会は、硬直し、内向きになってしまう危険があります」 

クリエイティビティという原動力 

失ったように感じるエネルギーをどうすれば取り戻せるのか?再び心を動かす力をどう生み出せばいいのか?そのヒントは、アートやクリエイティブの世界に存在するのかもしれない。音楽家のナオミ・グリーンは語る。「アートに没頭すると、自分の内側が深く満たされます。内省と創造の瞬間を経て、私は新たなエネルギーを得て戻ってきます。コンサート後も同様です。ステージに上がる前の状態がどうであれ、終わった後はいつも気分が良くなり、自分自身と調和していると感じます。」そもそも、クリエイティビティは常に原動力である。クリエイティビティとは存在を生み出し、無から何かを引き出す行為だからだ。言い換えれば、それは生命そのものである。この動きを起こすのに、必ずしもアーティストである必要はない。

「クリエイティビティは誰にでも手にできる好循環です」と、クリエイティブ業界のコーチ兼コンサルタントのリリ・ボネは語る。「クリエイティビティとは、既存のものを新しい視点でとらえ直したり、まったく新しいものを生み出したりする力のことです。クリエイティビティを育むことで、物の見方が広がり、行動も自然に動き出します。そのためには、ひとつひとつのプロジェクトに自分なりの工夫を凝らし、少なくとも自分なりに豊かにしていこうとする姿勢が大切です。発想力を磨き、実際に行動するほど、クリエイティビティはどんどん高まります。自分自身を理解する力が深まるだけでなく、他者への理解や寛容さも自然と育まれます。こうしたオープンな心の連鎖が、気分を前向きにする好循環を生み出すのです」クリエイティビティは、まるで天然の抗うつ剤のような働きをするのだ。

規律はひとつのメソッド

日々規律を実践することは、ときに非常に大きな努力を伴う。作家のアメリー・ノートンはこの考えを提唱している。年に1冊の小説を発表する多作な作家である彼女は、最近ある動画で自身の執筆リズムを明かした。

「毎日、朝4時に起きて書いています。こんなに早く起きるのは、正直私にとっても自然なことではありません。毎朝となると、時には本当に辛いと感じることもあります。でも、目的は決して苦しむことではありません。目的は『規律』です。この言葉は、いまではちょっと大げさに響くほどになってしまいました」

それでも、この規律には大きな謙虚さが必要だと彼女は言う。

「小説を書くような難しいことは、生まれつきできるものではありません。もちろん学ぶ必要がありますし、その過程は長く、決して簡単ではありません」

しかし、この厳格なメソッドこそが、アメリー・ノートンにとってクリエイティビティを解き放つ道を開いている。コーチのサミュエル・ドックも「自分を律することが、創作のエネルギーを取り戻すカギ」と強調する。クリエイティビティは筋肉のようなもので、鍛え、維持するためには道具が必要だ。その道具こそ「規律」である。芸術作品が生まれるかどうかにかかわらず、重要なのは毎日の課題に取り組み、規則的にプロジェクトに取り組むことだ。

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試行錯誤の果てに生まれるもの

自分の道や声を見つけるには時間がかかることもある。画家のヘレナ・スベイランドは言う。「毎日アトリエでキャンバスに向かうことで、まずは私の生産性を奪うような、時間を無駄にする考えを落ち着かせることができます」陶芸家のクレール・コスネフロワも「規律が安心感を与えてくれます。重要なのはプロセスを信じることです」と同意する。彼女もまた、特に何か具体的な作業がなくても毎日アルルのアトリエに通っているという。ヘレナはさらにこう強調する。「毎日少しずつでも目標に向かう行動を積み重ねれば、数学的に言っても、いずれ何かが必ず起こるのです」

こうした試行錯誤の時間と空間の中で、心はさまよい、クリエイティビティは解き放たれる。そして新たな創造の地平を切り開くことにつながり、思いもよらない発見や大きな驚きが生まれるのだ。「正直、最後に描いた作品には自信がなかったのですが、結果的に最も多くの好意的な反応をもらった作品になりました。私にとって最も完成度の高い作品のひとつです」と、彼女は語る。 

生活リズムと内面の充実

それぞれに合ったクリエイティブな規律がある。ファッション業界を離れて以来、画家のソフィー・エステーブは毎日アートに向き合っている。

「私は朝10時ごろに机に向かい、正午から午後2時までは軽く散歩に出かけ、その後また夕方まで作業を続けます」

彼女は特に夜明け前に起きたり、ジャーナリングの前に氷水に顔をつけたりすることなく、非常に集中して取り組むことができている。最も大事なのは、自分のルールや土台をしっかり作ること。では、それをどうやって見つけるのか?「自分の体に耳を傾けることです。体は決して嘘をつきません」と、クリエイティブコーチのリリ・ボネは言う。

「試してみて、何が自分に合うかを確認することが大切です。いずれにせよ、体を動かすことには意味があると思います。神経科学でも証明されている通り、散歩のような軽い運動でもクリエイティビティは刺激されます」

心理学者のサミュエル・ドックによれば、このルールや土台というのは成果を求めるためのものではない。「自分の内面に向き合える時間であることはもちろん、自分とのやり取りを楽しんだり、自分の考えや感情をちょっと遊びながら味わえるような時間だったりすることが大事です」こうして心は解き放たれ、神経も落ち着く。しかし、結局のところ、いちばん難しいのはベッドから起き上がることかもしれない。

text: Caroline Hamelle (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi

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