フィガロジャポン編集部の、ワイン本気飲み! 夏に飲みたい! 手土産にも最高な、南仏のロゼ8選。

Gourmet 2023.07.03

カレンダーが7月になって、暑さも気分も本格的に夏! ワイン好きの夏のスタートは、ロゼで決まり。透明ボトルから透けるピンク色が本当に綺麗なロゼワイン、よくよく見ると、一本一本、色に微妙な違いが。たくさんの種類を並べてみると、その差は一目瞭然。そして、思っている以上に味にも違いあり......。

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セレクトした8本は¥2000〜3000台の南フランス産ロゼ、スティル(非発泡)ワイン。毎日のアペロから、保冷バッグに入れてホームパーティーの手土産にまで活躍間違いなしのセレクション!

今回、編集部が試飲した南仏の8本は、基本はスッキリした辛口。クールな味、リッチな味、まろやか系......夏のスタートを切る一本はどれにする?どれを選んでも、まずはしっかり冷やすのが鉄則です。

今回の試飲参加者:
浅妻千映子 J.S.A.認定ワインエキスパート。フードライターとして雑誌やウェブメディアで取材、執筆する傍ら、ワインスクールのアカデミー・デュ・ヴァンでワイン&クッキングクラスの講師をしていた経験も。好きなワインのタイプは海、汗、火花、キノコ、鉄棒、鉛筆など感じる、ミネラル系。
まりモグ フィガロジャポン編集部、本誌グルメ担当。2021年、J.S.A.認定ワインエキスパートを取得。好きなワインのタイプはブルゴーニュをはじめとした冷涼地系。
編集YK フィガロジャポン編集部、WEBグルメ担当。ワインエキスパートの試験を目前に控え、最近ややナーバスに......。好きなワインのタイプはイタリアをはじめとした日当たり良好系。

>>関連記事:フィガログルメ班のワイン談議、その1

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MINUTY PRESTIGE 2021コートドプロヴァンス

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シャトー ミニュティー プリスティージ 2022」アルコール度:12.5% 品種:グルナッシュ、シラー、サンソー、ロール ¥3,410

まりモグ(以下M)最初の一本はこちらです。

編集YK(以下Y) ボトルがとにかく綺麗で、結構淡い色ですね。ここ(編集部の会議室)の白いテーブル、色がわかりやすい!

ワインスクールのテーブルやライトもこんな感じですよね。ワイン試飲に最適な会議室笑。こちらのワイン、香りは薄めな感じ?

浅妻(以下A) 口にするとかなりスッキリ。ジューシーな感じではなく、シャープな感じです。エチケットの見た目の印象通りかな。背高、スリム。

最初、アルコールを感じるんですけど。12.5%ですね。それほど高くはないか。もうちょっと冷えててもいい気がします。冷えてたらもっとごくごくみたいな、水みたいな。

うんうん。ジュース的に甘くてゴクゴク飲めちゃうって意味じゃなくて、大人のゴクゴクよね。

「味わう」というより、「潤す」というタイプ? 暑い日はいいかも。

結構、余韻はある気がするんですが。

淡麗辛口、「新潟の日本酒」的な。

ああ!

全然えぐみみたいなものもなさそうですし。

繊細な感じでね。後で戻ったら印象が全然違いそう。

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ROSE MONT ROSE 2022

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「ドメーヌ・モンローズ ローズ・モンローズ2021」アルコール度:12.5% 品種:グルナッシュ、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー ¥3,150

このワインの名前、山? バラ? そういう意味ですか?

このエリアに、「モンローズ」って火山があるそうです。ふたつのワイナリーに挟まれたところに。これはAOC(=「原産地呼称」。産地によって品種、栽培方法、醸造方法を規定している。)をわざと外して、Pay D'ocの規定にしているとのこと。規則に縛られずに好きな作り方ができるようにっていうことですかね。

(グラスに入ったのを見て)あれ、淡い! すごいきれいなピンクじゃないですか。まさに桜色ってやつです。

ソメイヨシノの淡い色。テンション上がりますね。

香り、さっきのより華やかですね。

うん、いわゆるロゼっぽい。果実味があって。

ちょっとトロンとした感じというか。(飲んで)うん、お花見ぴったり!

お、結構酸が。柑橘系のもの齧ったような。香りの感じから、もっと華やか系かと思ったんですが、意外とシャープな酸です。

野菜や魚介のフリットにいいかも。レモンをかける代わりにこの柑橘感を合わせてみるとか。

野菜や魚介にとどまらず、鶏の天ぷらなんかもどうですか? かしわ天ってやつ。あれに合わせてみたいかも。唐揚げにするようなモモ肉ではなく、胸肉とかささみのさっぱりとした肉質の天ぷらに良さそうです。

これもアルコールは12.5%、決して高い度数ではないですね。

お値段は?

これ3,000円台です。

ああ、先ほどのよりこっちの方が口の中で横に広がりがある。フランス人はどう感じるのかわからないけど、日本人には馴染みがあって大好きな、この桜色。何度見ても綺麗で、私としてはこのワインのイチオシポイントかな。

ブラインドで飲んだら「白?」っていっちゃいそうなタイプです。

まさに酸の強い白に近い。じっくり飲むと若干、皮の渋みみたいなのも出てきて、それがロゼっぽいという気もするかな。

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THE PALE 2022

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シャトー デスクラン ペール」アルコール度:13% 品種:グルナッシュ、サンソー、シラー ¥2,200

これはシャトー デスクラン2022のお披露目の機会に飲んだ、デスクランのエントリーラインですね。

ボトルもラベルもポップで可愛く。

グラスに入れると透明感があって綺麗ね。さっきよりちょっと紫っぽい感じもある?

香りはそんなに立ってこないですね、アルコールを感じる......、13%ありますね。

ちょっと僕、氷入れたい感じがあるかもです。タンブラーとかに入れてロックスタイルでやりたいかも。

ややまったりとした甘さを感じるので、温度が上がってくるとゆるっとした感じになりそう。冷たいうちに早く飲み切りたい感じ。甘ったるいというわけではないんだけど、いままでの中では余韻に甘さあり。

いままでの2本がシャープだったこともあり。

ボトルはほんとおしゃれですよね。底に「THE PALE」って書いてあるという。

ほんとだ、これはオリジナルボトルですよね。おしゃれな形!

このワインの展示会に行った時、アンバサダーの方が、「普段ワインを飲まない人にもアプローチしたい」「料理にも合わせてみてほしい」って言ってましたね。

料理、何が合うと思います?

サラミとかかな?

ピンチョス的な。

ワインもよく冷えた状態でね。

和食とかは難しそう。

さっきの「ローズ モンローズ」はお花見弁当とかにあいそうだけど、これはちょっとタイプ違うかな。ガッツリ肉というわけではないけれど、塩が効いたような感じの......、やっぱりサラミが浮かびます。

スクリューキャップなのはポイント高いですね、冷蔵庫で横にしがちなので。これなら安心。あと、南仏の人って結構ロゼに氷入れるじゃないですか。ニースの人とかそんなイメージありますけど。それのスタイルを真似てみたくなるロゼです。

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CHATEAU D'ESCLANS WHISPERING ANGEL 2022

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シャトー デスクラン ウィスパリングエンジェル」アルコール度:13% 品種:グルナッシュ、サンソー、ヴェルメンティーノ ¥3,410

次はシャトー デスクラン ペールの上位ラインですね。

あ、好きな色だな!テンション上がる。

サーモンピンク、一歩手前ってとこでしょうか。この間、展示会で試飲した時に生産者から説明を受けた言葉が頭に残っているから特にそう思うのかもしれないですが、飲むと若干バター感があってリッチな感じがするんですよ。でも、通常、そういう味を感じる時にしているマロラクティック発酵(=ブドウにあるリンゴ酸を、乳酸と炭酸ガスに分解する発酵)はしてないらしいんです。バトナージュ(=タンクの中の澱の入ったワインをかき混ぜる)を1週間に2回することで、こうしたリッチな風味が出るんだとか。

熟成香とまではいわないけど、バターとかキノコとか、その辺のリッチな感じがします。いままでの3本から一転、料理を欲する感じに来たなって感じ。

余韻もあるね。

Y 「ロール(地方によってはヴェルメンティーノと呼ぶ)という品種が入っているからより複雑感が出る」とアンバサダーは言ってましたね。2022年、最新ヴィンテージがリリースされたばかりです。

料理を合わせるなら、マッシュルームのサラダとか、ソテーとかどうでしょう。はい、きのこ好きです。

「ロゼ」っていうところのイメージに近いでしょうか?

どうだろう。一般的にはもっと果実味豊富なイメージですか? スッキリ辛口のイメージを持っているなら、ちょうどいいかも?

南仏のロゼは、(ロワールの)アンジューとかの甘口ロゼみたいにはならないってことなんですかね。ていうかあれ、フランス人はどのタイミングで飲むんでしょう? デザートワインとして?

スイーツとかなら合うのかな?

あまり飲まなくて過剰分が日本に? なんて言いつつ、グロロー(ロゼダンジュを作る時の品種)の微発泡甘口、結構好きです(笑)。よく冷やせば、ミネラル豊富な大人のジュース!

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FRENCH TOUCH 2021

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「フレンチ・タッチ ロゼ 2021」アルコール度:13.5% 品種:グルナッシュ、サンソー ¥1,950

洒落たボトルデザインですね。エチケットにフランスの国旗の色が。

「夏に飲んで!」って言ってない? これをいま飲まなくていつ飲む!

これも色が可愛い。味に期待。

20%シラーが入っているって書いてありますね。

シラーの色の濃さなのかな。(飲んで)......あ、これまでの4本と違う。シラーって聞いたからかもしれないけど、骨格みたいなもの感じる。

うんうん、一気に力強くなったね。

おお、見た目に反して優しい味はしてない!

「フレンチタッチ」ってこういう意味なの?笑

ボトルって作り手の方向性を示すじゃない? って考えると、これはまさにボルドー型ね。

骨格もあるし、程よい酸味もある。

そんなに余韻は長くないですね、これ。

これにも若干、熟成感、キノコ感じるな。いいワインに通じるような。

実は! これ1900円台なんです。

ええ!

それは衝撃! ここまで飲んだ中でいちばん好きです。ブドウの複雑さも感じたりして。

複合的というか重層的な感じ。奥行きがある。今回のダークホースかも!

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HECHT & BANNIER 2021

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「エシュ・エ・バニエ / コトー・デクサン・プロヴァンス・ロゼ 2021」アルコール度:12.5% 品種:グルナッシュ ¥3,080

(飲んで)ん。これ、ちょっと面白いよ。若干青臭さと、何よりミネラルが出てきた。

ミネラル、いますね!

ソーヴィニヨン・ブランじゃないけど、白のアロマティック系のような。

これまたすごい美味しい!

相当余韻も長いですね。

でもこれ、飲み慣れている人向けかもしれない。20代女子に「ロゼください!」って言われてこれ出したら、ちょっと違うってなるかも。あと、このガラスの栓が好きです。ちなみに私、ここの泡を飲んだことがあって、それがめちゃくちゃ美味しくて! ワイン仲間と「このコスパの良さは何?」ってざわついて。だからロゼも多分いけるだろうと思ってのセレクトでした。

これは相当好き。1番が入れ替わってしまった(笑)

ソーヴィニヨン・ブランぽいっちゃソーヴィニヨン・ブランぽいっすね......、あれ、品種はグルナッシュとサンソーだけだ。

え、そのふたつだけ? それでこんな味が出るんだ。製法なのかな?

白ワイン感ありますよね。

このミネラル感はまさに美味しい白。好み〜! でも、これ変わっていくよ。すでに変化してます。温度が少し上がってもおもしろいかも。

タンニン若干感じますね。

肉でもいけそう。真っ赤じゃなければいけると思う。

厚めのベーコンかな?

トリッパ系の煮込み。あとは淡い味の角煮とか、スペアリブを煮たのとか、豚のねっとり感に合うような。焼き鳥なら皮。なぜだろう、コラーゲンを欲する。

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Domaine Laffitte

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「ドメーヌ・デ・フレール・ラフィット」アルコール度:11.5% 品種:マルベック、メルロー ¥2,200

(開けながら)お、合成コルクですね。んー、これちょっと開けにくいんですよね......。

夕陽っぽい感じの色。そしてこの匂いはよく嗅ぐ。酸味、酸味の後に、白い部分。

ちょっと甘やかね。

マルベック、メルローで作ったロゼだそうで。割と酸はあるような。ちょっとレモン感とか?

あとちょっと青さがある感じ?

若いメルローとか感じますかね。

今日唯一のAOCガスコーニュですかね。

なぜだろう、急にお腹がいっぱいになる感じが?

でもアルコールは11.5%ですね。

いままででいちばん低いんじゃない?

もっと豊満な感じがしました。

辛口ですがバランスとしては酸より糖って感じかな。まだあまり冷えてないのもあるかも。

これも氷入れても大丈夫なのでは?

全体にしっかりしている。

みんなのコメントが赤ワイン寄りになってる(笑)

いままでのと、ひと味違いますね。

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INVIVO × SARAH JESSICA PARKER 2020

これは以前一度飲んだんですが、一緒に飲んだ妻がえらく感動してました。ちなみにこれの白もめちゃくちゃ美味しいんです。白はニュージーランドのソーヴィニヨン。でも、こっちはプロヴァンスのロゼ。会社はニュージーランドっていう、ちょっと複雑なんですけど笑。

サラ・ジェシカ・パーカーが監修という。

さすが、おしゃれなエチケット。色味はちょっとオレンジが入ってます。

ん、ちょっと還元臭? ナチュール飲む時みたいな。

そしてなんだろう、この熟成感は。

僕、最後に紅茶感が残ると思ったんですよ。

私、好きかも!

熟成ブルゴーニュ的な感じがする!

あ、だから好きなのか。「冷涼地が好きなイヤな女」っていう(笑) でもプロヴァンスっぽくないというか、太陽をあんまり感じない気がして。陰性な感じ?

冷涼地、確かに。ブルゴーニュというより熟成したシャンパーニュみたいなニュアンスか? ちょっと誉めすぎですか笑?

M「ロゼ飲みたい」ってこれ出されたら、なんか違うかも。でもフツーに冷たいワインを飲みたいって時にこれを出されたらすごいうれしい。普通のロゼワインとはちょっと違うね。

ヴィンテージはロゼとしては熟成の2020ですね。アルコールは12%。余韻が紅茶で、柑橘もあるからちょっとベルガモットティー的なニュアンスがあるんじゃないかと思います。

ワインとしては好きな1本。私、ロゼって絶対中華と合わせたいんですけど、これ、メニューを選ぶな〜、焼き物はいけそうだけど。

ちゃんとしたワインバーで出てきそうなワインです。大きいグラスでいきたいかも。

これ、オフィシャルで3,000円ぴったりくらい。酒販店さんによっては若干安くなってるので、マジ買いですね。ちなみによくお世話になる信濃屋だと、ソーヴィニヨン・ブランも同じくらいの価格帯でした。

ロゼでこんなことできるんだって感じの味。

南仏のブドウですけど、作り手が新世界の人だから感覚が全然違うのかもしれないですね。

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【おかわりタイム】

「シャトー ミニュティー プリスティージ 2022」、いちばん最初に飲んだからすごい酸だと思ったけど色の通り、優しいかもですね。綺麗。

温度が上がってくると、香りが香水っぽいかなと思って。

スルスル入る感じですかね。どれがいちばんロゼっぽいですか?

Y ウィスパリングエンジェル」、「フレンチタッチ」がいわゆるロゼっぽかったですね。食事に合わせたいのがこの辺から。

ロゼって万能のイメージあるけど、そんなこともないぞって。「ドメーヌ・モンローズ」飲んでもいい?......やっぱり色が綺麗だな。桜餅を感じる味までする。どこまでも桜だわ。

清涼感も感じますね。そしてどこまで行っても酸味はいますね。

やっぱり「和」。これ飲みながら松花堂弁当。

フレンチタッチ」もう一回行きたい。......あ、おいしいわ、やっぱり。キャピキャピ感がないんだよね。

家族で飲める。

そのテーマいる?笑

いやいや、そんなにワイン詳しくない人にも出しやすい価格帯かと笑。

>>関連記事:連載『グルメ班のおいしいこぼれ話』一覧はこちら!

text: Chieko Asazuma

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