「検査結果を知るのが怖い」のはなぜ? 不安症に陥りやすい人の心理を専門家が解説。

Lifestyle 2026.02.01

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「Fofo」とは英語の"Fear of Finding Out(知ることが怖い)" の頭文字を取った略語。不安から特定の行動パターンに走ることを指す。フランスの臨床心理士がその裏にある心のメカニズムを解説してくれた。

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最悪の状況を想像してしまうのなら、それは「Fofo」症候群の兆候かもしれない。photography: Getty Images/iStockphoto


検査結果を見るべきか否か。医者に行くべきか否か。そう考えただけで万が一を思い浮かべ、胃がキリキリ痛むのなら、あなたも「Fofo」症候群なのかもしれない。Fofoとは英語の "Fear of Finding Out(知ることが怖い)"の頭文字を取ったもの。とりわけ自分が病気なのではないかと恐れている場合に現れる症状だ。そしてこれは決して稀なケースではない。

アメリカで2025年8月に成人7,000人を対象に行われたがん予防財団の調査によれば、この1年でなんらかの定期検診やスクリーニングを受けた人は51%にとどまり、2024年より10%減少した。フランスでも同様の傾向だ。乳がん検診の受診率は年齢層や地域を問わず2012年の水準(52.3%)をピークにここ10年、低下し続けている。「医者に行くのが不安」な人が増えた結果、2025年にはFofoという言葉が広く知られるようになり、語学学習アプリBabbelが選ぶ「今年の言葉(2025)」のひとつに選ばれた。それにしてもどのような心理からこのような行動を取るのだろうか。

死の不安

臨床心理士で、『Tu crois que c'est grave ?(本当に深刻だと思う?)』(Éd.Larousse刊)の著作があるアントワーヌ・スパスによれば、不安を抱くこと自体は決して珍しいことではない。

「Fofo症候群に医療価値はなく、これは既知の障害、病気不安症の一種です」と言う。説明によれば、病気不安症は相反するふたつの形で現れる。すなわち、医療機関への受診を過剰に繰り返すか、完全に避けてしまうかである。「Fofoは明らかに後者ですね」とアントワーヌ・スパス。具体的には、医者の予約を先延ばしにしたり、検査をキャンセルしたり、採血の日程を決めない。いずれも悪い結果を知りたくないという不安な気持ちからだ。

ちゃんと検査すれば安心するかもしれないのにどうして潜在的な不安を抱えたまま生きることを選ぶ人がいるのだろうか。「病気不安症の場合、不安の根本原因は病気の告知を受けることよりも、その裏にある死と向き合うという点です。それが私たちを最も不安にさせるものだからです」とアントワーヌ・スパスは言う。実際、検査を受ける前に落ち着かない気分になったことは誰でもあるだろう。では、どこからが「正常」で、どこからが病的なのか。「それが頻繁に繰り返され、数週間たっても恐怖が消えず、そしてどんな医学的所見でも安心できない場合です」

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病気不安症になりやすい人

それまでの生い立ちが影響する場合がある。「過保護な子ども時代を過ごし、ちょっとしたことでも大騒ぎする親のもとで育った人や、逆に、非常にハードな家庭環境で育ち、身体的な不調を訴えても無視されてきた人が多いですね」とアントワーヌ・スパス。またこれは予想通りというべきか、不安傾向の強い人、医療に関してトラウマ的体験をした人もFofoに陥りやすい。「重病の近親者を目の当たりにしたり、衰弱していく姿を目の当たりにした人はその反動として病気不安症になりやすいです」と臨床心理士は指摘する。

時代的な要因

こうした不安が今日、ことさらクローズアップされている背景には複数の要因がある。「コロナ以降、医療監視体制が強化され、全体的な不安が高まりました。予防的措置の偏在は時に逆効果をもたらし、多ければ多いほど、不安に感じる人々を作り出してしまいました」

インターネットやSNSも、この現象を加速した。「不安を抱えた人々が答えを求めて集まる専門フォーラムでは、情報を探せば探すほど雪だるま式に、さらに不安を煽る人々に出会うことになるのです」とアントワーヌ・スパスは警鐘を鳴らす。

Fofo症候群を抱えて生きるのは、日常生活に少なからぬ影響を及ぼす。「本人にとって生きることはとても辛いものとなり、常に不安を抱えることになります」と臨床心理士は語る。周囲の人々も同様だ。「身近な人も非常に消耗します」とントワーヌ・スパスは言う。病気不安症の人の心は休まることがない。こうした人は「常に自分を安心させてくれる人を周囲に置こうとします。しかしこれは底なし沼なのです。数時間安心しても不安はすぐにぶり返すのですから」

ではどうすればいいのだろう。
臨床心理士によれば、ケアは2本立てで行われる。まず薬物療法。不安薬や抗うつ薬の処方が「とくに長期的には助けになることがある」。そしてもうひとつが心理療法だ。「自分の身体を大切にすることを学ばずに育ってきた人には、リラクゼーションや催眠療法などの身体的アプローチを含む心理療法が、自分の身体への信頼を取り戻す助けとなりうる」とアントワーヌ・スパスは語る。病気になるのは不可抗力かもしれない。しかし、治療するかは自分次第だ。その単純な真実を受け入れるまでが長い道のりなのだ。

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text: Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr)

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