ニッポンの小さな旅へ。 【徳島・上勝】四国いち小さな町で、エシカルに過ごす旅。
Travel 2021.03.21
上勝
- KAMIKATSU -
徳島には、いままで一度もゴミ収集車が走ったことのない珍しい町がある。県の真ん中、標高100~800メートルの山間に位置する上勝町。もともとゴミを野焼きで処理していたこの町は、2003年、未来の子どもたちにきれいな空気とおいしい水、豊かな大地を受け継ぎたいと、日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を打ち出した。
町民はゴミステーションにゴミを持ち寄り、自分たちの手で45分別。捨てるだけでは焼却ゴミと化すが、分別すれば資源として買い取られ、町も潤う。生ゴミはコンポストに入れて堆肥にし、各家庭で土に還す。だから、上勝町のゴミ収集所は驚くほど無臭だ。
不要になった窓枠や建具を再利用して造り上げた建物。奥に見える丸い棟が宿泊施設。芝生の広場では、雄大な山々を前にのんびりピクニックも楽しめる。
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ゴミゼロ体験がもたらすもの。
日本いち美しいゴミ捨て場を中心として、2020年5月30日、ゴミゼロ(530)の日に官民共同でオープンしたのが、複合施設ワイ。小さなホテル棟のほか、交流ホールや企業研修などを行うラボラトリーを設け、町内外の人々がゼロ・ウェイストの取り組みについて学んだり体験できるようにした。こうした努力の末、上勝町は再資源化率80%を達成。いまでは国内外から多くの人が視察やゴミゼロ体験に訪れる。コンビニすらない四国いち小さな町が、エコタウンの先駆けとして、世界に新しいライフスタイルを発信しているのだ。
ワイから車で15分以内の周辺集落には、若者によるサステイナブルなカフェや洗練されたイタリアンレストラン、地産地消のブルワリーなどが点在。ワイを訪れた人々は、エコライフに触れつつ、おしゃれなアドレス巡りも楽しめる。ワイを去る時には、ゲストは滞在期間中に出したゴミを45分別する。上勝町民と同じ体験を通して、自分が普段どれだけゴミを出して生活しているかをあらためて感じ、ゴミを減らすためにはどうすればいいのか自発的に考えるようになるという。
上空から見ると、施設全体が「?」の形を描くワイ。なぜそれを買うのか、なぜ捨てるのか。Whyーー上勝での滞在は、いまの暮らし方に疑問符を投げかけるきっかけとなるに違いない。
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●掲載店の営業時間、定休日、価格などは、取材時から変更になる可能性があります。
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*『フィガロジャポン』2020年11月号より抜粋
photos : AKEMI KUROSAKA (STUH)