JICA 美しいパラオのバカンスで体験したい、島国ならではの5つのアクティビティ。
Travel 2025.10.31
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南の島へのトリップは、いつだって心を弾ませてくれるもの。今回の旅の目的地はパラオ。火山島と隆起したサンゴ礁でできているこの国には、海の中にも陸の上にも自然の神秘があふれている。何億年という時間と地球のエネルギーが生み出したダイナミックな自然美を満喫する、心躍るバカンスの過ごし方。

シュノーケルマスクをつけて泳ぐだけで色とりどりの魚やウミガメが泳ぐ様子を間近にできるパラオの海は、生物多様性の宝庫だ。約400種の硬質サンゴ、150種あまりの軟質サンゴ、1450種を超える魚が生息する。淡いクリスタルブルーの海はサンゴ礁由来の真っ白なビーチに彩られ、ロックアイランドと呼ばれる、サンゴ礁が隆起してできたマッシュルームのような形状の島々が点在する。こうした島々の間には海から分離した海水性の湖があり、さまざまな固有種を育んでいる。2012年、パラオの中心地、コロール島の南西一帯にあるロックアイランド群とそれを取り囲むラグーンの南部は、ユネスコ世界文化・自然遺産の複合遺産に登録された。
アクティビティ1
パラオの成り立ちに欠かせないサンゴ礁について学ぶ。
世界屈指の生物多様性を有するサンゴ礁とその生態系は、パラオにおいて最大の観光資源になっているが、ダイビングやシュノーケル、フィッシングといった観光ツアーの開発が進むにつれ、悪影響が危惧されるようになった。サンゴ礁と海の生態系の保全と資源のサステナブルな利用の両立のため、サンゴ礁の研究と保全、教育と普及活動を行っているのが「パラオ国際サンゴ礁センター(PICRC)」である。

館内を案内してくれたアサップ・ブクロウ。
施設のスーパーバイザー、アサップ・ブクロウによれば、パラオの海洋生態系のキーワードはマングローブ、海草、インナーリーフ(バリアリーフの内側、内湾のサンゴ礁)、アウターリーフ(バリアリーフの外側のサンゴ礁)、深海の5つ。子どもから大人までがパラオの地形や成り立ち、海洋生態系について楽しく学べるよう、キーワードごとに立体的な展示がなされている。
「このセンターはミクロネシア地域のサンゴ礁のモニタリング拠点としても機能しており、世界中の研究者に情報や設備を公開、開放しています。また、私たちが進めるサンゴ再生プロジェクトでは、温暖化によるサンゴの白化を食い止める熱耐性サンゴの研究に力を注いでいます」
パラオがレスポンシブル・ツーリズムの促進によって守ろうとしている環境は、どうやって生まれ、どんな課題に直面しているのか。ダイビングやシュノーケルといったマリンアクティビティに出かける前に、固有の海洋生態系について理解を深めておこう。

サンゴ再生プロジェクトで進められている熱耐性サンゴの研究。
https://picrc.org
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アクティビティ2
ロックアイランドのなかを、SUPに乗って探検する。

ユニークな自然環境は海のものだけではない。パラオの国土の約75%がマングローブと原生林に覆われており、緑豊かなジャングルに100種を超える鳥類や植物が生息する。その1/3がパラオの固有種だとか。陸と海、どちらの冒険も楽しみたいなら島々に囲まれた内海や海水性の湖を、カヤックやSUP(サップ)でのんびり散策するのがいい。おすすめのスポットはコロールの中心部から10分程度でアクセスできるニッコーベイ。日本統治時代はパラオ松島と呼ばれていた入江で、湖のように穏やかな水面にマッシュルーム型の島が顔を覗かせているさまを「松島」にたとえたのだろう。

ロックアイランドに自生する草木や花に覆われた、マッシュルーム型の小島。潮が引くとその特徴的な形状が際立つ。
ロックアイランドに自生する草木や花に覆われた島々の周りを、サップはぐんぐん進んでいく。森の奥から聞こえてくる「ホウッ、ホウッ」という特徴的な鳴き声はパラオの国鳥、ビープだ。黄色とオレンジ、グリーンの羽毛で覆われた派手な外見が特徴で、国鳥なのにめったに姿を現さない。岩肌に咲いているユリのような白い花はパラオの国花「ルー」。ロックアイランドにのみ自生する固有種だ。一見すると湖だけれど、海中を覗いてみればサンゴや魚の群れなど、さまざまな生物を目にできる。入り組んだ迷路のような水路で、探検気分を味わおう。

岩肌に自生するパラオの固有種、ルー。
https://ocean-academy.net/palau/
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アクティビティ3
環礁の島カヤンゲルを目的地に、シュノーケル&フィッシング。

コロール島から車で約1時間、そこからスピードボートに乗り換えてさらに1時間ほど。パラオ人が「アクセスは悪いが訪れる価値あり!」と絶賛するのが、パラオ最北端に位置するカヤンゲル州だ。3つの無人島とひとつの有人島からなり、人口は50人足らず。"カヤンブルー"と讃えられるブルーの海とロングビーチの幻想的な風景を楽しめるここは、パラオでも「秘境中の秘境」といわれている。現在は「IMPAC TOURS」のみがカヤンゲル行きのツアーを催行しており、ツアーでは道中、海洋保護区に指定されているエビールチャネルという海域でのシュノーケリングや、外洋でのハンドラインフィッシング(竿を用いず、釣り糸を手で持って行うパラオの伝統的なフィッシング)に挑戦できる。


釣った魚は無人島のユーンズ島上陸後に刺身&バーベキューに仕立ててくれる。この日はわずか20分でホワイトスナッパー17尾という釣果を記録。まさに入れ食い!

カヤンゲル州を構成する島のひとつが、無人島のユーンズ島。この島に上陸できるのはツアー参加者のみ。
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アクティビティ4
屋外アートで海洋ごみについて考える。

流れ着いたサンダルをアート作品として展示した「サンダル・ビーチ」。
ユーンズ島でのランチのあとは、有人島のカヤンゲル島へ。ここでは海洋ごみを展示するアートプロジェクト、サンダル・ビーチを見学しよう。サンダル・ビーチを管理しているのは、カヤンゲル州の元レンジャーで現在は島で自給自足の生活を送るラザルス・メイヤー。メイヤーによれば、海流によって運ばれる漂流プラスチックごみの多くが外国製。どれだけごみ拾いを行なっても、翌週にはまたさまざまなごみで海岸が埋め尽くされてしまう。彼はこうしたごみからサンダルだけを選びだし、ビーチに展示している。

「サンダル・ビーチ」の製作者ラザルス・メイヤー。
「ごみ集めはレンジャー時代に始めました。当時は集めたごみをリサイクルセンターに持ち込んでいましたが、コロールのセンターに持ち込むには燃料代がかかりすぎる。そこで、ごみ問題の啓発としてこうした展示を始めました。ツーリストが写真を撮ってそれを自国で発信してくれれば、いろいろなプラスチックごみが世界中から流れ着く小さな島の現実を世界と共有することができます。サンダルの展示以外に、ペットボトルを集めたペットボトル・ビーチ、フローター(船で使うウキ)やフィッシュネットを集めたフローター・ビーチもあります。世界が直面するごみ問題に、一人ひとりが向き合うきっかけとなることを願っています」

ペットボトル・ビーチでは、ペットボトルのほかに蓋付きのアルミの飲料缶なども展示する。缶に印刷されているのは中国語、韓国語、日本語などさまざま。
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アクティビティ5
再生ガラス工房でサーキュラーエコノミーを体感する。

再生ガラスのオブジェ。パラオらしく海のモチーフが多い。ヒトデ(大)20ドル、(小)19ドル、花10ドル。
パラオが直面するごみ問題をポジティブなものづくりに変えているのが、コロールにある「ベラウ・エコ・グラス・センター」だ。正式名称は「コロール州政府の廃棄物管理事務所(通称「リサイクルセンター」)」。島で回収した廃ガラスを原料に、ガラス製品を生み出すスタジオだ。このセンターを立ち上げたのは、日本人の藤 勝雄。環境保全技術の技術者として派遣された藤は、パラオでのサーキュラーエコノミー実現を目指してこの施設を運営している。
「パラオのような島嶼国はみな、ごみ問題に直面しています。大型焼却炉はコストが合わず、埋め立てるにも国土が小さく処分場の容量には限界がある。そこで、ここを拠点にリサイクルを進めることになったのです。ペットボトル、アルミ缶は輸出できるので、市民がもちこむごみを1つ5セントで引き取り、リサイクル資源として輸出します。輸出できないガラスはどうするか。そこで思いついたのが、再生ガラスとして活用するアップサイクルのアイデアでした。琉球グラスがヒントになっています」

カラフルなウォールアートが印象的なガラス工房。工房の横には缶、ビンなど資源ごみを回収するリサイクルセンターが、工房の裏手には廃プラスチックから廃油を取り出す設備が備わっている。
このセンターが先進的なのは、ガラスを溶解する電気炉の燃料も廃プラスチックでまかなっていること。ペットボトルのキャップやラベル、プラスチックバッグやプラ容器を集めて溶かして廃油を取り出し、これを発電機の燃料としている。
「施設内で使用するLPガスも、廃棄物からメタンガスを取り出して自家ガスとしてまかなうための開発を行っており、来年には実現できそう」
工房内ではパラオ人の職人たちが吹きガラスを吹いていた。再生ガラスは硬度がまちまちなので大変扱いづらく、高い加工技術が要求される。現在、日本人指導者のもとで学んだパラオ人マスターのもとで若い職人たちが技術の研鑽に励んでいるとか。
「地場産業が少ないこの国で、パラオ人が誇れるローカルプロダクトとして浸透していくことを願っています」

工房に併設するショップには、お土産にぴったりのアクセサリー(15ドル〜)やグラス(20ドル〜)が並ぶ。
https://www.instagram.com/belau_eco_glass/
今回は体験できなかったが、夕方から夕焼けの中でカヤックを楽しみ、シュノーケリングで夜光虫を見られるアクティビティーもパラオにはある。条件が整えば、きれいな星を海に浮かびながら鑑賞できるだろう。

都会の喧騒から逃れ、海にたゆたい一面の星空を眺めるひとときは、かけがえのない旅の記憶として心に刻まれることだろう。
直行便が就航を開始する10月末は、パラオ観光のベストシーズンである乾季に入るころ。手つかずの自然を守り抜く人々の思いを道標に、東京から直行便に乗ってまだ見ぬパラオに会いにいこう。
photography: Yasuo Yamaguchi editor: Ryoko Kuraishi
 




