ウイルスと闘う世界のいま。#14 宅配やテイクアウトは、フードに限らずアートでも!

Travel 2020.04.22

文・写真/神 咲子(在ストックホルムコーディネイター)

残念なことに、4月21日時点で死亡者数が1500人を超えているスウェーデン。しかしながら政府と保健・社会省は、新型コロナウイルス拡大初期からの「平坦化戦術」を継続しており、「実情はコントロールできている。感染の有無や抗体があるかなどのテストをさらに増やしていく。テストは医療従事者を最優先、次いで警察など、職業別に順位を分けて実施していく」と4月17日に発表している。

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真ん中の点線が、国家の医療インフラが受け入れられる許容範囲。感染者数を許容範囲内に保つ事で、治療も何もできないという状態を避けることが目的だ。感染の広がりを緩やかに保つ「平坦化戦術」の継続を、スウェーデン政府は遂行している。

以前に比べて、規制はさらに厳しくなっている。公共の乗り物はなるべく使わない(特にラッシュアワー)、買い物で列に並ぶ時は間隔を開ける、国内旅行や祝日のお祝いはなるべく避ける――でも他国に比べると、未だにかなり緩い。

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「人との接触を避け、間隔を空けましょう」の勧告を守るスウェーデン人。でもやはり、マスクを付けている人は見当たらず……。

ただ在宅勧告は強まり、ありとあらゆるイベントは禁止。美術館や博物館も閉館が相次ぎ、スウェーデンも他国の例に漏れず、ネットを通して楽しむことができるコンサートや展覧会が増えている。

たとえばスウェーデン北部を拠点にするコンテンポラリーダンスカンパニー「Norrdance (ノールダンス)」。1995年創立のこちらは、なんとダンスパフォーマンスを宅配サービス!緩い規制のなかでも特に規制が厳しいのが、感染した場合のリスクが高い高齢者たち。外出制限はもちろんのこと、家族との面会も許されず、ただでさえ寂しさを感じるなかでの「ダンス宅配」はうれしいニュースだ。

1回5分、ソロかペアのコンテンポラリーダンスを窓越しにライブ(生‼)で観ることができる。同カンパニーは、「ダンス(アート)を通して、隔離されているお年寄りやその家族に少しでも日常の楽しみをもたらすことができれば、これほどうれしいことはありません」とホームページ上でダンス宅配注文をオススメしている。

ほかには、「Galleri Magnus Karlsson (ギャレリー・マグヌス・カールソン)」によるプロジェクト「Postcards from the Studio(スタジオからのポストカード)」。お抱えのアーティストにSNSを通じて挨拶を呼びかけるもの。「いま取りかかっている作品」「スタジオ内でインスピレーションを受けるもの」「おすすめの本、音楽、映画」の3つのお題を出し、アーティストたちがそれに応えている。

アーティストのひとり、リカード・ヨハンソン(Richard Johansson)は、おすすめの音楽にオルガン・シンセサイザー奏者のクラース・ウンデルリッシュ(Klaus Wunderlish)を挙げ、「憂鬱になった時に聞くといいのが彼の音楽。だって、頭痛薬を飲む時みたいな副作用が出ずにただ楽しめるから」とちょっと笑えるコメントも。また、普段は見ることのできない制作風景を楽しめるのもいい。

「Postcards from the Studio」の参加者のひとり、リカード・ヨハンソンによるメッセージ。

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現実の鏡でもある映画からの学び、そしてコロナ後の映画。

texte : SAKIKO JIN

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