コーヒーは1日何杯まで飲んでも大丈夫?

Gourmet 2018.12.26

1日あたりの適切なカフェインの摂取量はどれくらいだろう? カフェインの摂りすぎのせいで興奮したり、ドアを開けてくれない同僚にイライラしたりといったことは避けたい。専門家に聞いてみた。

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コーヒーの適切な量とは? photo : iStock

1日あたり摂取するコーヒーは何杯程度にするべきか、他人から警告された経験はあまりないだろう。確かにカフェインを過剰摂取すると、中毒化しやすく、不安感が増したり、イライラしたり、不眠になったり、震えが起きたり、心拍数が増えたりする。しかし、正しい量で消費すれば、コーヒーは健康効果が非常に高い。それでは、何杯までであれば興奮しないのだろうか。

専門機関による推奨

欧州食品安全機関(EFSA)は、2015年にカフェインの安全性に関する提言を発表し、成人(高齢者も含む)のカフェインの最大摂取量を明記した。

「健康な成人は1日あたりのカフェインが400mgを超えないようにしましょう。言い換えると、1回あたり1杯または1杯半に控え、1日あたり4〜5杯までにしましょう。この適量を守れば、健康上有害な影響はありません」とフランス国立保健医学研究所のアストリッド・ニュリグ医師は言う。

もちろん、この推奨量はコーヒーのみならず、お茶(コーヒーより一般的にはカフェインの含有量が少ない)、清涼飲料水、エナジードリンクなどカフェインを含むすべての飲み物に適用される。

EFSAによれば、妊娠中および授乳中の女性は、1日あたり200mgのカフェイン摂取に留めなければいけない。過度のカフェイン摂取は、流産や胎児の未発達を引き起こす可能性がある。「カフェインを含まない飲み物をできるだけ選びましょう。ハーブティーを摂取するようにするとよいですね。 赤ちゃんはカフェインを代謝できないので、その影響は大きいのです」と栄養の専門家であるローレンス・プラメイ博士は述べる。カフェインを摂取すると母乳にも含まれることから、母親は授乳後にコーヒーを飲んだほうがよい。「「もちろん、不眠気味の人、また胃炎や胃酸逆流など消化器系にトラブルを抱えた人は摂取量を制限する必要があります」と同氏は続ける。

エスプレッソvsフィルターコーヒー

コーヒーよりもエスプレッソの方が多く飲むことができる
― フィリップ・ポイヤール教授

まずは両者の違いを知らなければいけない。「多くの人が驚くでしょうが、フィルターコーヒーに比べてエスプレッソのほうがカフェインの含有量は少ないのです。焙煎中にカフェインが揮発するため、深煎りであればあるほどカフェインの含有量が減ります。つまり、1日に飲むことができる量としてはフィルターコーヒーよりもエスプレッソの方が多いのです」とラサール・ボーヴェ工科大学で食と健康について研究をするフィリップ・ポイヤール教授は述べる。

専門家による推奨はあくまで一般的な目安であり、実際はそれぞれの体質による。「新陳代謝が悪い場合には当然カフェインの代謝も遅いので、カフェインの摂取も控えめにしてゆっくり少量を味わうようにしましょう」とニュリグ医師は説明する。

体質的に、夕方5時にコーヒーを飲んでも眠れる人もいるし、そうでない人もいる。「カフェインは脳内にある眠りを誘う受容体(アデノシン受容体)と結合し、アデノシンの働きを抑制することで眠気を覚ますのです」と同氏は述べる。ポイヤール教授は以下のように説明する。「適度な量であれば、コーヒーは中枢神経系を刺激し、アルツハイマーを発症するリスクを下げます。また、眠気を減らし、覚醒する効果があります」

15年9月に発表されたカフェインに関する論文の中で、ニュリグ医師は心血管疾患に対するコーヒーの効果について強調し、またパーキンソン病の発症リスクを60%低下させると述べている。

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texte : Ophélie Ostermann (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi

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