Z世代はなぜ夢中? ヴィンテージ香水が「古さ=価値」とされる理由とは?
Lifestyle 2026.01.12

驚くなかれ。Z世代はいま、往年の伝説的香りに夢中になり、ヴィンテージの雰囲気を称賛している。「古さは金」なのだ。

若い世代がいま、往年の伝説の香りに魅了されている。photography: Getty Images
2025年4月9日、パリの老舗オークションハウス「オテル・ドルーオ」でコパージュ社が高級香水のオークションを開催した。会場では、二人の若い女性がカタログを熟読し、希少価値のある香水を見定めている。一人はサンローランの「Yvresse(イヴレス)」を52ユーロで落札し、もう一人はディオールによる「Poison(ポワゾン)」の石鹸を15ユーロで落札して会場を後にした。
時代は変わり、昔ながらのものが再び若返った。時代遅れだと思われていた真珠のネックレスを、いまでは皆が身につけているように。
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感情のバーム
「すべてが目まぐるしく変化する騒がしい世界で、Z世代は拠り所を求めています。ノスタルジーな郷愁の念もその一つであり、SNSやテレビドラマ(「フレンズ」から「デクスター」まで)、音楽(ディランやディスコ......)、そして香水によって共有される、集合的な想像世界です。マーゴット・ロビーがイメージキャラクターを務める、シャネルの「N° 5」のような伝説的な香水は、これまで以上に、ある願望を体現しています。それは、その香りの余韻を通して、安心感や独自性、世界に存在する実感を得たいという思いです」。そう分析するのは、高砂香料工業のファインフレグランス部門副社長シルヴァン・エローだ。
おもしろいことに、このノスタルジーはプルーストのマドレーヌとはまったく異なる。祖母が付けていたランコムの「Trésor(トレゾァ)」を嗅いだ経験がなくても、熱狂することはできる。それどころか、嗅覚の興奮は、ゲランの「l'Heure Bleue(ルール ブルー)」のように魅惑的な個性を持つ未知の香水や、クリニークの「Aromatics Elixir(アロマティックス・エリクシール)」のような賛否両論ある香水を発見することで最高潮に達する。重要なこと、それは香りの調合が印象的であることだ。
独特な香りの風合い
気まぐれな欲望や、次々と移ろいゆく市場のなかで、ヴィンテージ香水は差別化された選択肢になっている。「当社のアイコニックな香りにおいては、バニラやアイリス(アヤメ)、そしてパウダリーな香りの原料がこのニッチな市場での成功の要因になっています」とゲランの専属調香師デルフィーヌ・ジェルクは語る。
「私は赤い糸を引き寄せることが好きなんです。たとえば、ベルガモットの濃度を下げて、動物的な香りの少ないバニラを探求することで、『Shalimar(シャリマー)』を現代風にアレンジしています。こうしたスタイルの実験があることで、若い世代が私たちの伝説的な香りを探求したいと思うようになるのです」
ヴィンテージ香水には他にも魅力がある。完璧な持続性、多くの人を惹きつける力強い香りの余韻、イヴ・サンローランの「Rive Gauche(リヴ・ゴーシュ)」の70年代らしさ全開のシリンダー型ボトルのように、もっと自由だった時代を映し出す大胆なボトルデザインもその一つなのだ。
手頃な価格も要因だろう。オンラインビューティストア「MyOrigines」では、ロシャスの「Femme(ファム)」が100mlで49.9ユーロだ。
「面白いのは、若い男性たちの関心の高さです。フランスやイタリアで講演をしても、彼らの知識には驚かされます」と香水を専門とする作家でジャーナリストのヨハン・チェルヴィは言う。 「ジェンダーの流動化に対する反動として、超男性的なアイデンティティを強調する香りに回帰する傾向があります。たとえば、マクロン大統領お気に入りのディオールの『Eau Sauvage(ソヴァージュ)』や、ギ・ラロッシュの『Drakkar Noir(ドラッカー・ノワール)』などです」
From madameFIGARO.fr
text: Marie-Bénédicte Gauthier (madame.lefigaro.fr) translation: Shion Nakagawa






