子どもの学習速度に悪影響? 親がスマホを触るときに起きていること。

Lifestyle 2026.01.14

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大人のデジタル習慣は、本人だけでなく、子どもにも影響を与える可能性がある。その理由を、2人の専門家が解説する。

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大人のデジタル習慣は、(本人だけでなく)子どもにも影響を及ぼす可能性がある。photography: Vera Livchak / Getty Images

子どもがスマホなどの画面に過度にさらされると悪影響がある。このことはもはや議論の余地がない。これを防ぐための公式見解も明確だ。3歳までは画面を見せない。6歳までもできる限り控える。それ以降は教育的価値の高いコンテンツに限定し、必ず大人が見守りながらの使用が望ましい。

では、スマートに目が釘付けになっているのが子どもではなく大人だった場合はどうだろうか。ベビーカーを押しながら列に並び、スマホを眺めっぱなし。通知が来たからと子どもとの遊びを中断する。子どもと話しながら誰かにメッセージを送る。IT機器によってコミュニケーションが妨げられ、遮断される状況は「テクノファレンス」と呼ばれる。そしてそれは子どもの認知機能や社会性、情動の発達に影響を及ぼし、有害な可能性がある。これに関する報告書『À la recherche du temps perdu(失われた時間を求めて)』が2024年4月30日、仏大統領へ提出された。作成に関わった審議会メンバーのひとり、パリ・シテ大学の発達心理学教授グレゴワール・ボルストと、児童・青年心理学の専門家で、YouTubeチャンネル「Questions de psy」を運営する心理学者ジャン=リュック・オベールに話を聞いた。


言語習得が妨げられる

テクノファレンスによる最初の弊害は、言語の習得、表現、理解だ。

「子どもは生まれた瞬間から、大人と関わり合いながらコミュニケーションの取り方を学びます」と、グレゴワール・ボルストは説明する。「まず視線を交わし、次に喃語を発し、話し始めると語順や言葉の意味、語彙を学んでいくのです。ところが、親がしょっちゅうスマホに気を取られていると子どもとのやり取りが減り、学習が遅れたり、なかなか覚えない恐れがあります」。ケベック州が意思決定する際の支援として幼児期に関する知見を集約しているカナダの団体「オブセルバトワール・デ・トゥ・プティ(幼児観測所)」によれば、画面に見入っている親は、子どもに対して一般平均よりも短くて単純な文で話しかける傾向があるという。「幼児の言語習得が読み書きを学ぶための重要な前提条件であることを考えると、これは非常に残念なことです」と、ジャン=リュック・オベールは嘆く。

では、どの程度で有害なテクノファレンスと呼ぶべきなのか。明確な線引きは難しい。「日々のことで気づきにくく、子ども自体も画面を見ているケースも多いですから」とグレゴワール・ボルスト教授は言う。しかもどんな場面がとりわけ有害かを特定するのも容易ではない。ただ確かなのは、家族で食卓を囲んでいるときなど、社会性を育む重要な場面で親はスマートフォンを使わない方がいいということだ。

感情面での弊害

テクノファレンスによって親子の交流が減ると子どもが感情を認識、調整、表現する力も育まれない。

「子どもは親の反応を手がかりに学習します」とグレゴワール・ボルスト教授は説明する。「たとえば、子どもが不安を感じる状況において親が落ち着いていると、それを見た子どもは感情を制御できるようになるのです」。だが親がスマホに気を取られていたら、どうして子どもが怯えているのか理解できず、安心させることもできない。

社会のルールを学べない

3歳までに子どもは、コミュニケーションの基本的なルールを身につけていく。たとえば同時に話さないこと、場面によっては声をひそめること、会話には一定のリズムがあることなどだ。「テクノファレンスは、こうした能力の発達にも影響を与える恐れがあります」。結果として、子どもは社会のルールをちゃんと学べなくなる可能性がある。

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愛されていない

スマホの通知を読むのに時間はかからないが、得た情報にとらわれることで親は注意力散漫になる。すると親は子どもの要求――特に解読が難しい乳児のサイン――を十分に察知できず、反応が鈍くなり、的確に応じられなくなる。その結果、4〜6歳頃から、子どもはフラストレーションを感じやすくなる。「自分はあまり愛されていない、守られていない、後回しにされている、という感覚を抱くことがあります」と、心理学者のジャン=リュック・オベールは警鐘を鳴らす。

画面への欲求を助長する

グレゴワール・ボルスト教授は、子どもが親の行動を観察し、模倣することで学ぶと断言する。「幼児が自分で服を着ようとするのは、大人の真似をしているからです。靴を履いたり、化粧をしたがったり、おままごとをしたりするのも同じ原理です。画面も例外ではありません。親が長時間使っていれば、子どもも真似をしたがります」

どうすればいいのか

テクノファレンスの影響を抑えるための方法はシンプルだ。肝心なのは画面を見ない時間を意識的に設けること。とりわけ重要なのは食事、起床時、就寝時、外出時。これらの時間は子どもにとって重要な社会化の時間であり、必ず守るべきだと専門家は言う。

また、子どもと過ごしている間は真剣に向き合うべきだ。「スマホを見ながら2時間一緒にいるより、20分でも全力で向き合うほうがよい」とグレゴワール・ボルスト教授は言う。その場合は通知をオフにする、あるいはスマートフォンを別の部屋に置くことを勧める。一方、心理学者のジャン=リュック・オベールは、「無駄な時間」を活用しようと言う。公共交通機関を利用している時間やスーパーのレジ待ちしているとき、待合室にいるときなどは「赤ちゃんと向き合い、年長の子どもの質問に答える対話の時間に変えることは容易です」

From madameFIGARO.fr

text: Anne laure Mignon (madame.lefigaro.fr)

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