RUINART 個性的な気候が育んだ、ドン・ルイナール 2013の豊かな味わいとは?

Gourmet 2025.06.27

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現存最古のシャンパーニュメゾン・ルイナール。その最高峰ライン最新ヴィンテージ「ドン・ルイナール 2013」がお披露目された。来日したメゾンの最高醸造責任者フレデリック・パナイオティスに、2013年という個性的なヴィンテージと味わいについて聞いた。

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コート・デ・ブラン(シュイィ、クラマン、アヴィーズ、メニル・シュール・オジェ)のシャルドネ90%に、シルリーのシャルドネを10%アッサンブラージュ。天然コルクでティラージュ(瓶詰め)し、最低9年間、澱とともに熟成。デゴルジュマン(澱抜き)後のドザージュは4g/ℓと、事実上のエクストラ・ブリュット。サステナビリティを意識し、ギフトボックスの代わりに紙素材で作られた「セカンドスキン」でパッケージング。ドン・ルイナール 2013 750ml ¥48,730(日本発売は2026年予定) /MHD モエ ヘネシー ディアジオ

1729年に創業した最古のシャンパーニュメゾン、ルイナール。その最高峰キュヴェが「ドン・ルイナール」だ。ドンとはカトリックの高位聖職者に与えられる称号で、創業者ニコラ・ルイナールの伯父にあたるドン・ティエリー・ルイナールを指す。

ベネディクト会の高僧だったドン・ルイナールは宮廷にも出入りするほどの地位にあり、ヴェルサイユで夜な夜な栓が抜かれる泡の出るワイン、シャンパーニュの存在をすでに知っていたと考えられる。ドン・ルイナールが旅の途中に命を落としたのはオーヴィレール修道院。後世、その名を冠することになるシャンパーニュの造り手、ドン・ペリニヨンが所属した修道院だ。

生前、ふたりは親交があり、発泡ワインの秘法がドン・ペリニヨンからドン・ルイナールに伝わっていたとしてもなんら不思議ではない。1728年にルイ15世が瓶詰めワインの流通を許可する勅令を発する前から、ニコラ・ルイナールはその秘法をもとにシャンパーニュ造りを極秘に進め、翌年のメゾン創設に至ったのであろう。

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開花の遅れがもたらした、「ドン・ルイナール 2013」の圧倒的な個性とは?

時は下って1966年、この年にメゾンのプレステージシャンパーニュとしてお目見えしたのが「ドン・ルイナール」。ヴィンテージは1959年だった。黒ブドウと白ブドウのアッサンブラージュ(ブレンド)が当たり前のこの時代、白ブドウのシャルドネのみを用いたブラン・ド・ブランは珍しい。

しかもこのドン・ルイナール。メゾンの最高峰だけに使用されるシャルドネがグラン・クリュ(特級)のみなのは当然ながら、シャルドネの聖地とされるコート・デ・ブランだけでなく、モンターニュ・ド・ランスのシルリー村のブドウも10%ほど含まれる。モンターニュ・ド・ランスは本来、黒ブドウのピノ・ノワールがおもに栽培されているエリアだが、北向き斜面のシルリー村はシャルドネにも好適。シャープで硬質なコート・デ・ブランのシャルドネに、シルリーのシャルドネを加えることで柔らかみを与える狙いがある。

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白亜質の土壌も見える、コート・デ・ブランのグラン・クリュの畑。

その最新ヴィンテージとなる2013年のドン・ルイナールが登場した。来日した最高醸造責任者のフレデリック・パナイオティスは、2013年の気候条件についてこう語る。

「冷涼な年でしたが、寒くはありませんでした。6月初旬から7月初旬まで気温が低めで、雨の多い日が続き、開花が大幅に遅れました。それは収穫のずれにも繋がり、酷暑の年として知られる2003年以降、シャンパーニュ地方では8月中の収穫開始が珍しいことではなくなりましたが、2013年は久しぶりの10月収穫です。これ以降、今年まで10月収穫の年はありません。成熟期が9月だったことから気温が低く、フレッシュで生き生きとした酸をもつブドウが収穫できました」

ところで、このドン・ルイナールには製法上、ほかのメゾンのシャンパーニュと異なる特徴がひとつある。それは、瓶内二次発酵のボトル詰め(ティラージュという)の際に、通常使われる金属製の王冠ではなく、最終的な瓶詰め時と同じ天然コルクを用いること。もちろん、昔はどのメゾンでもコルク栓でティラージュしていたが、手軽で密閉度の高い王冠の発明以降、コルク栓でのティラージュはほぼ見られなくなった。というのも、瓶内熟成を終えて澱抜き(デゴルジュマンという)をする際、王冠なら機械で自動的に栓を抜くことが可能だが、コルク栓は一本一本人の手で抜かなくてはならない。さらにその上、天然コルクは俗にコルク臭と呼ばれるカビ系の匂いがつくリスクがゼロではなく、そのチェックをする必要があるからだ。

そのような手間がかかることも厭わず、ドン・ルイナールのティラージュに天然コルクを用いるのは、もちろん手間をかけても余りあるメリットが大きいため。フレデリックはこう語る。

「王冠と天然コルクを比べた場合、一見、王冠のほうが密閉度が高く、酸素からシャンパーニュを守ってくれそうです。ところが実験の結果、ある期間を境に酸素の侵入する量が逆転することがわかりました。だいたい7~8年の熟成で、コルク栓よりも王冠のほうがより多くの酸素を取り入れます。最低9年の瓶内熟成を施すドン・ルイナールは、コルク栓のほうが向いているわけです」

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11年の熟成が育んだ、複雑な味わいと長い余韻。

さらに天然コルクはシャンパーニュのフレーバーにも影響を与えることがわかったという。

「これは想定外の効果でしたが、コルク栓を使うと王冠とはまったく異なる香りのプロファイルが生まれることもわかりました。同じシャンパーニュでも王冠で瓶詰めしたものとコルク栓で瓶詰めしたものを比べると、明らかに後者のほうが豊かで何層にも折り重なる、複雑なフレーバーが感じられます」

実際にこのドン・ルイナール 2013は、白い花を想起させるフローラルなノートと柑橘系の爽やかなアロマに加え、ジンジャーやシナモンなどのスパイシーさが加わり、アカシアのハチミツの甘美な香り。さらにそこに、朝のパン屋を訪れた時のようなトースト香が現れたと思えば、ヘーゼルナッツやアーモンド、焙煎したコーヒー豆といった香ばしい風味もあふれ出す。口に含むと冷涼な年ならではのフレッシュな酸味を基調に、海辺の潮風を連想させるミネラル感。奥行きが深く、とめどなく続く長い余韻にうっとりだ。まるで泡の出る高級ブルゴーニュワインのようである。

寿司が大好物なフレデリックにどの寿司ネタが合いそうかと尋ねると、「アジやサバなどの青魚や小肌のような光り物。魚の脂身とドン・ルイナール 2013の爽やかな酸味がコントラストを描き、意外なマリアージュを見せてくれます。赤貝やトリ貝、アワビなどの貝類ももちろん抜群です」。

持ち込み可能な寿司屋が近所にあれば、ぜひともこのドン・ルイナール 2013を一本片手に暖簾をくぐりたいところである。

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フレデリック・パナイオティス/1964年生まれ。パリ・グリニョン農学院およびモンペリエの国立高等農学院を卒業後、フランスとカリフォルニアで研修。91年からシャンパーニュ委員会で働き、その後、ヴーヴ・クリコに入社。醸造長であった故ジャック・ペテルスの下で右腕として活躍した。2007年、ルイナールの最高醸造責任者に就任。

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問い合わせ先:
MHD モエ ヘネシー ディアジオ
https://www.mhdkk.com/brands/ruinart
6月15日に急逝されたフレデリック・パナイオティス氏の訃報に接し、深く哀悼の意を表します。

 

text: Tadayuki Yanagi

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