サステイナブルな暮らしの名手が大切にするもの パリのアップサイクルブランドのデザイナーが受け継いできた愛用品。
Paris 2023.01.18
環境に優しい考え方が根付くパリ。メゾン・フロールは、ヴィンテージリネンのレースやモノグラムの縫い取りをアップサイクルし、ドレスやブラウスを展開するブランドだ。デザイナーのフロール・ムーランが、家族で大事に受け継いできたサステイナブルな愛用品について教えてくれた。
フロール・ムラン(デザイナー)
Flore Mouren マルセイユ出身。パリで立ち上げたブランドを休止し、2020年、家族の歴史に立ち返った「現代のトルソー(嫁入り支度のリネン)」のエスプリで、メゾン・フロールを設立した。
「祖母も曽祖母も、嫁入り道具のリネンに刺繍を施す仕事をしていたの。その伝統を現代の姿で継承したい」というフロール・ムラン。ヴィンテージリネンのレースやモノグラムの縫い取りを生かして、ドレスやブラウスを作る彼女の店は北マレにある。
「1970年代までのハウスリネンは麻100%でクオリティが高いので、100年経ってもいい素材になる。シミや傷を避け、時には刺繍を加えて服に仕立て、端切れはナプキンやランチョンマットに」。デッドストックのレースや刺繍のテープも、フロールの手でいまに蘇る。彼女の仕事を知って、家に眠っているリネンを“活用してほしい”と持ち込む人も多い。
家族の伝統と古きよきものを守る彼女の姿勢は、店の内装にも自分自身の暮らしにも貫かれている。祖父がパスティスを飲む時に使っていた水差しや、祖母からもらったティーポットは花瓶として愛用。店の壁に散るいい香りを放つドライフラワーは、売れ残った花を集めて作る生花店から手に入れたもの。ヘリテージとアップサイクルが彼女のモットーだ。
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アンティークリネン製のブラウス。袖のレースが見事な一点ものは彼女のお気に入り。ピンクやブルー、ライラックなどに染めたアイテムも。ブラウスは230ユーロ〜
壁にドライフラワーを散らした店内。デッドストックのシルクプリント生地のブラウス420ユーロ
昔は、嫁入り道具にイニシャルやモノグラムを刺繍したリネン一式を用意した。そんな時代のアンティークリネンが彼女の素材であり、インスピレーション源。
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ラ・フォンテーヌ寓話を題材にした刺繍は、母と祖母が一緒に刺したもの。
左:祖母が刺繍したサクランボ柄のポシェット。いまでも、近所に買い物に出る時などに使い続けている愛用の品。良質な布地だからこそ、ずっと現役。右:こちらはフロールが刺繍したポシェット。
人気アイテムのひとつ、付け襟。既製服のない時代、レースや刺繍の襟が別売りされていたそう。そんな襟たちは、リボンをつけて、セーターやTシャツにあしらうアクセリーになる。右上は1930年代、左下は1940年代のレース。
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母が刺繍したカゴに、色鮮やかで香りのいいドライフラワーをたっぷりと入れて。
祖母が顧客のために定期購読していた刺繍図案の冊子には、美しい図案がたくさん。ブティック内にアトリエを置くことを大事にするフロールの宝物。
45, rue Charlot 75003
tel:非公開
M)FILLES DU CALVAIRE
営)14:00~19:00
休)日~水
https://maisonfloreparis.com
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*「フィガロジャポン」2023年2月号より抜粋
●1ユーロ=143円(2022年12月現在)
photography: Julie Ansiau text: Masae Takata (Paris Office)