ヴェルサイユ宮殿で、皇帝ナポレオンとリヨンの絹織物の展覧会。

Paris 2024.05.21

ルイ14世、マリー=アントワネットといった名前に結びつき、王家の象徴たるヴェルサイユ宮殿は、1804年に皇帝の座に就いたナポレオン1世の心を捉える存在だった。ここに王のように居を構えたいと願った彼は、宮殿の壮大な改装計画を立てたものの、10年足らずの短い在位中に実現されたのはその一部。1810年に再婚したマリー=ルイーズ王妃とともに改装を施したグラン・トリアノン(大トリアノン宮殿)に居を構え、ここには皇帝様式の家具を整えた。あいにく失脚により、たった4年でグラン・トリアノンでの暮らしは終わってしまうことになる。

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駅構内などで見られる、ゴージャスなシルクが目を引く展覧会のポスター。

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照明を落とした展示会場内、19世紀前半に織られたシルクが光沢を放つ。フランスで絹織物といったら、いまでもリヨン!

6月23日までヴェルサイユ宮殿のグラン・トリアノンで『ヴェルサイユ宮殿のための皇帝の絹織物、モビリエ・ナショナルの所蔵品』展が開催されている。展示されているのは、彼がヴェルサイユ宮殿の家具やカーテンなどの模様替えのために、1810年にリヨンの絹織製造業者たちに発注した織物。ヴェルサイユの皇室家具保管庫に1811~1813年に配達されたものの、ナポレオンはロシア遠征の失敗で失脚し、使われることなく眠りにつくという運命をたどることになったのだ。織物は120種あり、すべての布の合計の長さは80㎞以上にもなるという。これほどの大量発注がなされたのは、リヨンの絹織物製造業の不況を知った彼が、その援助のために宮殿改装予算600万フランのうちの200万フランを絹織物のオーダーに当てたことから。展覧会はこの注文の時代背景、リヨンの絹織物の技術や歴史などをテーマに、驚くほど良い状態で保存されていたシルクを展示。グラン・トリアノンの訪問も含まれているので、会期中にヴェルサイユ宮殿に行くならぜひ!

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photos: ©️Mobilier National Isabelle Bideau

『Soieries impériales pour Versailles, collection du Mobilier National』展
会期:開催中~6月23日
会場:Grand Trianon/ Château de Versailles
開)12:00~18:30
料)12ユーロ
休)月

editing: Mariko Omura

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