琵琶湖の恵みを目と舌で味わう料理旅館へ!【滋賀県・高島市|湖里庵】
Travel 2025.04.05
旅の楽しみといえば、その土地ならではのグルメ体験。地元食材を生かし、創造的な料理と丁寧なホスピタリティでゲストをもてなすオーベルジュを目的地に、グルマンな旅の計画を立てよう。
湖里庵
[ 滋賀県 ]高島市
フィン・ユールのテーブルやベイカーソファが備えられた2階の客室より琵琶湖を望む。京都駅からJR湖西線マキノ駅まで在来線で約1時間20分。マキノ駅から徒歩約20分で、送迎の相談可。
土地の恵み感じる懐石を、琵琶湖の景色とともに。
北欧のフィヨルドのような風景が広がる奥琵琶湖。その湖畔に佇む湖里庵は、1784年創業の鮒寿し店、魚治を母体とする一日一組の料理旅館。2階の客室に通されると、大きな窓の向こうに広がる琵琶湖の景色に息を呑む。光や風、空の色で刻々と表情を変えるその様子は、畳やソファに身を投げて、いつまでも眺めていたくなるほど。自然素材をふんだんに使ったミニマルな内装も心地よく、日常から非日常の世界に誘われる。
ヒノキ風呂に浸かりながら琵琶湖の景色を満喫。窓の先に見える海津大崎は、約800本の桜並木が続く桜の名所として有名。
朝焼けを最も美しく見られるようベッドルームは落ち着いたトーンで統一。
伝統産業である高島ちぢみのオリジナル部屋着。さらっとした着心地。
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夜はお待ちかね、1階ダイニングへ。腕を振るうのは左嵜治右衛門7代目当主。懐石コースの主役は、琵琶湖産のニゴロブナを創業より伝わる蔵持ちの菌で、ふた冬じっくり発酵熟成させた鮒寿しだ。漬け床の飯いいをソースに使った鮒寿しのパスタ、頭を出汁に浸した小吸物、締めの鮒寿しのお茶漬けなど、コースを通して丸ごと一匹を味わい尽くせる構成。ほかにも、清涼な鯉のお造りやイワトコナマズのかぶら蒸しなど、琵琶湖産の湖魚が次々と供され、その恵みの豊かさに驚かされる。
:1階ダイニングは宿泊客以外も利用可。昼夜ともに、¥19,800のコースを用意する。
カラスミ餅をアレンジした鮒寿し餅。炙った鮒寿しが香ばしく、地元の餅米を使った餅と相性抜群。
琵琶湖の名物、ホンモロコは旬の冬には寒モロコと呼ばれ、脂がのって旨味を増す。炭火でじっくりタレ焼きに。
琵琶湖沿いには酒蔵が多く、湖里庵でも多彩な地酒を揃えている。1合¥1,430~
「きれいな景色の力を借りるのではなく、料理とともにその価値や恵みを感じていただけたらと思っています」
やわらかな語り口の当代との会話に、カウンターのどの席からも楽しめる琵琶湖の景色、そしてここでしか食べられない心尽くしの料理。琵琶湖に抱かれているような不思議な感覚を覚えながら、大満足の晩餐に。宿泊客の特権、湖面を照らす月明かりや朝焼けに出合えたら、また再訪しようと思うはず。
京都吉兆 嵐山本店で修業を積んだ左嵜7代目当主。
在来品種の大豆「みずくぐり」の納豆や琵琶湖特産のセタシジミの味噌汁、ビワマスの焼き物、近江牛のしぐれ煮など、朝食にも滋賀の恵みが。
湖里庵
滋賀県高島市マキノ町海津2307
0740-28-1010
全1室 1日1組限定 1室(2~6名) バスタブ付き 1名¥60,500~(2食付き)
休)火、第1・3水曜
レストラン
営)12:00~、17:00~
※一斉スタート
休)火、第1・3水曜
要予約
※宿泊、レストランともに利用は中学生以上のみ
https://korian.jp/
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立ち寄りスポット
ステイの翌日はココへ!
古道具&カフェ 海津
宝探し気分で古道具店を探索。
湖里庵から徒歩数分。築200年の米蔵を改装した店内に所狭しと並ぶのは、江戸時代の古伊万里や、江戸から大正にかけてのガラスアイテム。古道具や昔のおもちゃもあり、時間が経つのを忘れてあれこれ見てしまう。店内奥にはテラス席があり、不定期でカフェを営業。海津大崎を眺めながらお茶ができる。
滋賀県高島市マキノ町海津2080-7
0740-28-8055
営)11:00~17:00(季節により変動)
不定休(来店の際は事前に電話を)
https://www.furudougu-kaizu.com/
*「フィガロジャポン」2025年3月号より抜粋
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photography: Sadaho Naito text: Natsuko Konagaya