東京で食べるイタリア郷土料理。#03 【イタリア郷土料理】ローマ生まれのカルボナーラ。
Gourmet 2019.09.28
発売中の「フィガロジャポン」本誌11月号は、イタリア特集! それぞれが個性的な町や村がモザイクのように煌めく、イタリアの魅力がぎゅっと詰まった一冊です。オンラインでは、東京のイタリア料理店でいただける、イタリア10州の郷土料理をフィーチャー。ラツィオ州からは、日本でも大人気のカルボナーラをご紹介。
ラツィオ州「カルボナーラ」
エル ビステッカーロ デイ マニャッチョーニ(銀座)
「スパゲティ カルボナーラ」¥1,500。カルボナーラとは炭焼き職人の意味。最後に黒胡椒をかけるのが定石だ。ここでは、リガトーニではなく太めのスパゲティを使用。
いまや、日本人にとって定番パスタのひとつであるカルボナーラ。クリーミーで濃厚な口当たりが人気のパスタだが、その発祥の地がローマであることはあまり知られていない。最近は生クリームを使う店もあるが、現地の伝統的なレシピでは、意外にも生クリームは使わず、卵とチーズ、グアンチャーレ(豚の頬肉の塩漬け)に黒胡椒のみ。麺はロングパスタではなく大きな穴のあいたショートパスタのリガトーニ、チーズはパルミジャーノではなく羊のミルクで作るペコリーノロマーノを使うのが正統派だ。
銀座「エル ビステッカーロ デイ マニャッチョーニ」のシェフ、山崎夏紀氏によると、古代ローマ以来約3000年の歴史を持ち、イタリアの首都でもあるローマには、イタリア全土の料理が集まっているそうで、なかでも特徴的なのは庶民の料理なのだそう。またイタリア最古のチーズといわれるペコリーノロマーノは、ラツィオ州のローマ近郊で作られてきたチーズで、ローマ料理には欠かせない存在。強めの塩気とコクが味の決め手となる。
「トリッパのトラステヴェレ風煮込み」¥1,800。ハチノスをトマトソースで煮込み、ミントを添えるのがローマスタイル。食肉処理場が近くにあったトラステヴェレではおいしい内臓料理が生まれたという。
ローマで6年の修業経験を持つ山崎シェフによれば「トリッパの煮込みや牛テールの煮込みといった内臓料理をよく食べますね。また、アバッキオ・ア・スコッタディート(仔羊のグリル)やポルケッタ(仔豚の丸焼き)といった肉料理も、ローマではおなじみの料理です」とのこと。地理的にも、山と海に近いラツィオ州は、アーティチョークなどの野菜や肉、魚など豊かな食材に恵まれ、それゆえ素材の持ち味を生かした素朴でシンプルな料理が多いことも特色だろう。
店名の「ビステッカーロ」はステーキ職人の意味。マニャッチョーニはローマの方言で食いしん坊たちを表し、その名のとおりTボーンステーキなどの塊肉とローマ伝統の料理を気取らず楽しめるトラットリア。お値段もお手頃。
東京都中央区銀座3-9-5 伊勢半ビルB1F
Tel. 03-6264-0457
営)17:00~22:00L.O.(火〜金) 11:30~14:00L.O.、18:00~22:00L.O.(土、日、祝)
休)月
http://bisteccaro.tokyo
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photos : KAYOKO UEDA, texte : KEIKO MORIWAKI