いま行きたい店、2023年最新版。 独自のアレンジが光る、新しい和食。
Gourmet 2023.12.24
日本料理の伝統を大切にしながら、時に薪火を取り入れたり、時に自然派ワインを組み合わせたり。ほっと落ち着く味の中に新しい感性が光る、新時代の和食。
1. 東山無垢[ 中目黒 ]
2. シゼン[ 渋谷 ]
3. 青森割烹 あずましく[ 神保町 ]
4. 目黒それがし[ 目黒 ]
5. イモコ[ 世田谷 ]
Higashiyama Muku|東山無垢
[ 中目黒 ]
実直な仕事から生まれる、滋味深く純朴な味。
料理はいずれも¥16,500のコースから。うざくに使ったウナギは店主の地元・宍道湖の天然もの。皮をパリパリに焼き、薬味と加減酢、追い出汁で和えた。日本酒は島根の「王禄」などを揃える。1合¥1,320~
イチョウの木のカウンターが印象的な店内は、白を基調とした凛とした趣。一切の無駄を排したシンプルな内装同様、料理もいたって純朴だ。「華美なハレの料理ではなく、より上質な普段の味を突き詰めていきたい」とは三島立己店主。蔵囲利尻昆布と本枯節で丁寧にとる一番出汁など和食のセオリーは守りつつ、ウナギの蒲焼きは加賀太キュウリやミョウガと合わせてうざく風に仕立てるなどアレンジも巧み。コースは16,500円という、コスパの良さも見逃せない。
アマダイとマツタケのお椀。アマダイは酒蒸しにして椀種に。昆布は福井・敦賀の奥井海生堂、カツオ節は東京・本郷の鵜飼商店と、出汁への思い入れも深い。
三島店主は島根県出身。横浜の日本料理店、鶴寿の料理長を経て、今年7月に独立。
東京都目黒区東山1-15-5 静宏荘1F
tel:070-3149-4112
営)18:00~20:00最終入店
休)月 ※ほか不定休あり
要予約
https://higashiyama-muku.jp
photography:Tomo Ishiwatari
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Shizen|シゼン
[ 渋谷 ]
薪火と発酵を巧みに操り、和食の新境地を拓く。
料理はいずれも¥19,800のコースから。左から、皮目を薪火で炙ったサンマに、肝ソース、ホップの芽を加えたお造り、薪焼きしたキンメダイに麹、ギンナンのすり流しを合わせたお椀。お酒は、ナチュールや生酛の日本酒など、自然な造りのもの。7杯のペアリングで¥11,000
土壁に囲まれたほの暗い空間、聞こえるのはパチパチという薪火の音だけ。ここで供されるのは、発酵をテーマにした和の料理。そのほとんどが、薪火で調理される。國居優料理長は、神楽坂の懐石小室で修業した後、アルザスの領事館で公邸料理人として活躍。彼の地で薪火料理やシュークルートといった発酵料理の魅力に気付き、自身の料理に取り入れた。自家製のコンブチャや発酵果物などを活用した料理は、酸味が絶妙。清々しい食後感も印象的だ。
発酵棚には摘果したシャインマスカットなど、50種ほどの発酵ものが並ぶ。
左官職人が手がけた土壁が目を引く。BGMはない静かな店内。
東京都渋谷区渋谷3-6-18 荻津ビル3F
tel:非公開
営)17:00~、20:00~(月~金) 16:00~、19:00~(土、日、祝)
不定休
要予約
https://sakai-shokai.jp/shizen
photography:Tomo Ishiwatari
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Aomori Kappo Azumashiku|青森割烹 あずましく
[ 神保町 ]
割烹料理を通して、青森食材の魅力を発見。
津軽金山焼の青森県形を模した皿で供する刺し身。アラと呼ばれる青森の幻の魚やキジハタ、ウニ、マグロなど日によって替わる。1人前¥1,500(写真は2人前)
刺し身、肉や野菜の炭火焼きに土鍋ご飯。和食の「食べたい!」が揃うこの店では、魚は9割、肉はすべて青森産。「青森の魅力を食材を通して知ってもらいたい」という弘前出身の店主が営む。父が釣った大間のマグロや、噛むと旨味がにじみ出るあおもり短角牛など、食材を徹底的に吟味。それらと丁寧に向き合い生まれた料理は実直なおいしさがある。冬にはじゃっぱ汁といった郷土料理も登場。
「あおもり短角牛の炭焼き」100g ¥2,500。取材時の部位はリブロース。炭とオーブンを使い分け、ゆっくりと火を通していく。リンゴを使ったほんのり果実味のあるソースと。
シードルやクラフトビールなどお酒もほとんど青森産。日本酒は、「豊盃」「田酒」といった定番はもちろん、レアな酒も。1合¥840~
和食一筋の店主は「郷土料理専門にはせず、あくまでも割烹料理を」とこの店をスタート。
東京都千代田区神田猿楽町1-4-2 1F
tel:03-5244-5618
営)11:45~13:30L.O.、17:30~21:30L.O.(月~木) 17:30~21:30L.O.(金~日)
不定休
https://azumashiku.com
photography:Aya Kawachi
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Meguro Soregashi|目黒それがし
[ 目黒 ]
炭火焼きと太巻きが好評、人気酒場の最新店。
手前から、「米沢牛炭火焼き」¥4,180、「キャベツの酒盗炒め」(写真はハーフサイズ)¥385。ワインはほぼナチュール。グラス¥990~
人気酒場、それがしの3店舗目。酒盗を使ったポテトサラダなど、それがし定番のひと捻りしたメニューに加え、新たに炭火を導入。旬の魚介や選りすぐりの和牛を風味豊かに楽しませてくれる。また、マグロや穴子を主役にした鮨店顔負けの太巻きも。日本酒に加え、ナチュールのラインナップも強化。気軽な和食店としても通える、使い勝手のいい一軒だ。
「本マグロの鉄火太巻き」¥2,640。鮨飯にはバルサミコ酢を隠し味に入れている。テイクアウトも可。
目黒駅前のビル2階、昭和な雰囲気漂う中、扉を開ければスタイリッシュな空間が広がる。テーブル席や個室も用意する。
東京都品川区上大崎2-27-1 メグロードビル 202&203
tel:03-6417-4700
営)17:00~22:30L.O.
無休
www.soregashi.jp/meguro
photography:Aya Kawachi
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Imoco|イモコ
[ 世田谷 ]
毎日でも食べたくなる、旬を生かしたコース。
前菜3種盛りは¥3,500のショートコースから。この日の前菜は、自家製マヨネーズを使ったサツマイモきんとん、加茂ナスとズイキの梅煮、水菜と生湯葉の炊いたん。日本酒は「悦凱陣」など、しっかりした味わいの純米酒が多い。半合¥550~
サツマイモの名産地、川越出身の女性店主が始めた小さな料理店。おばんざい店から日本料理の2ツ星店まで幅広く和の料理を学んだ澤畑加世子店主は、薬膳の資格を持つだけに、旬のものや食材の組み合わせを重視。サツマイモきんとんには黒糖で炊いた黒豆と玉ネギを、ふっくらとしたアナゴの海苔巻きには奈良漬けを挟むなど、味はもちろん食感も楽しい。純米酒など、店主が厳選した旨味のある日本酒と一緒に味わいたい。
¥7,500のコースより「煮アナゴと奈良漬けの海苔巻き」。浅草、ぬま田海苔のコクと旨味のある海苔が、ふっくらした煮アナゴとご飯にマッチ。
たまり醤油と古酒みりんなどで煮た柔らかな「牛テールとダイコンの煮込み」は、コースにプラス¥500
約6坪、8席の小体な店。世田谷駅から徒歩数分。
photography:Aya Kawachi
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●掲載している料理や商品の価格は、標準税率10%の消費税を含んだ価格です。取材時から、価格が変わる可能性があります。
●店によって、別途サービス料等がかかる可能性があります。
●掲載店の営業時間や定休日、掲載している料理は、変更になる可能性があります。最新情報は各店舗にお問い合わせ、もしくはHP等を参照ください。
*「フィガロジャポン」2023年12月号より抜粋
text: Keiko Moriwaki