ウイルスと闘う世界のいま。#07 いまだ都市封鎖なしのスウェーデンは、淡々と、飄々と。

Travel 2020.03.30

文・写真/神 咲子(在ストックホルムコーディネイター)

3月29日現在、スウェーデンはいまだにロックダウンしていない。感染者は約3,700人、死者数は110人。だが、スウェーデンの保健・社会省は至って冷静で「新型コロナウイルスの感染経過は数値や統計からもコントロールできていて、病院でも対応できる許容範囲は超えていません」と発表している。政府は保健・社会省の勧告に従っているので、イギリスやドイツの首相が感染して隔離されてるなか、スウェーデンのステファン・ロヴェーン首相は検査すらしてない。

50人以上の集客可能なイベントは禁止、バーカウンターでのサービスは禁止だが、スーパーはもちろんのこと、営業時間に変更はあるもののカフェやレストランも普通にオープンしている。そのため、スウェーデンの対策はゆるすぎるという各国からの批判もかなり聞こえている。それでも当然ながら売り上げは大幅にダウンし、閉店せざるを得なくなったり破産申告したり、従業員の解雇や一時解雇も続出している。

ただそれに負けてばかりではいられないので、飲食店はテイクアウトや宅配サービスを新たに導入したり、お客さんに別注文でランチ分の金額を購入(寄付)してもらい、それを医療関係者への差し入れ(ランチ)にしたりなど、「Support Your Local(地元、近所を助けよう)!」の呼びかけの元に、みんなで相互協力に励んでいる。

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パパイヤサラダやグリーンカレーなど、この夜は東南アジア系のテイクアウトに。宅配も含め、店内での引き渡しを避けたい客には店外での引き渡しも可能だ。

前回の記事でトイレットペーパーが街から姿を消したことを書いたけれど、実は同時に消毒液も在庫がなくなっていた。が、そこはさすがデザイン王国スウェーデン(?なのか)。「StockholmsBränneri(ストックホルムスブレンネリー)」という市内のジン蒸留所が、自社ラベルでほのかにジンの香りのする消毒液を作り、馴染みの店に寄付! 譲り受けた店舗はここぞとばかりに(うちにカッコイイ消毒液ありますよ&店オープンしてますよ)アピールも兼ねて宣伝している。

 

さらに、テラス席のサービスが例年よりも1カ月早く解禁! 外は中ほど密集していないので安心(?)なのか、寒空の中でも暗い空気を払拭するかのごとく日の光を楽しんでいる。同時に野外の自然ジムも大人気。上記の「50人以上規制」は何平米に対して50人、とかいう広さが規定されていないので、ロックダウンしない限りはイマイチ意味がないのではと実はみんなが思っている。本当は、というか本当にいまもかなりすべての意味で大変な状況にもかかわらず飄々と、淡々としているのは、スウェーデン(人)ならでは?のクールさなのか。

そんな最中にもクスッと笑える好ニュースが。泥棒・空き巣の件数が激減したという! 「まぁ、でもみんながみんなこれまでにないくらい家にいるから当たり前よねー」と、やっぱりサラッとクールなスウェーデン人(笑)。

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この日の最高気温は4度とまだ肌寒い。がなんのなんの、せっかくのテラス席解禁を楽しまなくては!

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最近、大人気の近所にある野外ジム。奥に見える小高い丘がスキー場に繋がっているが、そこを上り下りしている人たちも多々見かける。

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市内中心部の広場「Kungsträdgården」(クングストレードゴーデン、王様の庭という意)では、日本から贈呈された桜の木が開花し、訪れる人の目と心の保養になっている。

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texte et photos : SAKIKO JIN, title photo : alamy/amanaimages

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