コレット並みの興奮!? ボン・マルシェでサラが仕掛けた本を巡る特別展。

2月24日に『Mise en page par Sarah Andelman』展を開幕し、デパートのボン・マルシェは大勢を集めている。そのゲストキュレーターは伝説のコンセプトストア、コレットのディレクターだったサラ・アンデルマン。現在は自身が2021年に創設したJust An Ideaの編集者であり、またコラボレーション関連のアドバイザーとして活動している。彼女が手がけただけあって、"コレットに行けば時代の空気が吸える、何かに出合える、発見が待っている"というかつて彼女が作り上げた興奮がボン・マルシェの3フロアの会場に蘇った感がある。作家エミール・ゾラが『ボヌール・デ・ダム百貨店』（1883年）のモデルにしたのが、世界初のデパートであるボン・マルシェ。夢を与え、買い物欲を刺激する戦術を生み出すことに天才的に長けていた創始者アルフレッド・ブシコーに、なんとなくサラが重なってしまう。彼女とボン・マルシェが組み合わさったのだから、館内が賑わないわけがないのだ。

左: サラ・アンデルマン。ジャン・ジュリアンのブランドNouNouを着て。　右: サラを描いた展覧会のメインビジュアルのトートバッグ。期間中のショッピングバッグもこのモチーフだ。photo: （右）Mariko Omura

「サラ・アンデルマンによるレイアウト」を意味するタイトルからも想像できるように、この展覧会はサラが愛する本、紙の世界がテーマ。コレット時代からの仲間のジャン・ジュリアンが手がけたアーティスティックなインスタレーション"paper people"が、その世界へと誘う役割を果たしている。3フロアに分けられた会場では、必ず書籍や写真集などを販売。書店に出向かない人たちが少なくないいまのパリにあって、ここで久々に本を手にする行為は新鮮なのではないだろうか。

ジャン・ジュリアンによるPaper Peopleのインスタレーション。photo: Mariko Omura

---fadeinpager---

地上階は2つの章による構成だ。第1章「世界の書店」ではニューヨークやオークランドなど世界の複数都市の書店のグッズなどが販売されている。中でも目を引くのは中目黒のカウブックスだろう。トートバッグ、パーカー、そして自転車まで揃えられ......これから来日するフランス人はカウブックス詣でをするようになるかもしれない、と想像してしまう。このテーマに合わせてサラは楽しい文房具やブックエンドなどもセレクション。エクス・リブリス（蔵書票スタンプ）をオーダー＆セミオーダーできるコーナーも。第2章はサラお手のもののコラボレーション。つまり期間中、この会場だけで入手できるというプロダクトの数々が揃えられ、実に盛りだくさん。

本、本屋さんとの出会いが待つ1階の第1章「世界の書店」。カウブックスも中目黒からパリ左岸へ（写真左）。photos: Mariko Omura

ブックエンドや書店のトートバッグなどに、つい手が伸びる！

 

地上階では館内中央のエスカレーターの左右の会場で「Mise en page」展が開催されている。photos: Mariko Omura

---fadeinpager---

2階で待つのは、第3章の「Just and Idea」。サラは2021年から若い才能や彼女が世に知らしめたい才能について、モノグラフィーの作品集をJust an Idea Booksの名で限定出版している。会場では第4弾のCharles Bébert、RK、Kathrina Jebb、Glenjamm、Jean Julienを販売。さらに過去の出版物についてもAndrew Bush展とともに扱っている。

2階の第3章。壁を覆うのはJust an Ideaのロゴ。

サラがアーティストたちに依頼した個数限定のブックエンドの販売もあれば、イネス・メリアなどによるインスタレーションも。

鉛筆やマスキングテープのように手頃な価格から、扱う商品の価格帯は幅広い。photos: Mariko Omura

---fadeinpager---

3階の第4章「ジャン・ジュリアン」は、ほかの会場に比べてブルーよりオレンジが印象的だ。彼のブランドNouNouのウエアや食器などの様々なアイテムを集め、そしてエピスリーもあればPhamily Firstとのコラボレーションによるカフェもあって......。

NouNouのプロダクトの販売、カフェ、エピスリー......陽気な雰囲気に包まれ、カフェで寛ぐ。photos: Mariko Omura

この『Mise en page』展は特設会場だけにとどまらず、ビュリーやロンシャンなどボン・マルシェにコーナーを持つブランドのいくつかも、この展覧会のためのプロダクトを展開。これらの詳細とコラボレーションについては、第2弾にてじっくりと紹介することにしよう。