東京で食べるフランス郷土料理。#01 【東京でフランス郷土料理を】バスクの海山の恵みの味。

Gourmet 2020.07.24

豊かな恵みをもたらす海と山を擁する、美食の国フランス。日本でも知られている名物料理から、味わったことのない逸品まで、フランスには地域ごとの個性あふれる郷土料理がある。旬の食材を用いて、代々受け継がれてきたそんな郷土料理の数々を、フランスの6つのエリアから紹介します。第1回では、フィガロジャポンで旅特集も組んだバスク地方の料理にクローズアップ。

Basque
土地の魅力を凝縮したスープ「チョロ」。

サンジャン・ピエドポー(渋谷)

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「チョロ」はバスク独特の真鯛やスズキなどの魚のアラでとるフュメ・ド・ポワソンと、生ハムやキントア豚の骨でとった出汁を合わせたスープ。後口にジワリと生ハムの風味とコクが残る。コースの一品として提供されるほか、アラカルトでも注文可能。小¥1,350(写真)、大¥1,650

独自の伝統的な食文化で知られるバスクとは、ピレネー山脈を挟んで、フランス南西部とスペイン北東部の双方にまたがる地域のこと。そして、その北東部にあたる北バスクがいわゆるフランスバスク。ピレネー=アトランティック県に所属する美食の街だ。

「ピレネー山脈の麓に位置し、大西洋にかかるビスケー湾にも面しているバスク地方は、日本とよく似ていて、海と山の幸に恵まれている点が特徴のひとつでしょう。エスプレットと呼ばれる唐辛子もよく使いますね」とは、渋谷のバスク料理店「サンジャン・ピエドポー」の和田直己シェフ。修業先でもあるフレンチバスクの巡礼の街にちなんだネーミングには、食を含め、文化も人も丸ごとバスクが大好きというシェフの想いが込められているかのようだ。

それだけにメニューはほぼバスク一色で、なかでも珍しいのが「チョロ」。南仏地方で見かける魚介のスープに似てはいるが、大きな違いは魚介の出汁に生ハムやキントア豚の骨でとる肉系の出汁も加えていること。まさに海と山の幸を融合させたスープで、双方の出汁が醸し出す複雑な旨味の余韻が秀逸だ。

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「小エビとタラのピルピル」小¥2,750。自家製の塩タラと小エビをオリーブオイルでコンフィにする要領で加熱。タラから出る水分やコラーゲンとオリーブオイルが乳化することで生まれる、なめらかなソースが美味。ちなみに“ピルピル”とは、ソースが沸騰しはじめる時に出る音から付いた名前。大¥3,100もあり。

いっぽう、バスクを代表する味なら「ピルピル」だろう。干しタラにニンニク、オリーブオイル、唐辛子とバスクの特産品で構成された素朴な一皿で、それだけに奥が深いのも事実。本場バスクでは選手権があるほどポピュラーな食べ物だそうだ。

また、バスクならではの食材といえばキントア豚。純血度100%のバスクの地種豚で、シャルキュティエだったピエール・オテイザ氏により絶滅を免れた幻の豚だ。やや赤身を帯びた肉は、肉本来の濃い旨味と脂の上質な甘味が持ち味。ここでは本来の味を生かすべくシンプルにグリエにしている。和田シェフいわく「バスクの料理は決して派手ではないけれど、どこかしみじみとした温かみがある。伝統を大切にした、心に沁みる味わいが大きな魅力ですね」

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「キントア豚のグリエ」大(200g)¥3,100。小(150g)¥2,750も用意。「ストレスフリーで育ったキントア豚は、肉の旨味と脂の甘味が秀逸」とは和田シェフ。ロースのヒレ下の部分を、塩とコリアンダーで味付けして焼いている。

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和田シェフのバスク愛が詰まった店。バスク地方の民族衣装であるベレー帽が壁に飾られている。

サンジャン・ピエドポー
Saint-Jean-Pied-de-Port

東京都渋谷区東1-27-5 シンエイ東ビル 2F
tel:03-6427-1344
営)11時45分~13時30分L.O.、18時~23時30分L.O.
休)日 ※8/24、25は夏期休業
http://home.s01.itscom.net/st-j-p-p


✳︎テイクアウトのお弁当¥800(14時以降は¥1,000)も用意。電話またはフェイスブックのメッセンジャーより要予約。

※この記事に記載している価格は、標準税率10%もしくは軽減税率8%の税込価格です。

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photos : KAYOKO UEDA, texte : KEIKO MORIWAKI

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