繊維産業で栄えた街スコットランドのホーイックで、ジョンストンズ・オブ・エルガンが未来の職人を育む。

Travel 2024.10.22

なだらかな緑の丘で草を食む羊たち、時折現れる荒々しい岩山。スコットランド中央部にあるハイランド地方への入口では、自然の恵みとともに人々が暮らし、手づくりの愛らしいものがあふれている。世界遺産の首都エディンバラから小さな町や村へ。さまざまな"可愛い"を探しに出かけよう。


Hawick
ホーイック

エディンバラから南下したイングランドとの境、ボーダーズエリアにあるホーイックは、17世紀から繊維産業が盛んな街。編み物や織物の技術を求めて、ジョンストンズ・オブ・エルガンも1980年にこのエリアに進出した。たった5人で創業し、現在従業員数は300人に。ここではマフラー、カーディガン、手袋や帽子にソックスまで、エルガンで紡がれた糸で製品を作っている。ホーイックのニット会社は2000年代から減少しているが、ジョンストンズ・オブ・エルガンはこの地へ投資を続け、工場に新セクションも建設中だ。地域社会で果たす役割を大切に考え、労働者の技術と繊維産業を守ることで地元の雇用を生み、職人を守ることに繋がっている。見習い制度を設け、若いメンバーも育成。地域の発展とともに持続可能な未来が見える、お手本のような街だ。

糸から服へ、職人技が光る織物工場。

Johnstons of Elgin
ジョンストンズ・オブ・エルガン

エルガンの工場で製造された糸の一部は、ここホーイックの工場に届けられ、デザインから梱包して顧客へ発送するまでを一貫して行う。最新のホールガーメント機でシームレスな身頃を編み上げ、袖や襟は職人の手作業で繋げている。各セクションで幅広い世代の職人が活躍し、週に各3000枚の帽子とスカーフ、靴下と手袋は各2500枚が作られるそう。機械の音やプレス機の蒸気が立ち上がる中、誰もが楽しそうに働く姿が印象的。こちらも見学可能だ。

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エルガンの工場で作られたカラフルなスワッチを手に、2025年秋冬シーズンを話し合うデザインチーム。
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袖と身頃を繋げる作業。針が細く難易度の高いハイゲージはキャリア55年の職人の出番だ。
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カラフルなヤーンの山。
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併設のショップでは生地の束も販売。手芸好きの心を躍らせる、柄も色も多彩なセット6ポンド〜 
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天井が高く広々とした店内。ここでしか買えないラムウール製品は見逃せない。カフェも併設。
Johnstons of Elgin
ジョンストンズ・オブ・エルガン
Eastfield Mills, Mansfield Road, Hawick, Scottish Borders, TD9 8AA
01450-360549
S)TWEEDBANKから車で約30分
営)9:00〜16:30(月〜土) 11:00〜16:00(日)
Hawick Coffee Shop
営)9:30〜16:00(月〜土) 11:00〜16:00(日)
無休 
料)工場見学9.95ポンド〜 ※予約はウェブサイトから
https://discover.johnstonsofelgin.com/visit-us/hawick/

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Interview

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ジェニー・アークハート
Jenny Urquhart
ジョンストンズ・オブ・エルガン副会長。2005年にオンラインショップを立ち上げ、希少な繊維製造技術を正式な国家認定の技能実習資格にした。19年に会長に就任し、24年より現職。

「我々のDNAは天然繊維であり、製造の鍵はコミュニティです」と語るのは、副会長のジェニー・アークハート。エルガンの地域社会と支え合い、ジョンストンズ家と協力して家族経営で歴史を紡いできた。

「1797年にジョンストンズ家が創業し、1904年にジュニアパートナとして曽祖父エディ・ハリソンが加わりました。創業家と16年働いた後、ハリソン家が引き継ぎ現在にいたります。家族経営の難しさを知る両親は、やりたいことをやりなさいと言ってくれましたが、350の職種、1200人以上が自分の仕事に全力を尽くす、素晴らしいビジネスに参加したくて家業を継ぎました。さまざまな部署を経験しましたが、全スタッフと関わる人事部が思い出深いです。各部門に出向き、起きていることを知り、同僚と技術を保持する方法を探し、協力し合う中で革新的な働き方を進めました」

ジェニーはいま、出身地エルガンの町委員会委員長としてメインストリートの再生にも力を入れている。

「より安心で安全な街にするために、英国政府が街に2000万ポンドを提供してくれました。住みたい、働きたいと多くの人々に思ってもらえる、良い場所にしていきたいですね」

ジョンストンズ・オブ・エルガン
https://johnstonsofelgin.com/en-jp/
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●1ポンド=約195円(2024年10月現在)
●日本から電話をかける場合、イギリスの国番号44の後、市外局番の最初の0を取ります。現地では掲載表記どおりかけてください。
●ホテルの宿泊料金は曜日や季節により異なる場合があります。 
●各紹介アドレスのデータ部分の(S)は鉄道の駅を示しています。
●掲載店の営業時間、定休日、商品、料理、サービスの価格などは、取材時から変更になる可能性があります。特に年末年始は休業や営業時間が変更になる可能性があります。ご了承ください。

*「フィガロジャポン」2024年11月号より抜粋

photography:Akemi Kurosaka coordination:Akemi Roy

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