「ブリュット」「ヴィンテージ」「ブラン・ド・ブラン」......シャンパーニュ用語を覚えれば、選択肢が広がる!
Gourmet 2024.12.20
ワインの中でも特別なのが、シャンパーニュを筆頭に心ときめく"泡"! 伝統製法によるキリリとした味わい、ナチュラルで優しい泡立ちなど、バラエティ豊か。泡の製法や生産国の特徴を知って、お気に入りを見つけよう。
覚えておきたい、シャンパーニュ用語
ブラン・ド・ノワール
意味は「黒の中の白」。ピノ・ノワールやムニエなど黒ブドウだけで造られる。黒ブドウの果皮のタンニンが溶け込んでおり、芳醇でコクのある味わいに仕上がる。単一品種だけのものやピノ・ノワールとムニエをブレンドしたものなどスタイルも多彩。近年ではシャンパーニュ地方の南、コート・デ・バール地区のムニエだけで造られるレコルタン・マニピュランのブラン・ド・ノワールも注目されている。また、「ピノ・ノワールの名手」と謳われるメゾンのブラン・ド・ノワールは力強くもエレガントで"シャンパーニュ通"の心をくすぐるものが多い。
01. ボランジェ/ピー・エヌ ヴィ・ゼッド 19
ピノ・ノワール100%。グラン・クリュ(特級畑の村)のヴェルズネイのブドウをメインに使用。ベリーや南国系果実の香り。芳醇さと繊細さを併せ持ち、奥深く、複雑な味。"ジェームズ・ボンド御用達"として知られる老舗メゾンで、ピノ・ノワールを得意とする。●750ml¥23,100/ワイン・トゥ・スタイル
ロゼ
華やかなバラ色に心ときめくロゼの造り方は2通り。「ロゼ・ド・マセラシオン」は黒ブドウの果皮ともに果汁を36時間マセラシオン(浸漬)して色を得る方式。黒ブドウを圧搾後、適度に色がついた時点で果汁を抜き取るロゼ・ド・セニエはロゼ・ド・マセラシオンの一種だが、浸漬の時間が8〜12時間と短い。もうひとつが「ロゼ・アッサンブラージュ」。白ワインにシャンパーニュ地方産の赤ワインをブレンドする方式で、これはシャンパーニュ独自で認められた造り方。また、かつては色付けにエルダーフラワーなどのハーブ類が使用されていた。
02. ヴーヴ・クリコ/ローズラベル
ピノ・ノワール、シャルドネ、ムニエをブレンド、サーモンピンクの色合いが美しい。チェリーやアプリコットの香りで果実味豊か。華やかで革新の精神に満ちたメゾンで、ハーブで色付けするのが一般的だった時代にいち早く赤ワインのブレンドを実践したのが、同メゾンの中興の祖であるマダム・クリコだった。●750ml¥10,725/MHD モエ ヘネシー ディアジオ
ブラン・ド・ブラン
白ブドウのみで造られる「白の中の白」。酸味が凛として、爽やかな味わい。シャンパーニュ地方では、アルバンヌ、プチ・メリエ、ピノ・ブラン、ピノ・グリ(すべて白品種)の使用も許されているが、多くはシャルドネのみで造られる。特に「シャルドネの聖地」と呼ばれるコート・デ・ブラン地区のブラン・ド・ブランは「高貴でエレガント」と専門家からの評価が高い。"シャルドネハウス"と称されるメゾンは、自社のシャルドネに誇りを持っており、ブラン・ド・ブランをプレステージラインに位置付ける生産者も多数。
03. ルイナール/ブラン・ド・ブラン
シャルドネ100%。エペルネの南に位置するコート・デ・ブラン地区の繊細なシャルドネとモンターニュ・ド・ランス地区の芳醇なシャルドネをブレンドし、美しいハーモニーを生み出している。白い花や白桃、アーモンドなど甘やかな香り。1729年創業、シャンパーニュ最古のグラン・メゾン。上品で優雅なスタイル。●750ml¥15,290/MHD モエ ヘネシー ディアジオ
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ヴィンテージ
シャンパーニュの基本スタイルは複数の畑、複数年のワイン(リザーヴワイン)、複数の品種をアッサンブラージュする「N.V.(ノン・ヴィンテージ)」で、メゾンの個性が明確に表れる。これに対し、単一年のブドウのみ、リザーヴワインを使わずに造られるのが「ヴィンテージ(ミレジム)」で、ラベルにはブドウの収穫年が記される。その年の天候が味や香りに反映されるのが魅力。瓶詰め後の熟成期間も長く、法律規定では「3年以上」だが、実際は5年から10年、あるいはそれ以上に及ぶことも。美しく熟成すると深みのある味わいへ変化していく。
01. ドン ペリニヨン/ヴィンテージ 2015
ピノ・ノワールとシャルドネ、相反する2種類のブドウをブレンド。菩提樹やジャスミン、カカオのアロマ。奥深く、広がりのある味で、知性とセンシュアリティを感じさせる。2015年は雨が少ない酷暑の年。収穫を早めて、それぞれの畑の最良のブドウを選んだ。●750ml¥37,180/MHD モエ ヘネシー ディアジオ
レコルタン・マニピュラン
自社畑のブドウのみでシャンパーニュを造る小規模の栽培者兼醸造業者のこと。シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会(ComitéChampagne)から交付された業態のひとつで、ラベルに「RM」と表記される。主に家族経営で、メゾンが位置する土地の個性が光る。ちなみに、自社畑のほか栽培農家から購入したブドウでシャンパーニュを造るグランメゾンは「ネゴシアン・マニピュラン(NM)」、栽培農 家が集まって組合を作り、組合員のブドウでシャンパーニュを造る協同組合は「コーペラティヴ・ド・マニピュラシオン(CM)」と区分される。
02. ドメーヌ・エリック・ロデズ/シャンパーニュ・グラン・ クリュ・アンボネイ・キュヴェ・デ・クレイエール NV
ピノ・ノワール60%、シャルドネ40%。白桃やバニラ、トーストの香り。芳醇でふくらみのある味。当主のエリック・ロデズが「クリュッグ」で活躍していたことから"RMのクリュッグ"の異名も。●750ml¥19,800/ヴァンパッシオン
ブリュット・ナチュール
シャンパーニュの多くは「ドザージュ(糖分添加)」されているものが多いが、近年のトレンドのひとつにドザージュがゼロから1Lあたり3g未満の「ブリュット・ナチュール」がある。ポイントはブドウの完熟度で、すっきりとした飲み口で"果実の生(き)の味"が楽しめるのが魅力。シャンパーニュは残糖度の違いにより表示が異なり、6g以下は「エクストラ・ブリュット(極辛口)」、12g未満は「ブリュット(辛口)」、12〜17gは「エクストラ・ドライ(半辛口)」、17〜32gは「セック(半甘口)」、32~50gは「ドゥミ・セック(甘口)」、50g以上は「ドゥー(極甘口)」となる。ドザージ ュは年々低めの傾向になっている。
03. シャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルド/ブリュ ット・ナチュール
シャルドネ60%、ピノ・ノワール40%、ドザージュはゼロ。レモンや洋ナシのフルーティさとブリオッシュの香ばしい香りが調和。果実の純粋さが際立つ。名門ロスチャイルド家が「大切なゲストをもてなすために」という思いから生まれたブランド。●750ml¥13,200/エノテカ
ヴァンパッシオン
03-6402-5505
https://www.vinpassionco.com/
エノテカ
0120-81-3634
https://www.enoteca.co.jp/
MHD モエ ヘネシー ディアジオ
03-5217-9777
https://www.mhdkk.com/
ワイン・トゥ・スタイル
https://www.winetostyle.co.jp/
*「フィガロジャポン」2025年2月号より抜粋
>>>「瓶内二次発酵」「シャルマ方式」「アンセストラル方式」スパークリングワインを生み出す、3つの代表的な製法とは?
>>>クオリティも味わいも最高! 世界の瓶内二次発酵ワイン8選
photography: Hironobu Maeda (Stijl) styling: Mafumi text: Kimiko Anzai collaboration: Comité Champagne