五感を満たすオーベルジュで、おいしく美しく地産地消!【静岡県・伊東市|ベッカ イズ】
Travel 2025.03.29
旅の楽しみといえば、その土地ならではのグルメ体験。地元食材を生かし、創造的な料理と丁寧なホスピタリティでゲストをもてなすオーベルジュを目的地に、グルマンな旅の計画を立てよう。
ベッカ イズ
[ 静岡県 ]伊東市

山と海と自前の畑、伊豆半島の恵みを五感で受け止める。
相模湾と駿河湾に囲まれ、生産農家も多い伊豆半島。「扱う食材のほとんどが近くで採れたものです」と話すシェフが腕を振るう、こだわりのオーベルジュがオープンしたのは2024年3月のこと。自ら生産者を訪れて素材調達に出かけ、近所で自然農法の畑を営んでもいる。常に20種くらいの旬の作物を育て、新鮮で美しい色彩の野菜やハーブがお皿に並ぶ。ムースに、ジュレに、風味づけに......食材が姿を変えて供されるメニューは、どれもが舌にも目にも芳しい。ドイツの5ツ星ホテルのレストランで料理長を務めていたシェフの肉料理は、時にジビエも活用しながら、薫り高く弾力があり、食感も豊か。魚介のグリルは、出汁を使いながらフレンチのエッセンスもある独創的メニューに。
宿から車で数分の場所にある自前の畑で作物の状態を日々確認。
カブの冷製ムースは中央にカブの葉を漬けたオイルを載せて。野菜の滋味が宿り、甘さを感じるくらい。
天城軍鶏と黒豚、レバーで仕上げたパテドカンパーニュ。「畑を表現した」というひと品には上にエディブルフラワーが散る。肉の旨味が凝縮された洗練の味わい。うつわは料理に合わせてサイズや焼き方にもこだわり、敬愛する作家にオーダーメイドでお願いしている。
鯛の出汁のスープに載せたクエのグリル。柔らかく調理され、皮の焼き具合が香ばしい。
「ゲストが連泊したら、すべてメニューを変えるのが主義」というアティチュードもうれしい。
ディナーの最初に供されるお茶の直後に出る、プティフール風アペタイザー。通常4~5種で、この日は伊豆高原のトマトやカリフラワーなど彩り美しく。
シェフはパティシエの経験もある。マドレーヌが絶品!
好奇心旺盛にあらゆる食材や手法にトライする"料理人の宿"。ディナーはデザート以外で10品ほどあるが、シェフとグルメ談議を交えながらの至福の時間は、あっという間だ。
ともにドイツで働いていたシェフの大塚一樹シェフと愛子マネージャー。夫妻とアシスタントの3人でゲストをもてなしてくれる。
---fadeinpager---
おいしい食事を目的にした滞在であっても、こぢんまりした棟に一日一組だけの長閑な滞在ができるのは魅力的。「優しい雰囲気にしたかった」という内装は、木と石が配された自然素材の空間。大きな窓から光が差し込み、静岡の柑橘類がさりげなく飾られている。プライベートな時間を楽しんでもらうため、多種のリカーを揃えソーダストリームを置き、地元のフルーツを味わえるようスロージューサーも完備。カクテルを自由に作る楽しみを提案している。スナックまで一部手作りのドライフードを備えるほど!
大室山を眺めながら寛げる1階のリビングルーム。さまざまな木を使用しているせいか、木目が静やかに空間を演出。ソファで寛ぐ際、野生のリスを見かけることも。
アウトドアリビングと呼んでいる裏庭では最新装備の焚き火も楽しめる。デッキにヨガマットを敷いて、朝ヨガする女子会も楽しそう。
リビングルームに天体望遠鏡があり、伊豆高原から見上げる夜空の星が見られる。
極めつきは源泉かけ流しの温泉。清らかな湯で温まったら、ストレッチポールで身体をほぐそう。ここは地産地消とサステイナブルな暮らしの美学にあふれる、アールドゥヴィーヴルの実践の場だ。
チェックイン時のウェルカムドリンクは冷たいか温かいかどちらかを選ぶ。この日は写真の赤シソジュースか黒文字茶。手作りで、夏に畑で採れた赤シソを使用。
2~3人で入浴できる広さの温泉。熱川温泉から湯を引いている。
施設内に寝室はふたつ。写真は2階の琉球畳の和室。部屋着やスローケットなどもオリジナルで、糸を厳選し、織り方のリクエストもして作ったもの。
朝食は2タイプから選べる。畑で採れた新鮮な野菜を用いたサラダが美味。ドイツ風の洋食。シャルキュトリー類や、多種のパンにつけるバター、ジャム、ソースなど飽きさせない工夫がたくさん。
和朝食。野菜たっぷりで、お造りは相模湾や駿河湾のもの。煮物の味付けも繊細な薄味で品がいい。
ベッカ イズ
静岡県伊東市池字中野614-126
南大室台4次の8
050-1871-0196
全1室 1日1組限定
1室(2~5名+子ども2名まで)温泉付き
1名¥100,000~(2名利用時、2食付き)
※3人目以降1名2食付き¥50,000~
※子ども1名2食付き¥15,000~
https://bekka-izu.jp/
---fadeinpager---
立ち寄りスポット
ステイの翌日はココへ!
ジャージーの森
リピーター続出の絶品ソフトクリーム。
アニマルウェルフェアの酪農を営むいでぼくのミルクで作ったソフトクリーム(¥650)が人気。素朴な甘味と牛乳のクリアな深みで一度食べたら忘れられない味。アフォガートや塩キャラメル味もおすすめ。ライブを開催したり、地元アーティストのサロン的役割も。
*「フィガロジャポン」2025年3月号より抜粋
【合わせて読みたい】
エディターおすすめ、日本全国のおいしいお土産。
海と里山に囲まれたサウナリトリートで、自分も自然も再生する。【コーバ カクダ/三重県・志摩市】
photography: Midori Yamashita