アールドゥヴィーヴルを体感する、1908年築の邸宅ホテル。【パリの永遠の名所を歩く】
Paris 2025.04.27
ストーリーのある隠れ家で、洗練のステイを。
Maison Villeroy
メゾン・ヴィルロワ〈8区|シャンゼリゼ〉
上:スイート、ヴィルロワのリビングには、食卓とオープンキッチンが。 クリストフルのカトラリーとベルナルドの食器が備わる。 左下:レストランのウェイティングバータイム以外は、宿泊客だけが 利用できるバー。中庭からの光も入る、寛ぎの空間。 右下:3層吹き抜けのエントランス。造形の美しい階段や天井の浮き 彫りがネオクラシックな内装に、モダンデザインの照明が調和。
ラグジュアリーブランドが立ち並ぶモンテーニュ通りとセーヌ川に挟まれた小路。ショッピング街の賑わいから数分離れると、ガラスのマルキーズ(庇)が目に入る。ここがホテルであることをうかがわせるのは、扉の横のプレートだけ。呼び鈴を押すと、メタルの造形が美しいガラス扉の向こうからスタッフが姿を現す。
磁器ブランド、ヴィルロワ・ボッシュのオーナーファミリーのために建てられた邸宅がホテルに生まれ変わったのは、2020年のこと。1908年築の歴史的建造物の邸宅で、内装は20世紀初頭のオリジナル部分を修復。当時の意匠に合わせた内装建築を、現代の職人技で実現したリノベーションには3年を費やした。天井のレリーフや階段の手すりに施されたゴールドのペイントやブロンズのドアノブは、それぞれ老舗アトリエによる仕事。エントランスの吹き抜けや客室を彩るのは、アトリエ・アラン・エルーズによる球形の照明。フランス人作家ピエール・ボンヌフィーユのアートピースが各フロアを彩り、ネオクラシックな佇まいにモダンな表情を加える。
アートピースが壁を飾るスイートルーム、ヴィルロワの寝室。 アメニティはディプティックなどのフレンチブランド。
スパはアンテュイスとNADクリニックを採用。ケアを予約すれば、 宿泊客専用のハマムとサウナ付きバスルームも有料で利用できる。
客室数は11室。ここは、ミシュランキーの最高ランク3キーを獲得したパリの9軒のホテルの中で、唯一パラスの規模ではない小さな宿だ。玄関の扉は外から自由に開けられることはなく、予約制のレストランとスパでのケア以外は、宿泊客だけに捧げられた空間。客室の家具はホテルのために特別にデザインされ、ドゥルオー社の羽根布団が心地いい眠りに誘う。24時間対応の執事とコンシェルジュは、顧客の要望にきめ細かに対応するオートクチュールなサービスを心がける。フランス南西部出身のシェフ、セバスチャン・サンジュ率いるレストラン、トラント⹀トロワは1ツ星を保持し、彩り豊かなフレンチが楽しめる。
パリで最も華やかなエリアで最上級のサービスを提案しながらも、プライベート感あふれる隠れ家。20世紀初頭のブルジョアジーの暮らしを彷彿させる邸宅で、フレンチ・アールドゥヴィーヴルを体感したい。
レストラン、トラント=トロワの料理一例。手前はエビとラディッシュの前菜「Crevettes Sauvages de Méditerranée,Jus de Tête,Radis,Cédrat」32ユーロ、奥は鴨のレバーと冬野菜のポトフ「Foie Frais de Canard de chez Robert Dupérier, Légumes d'Hiver,Pot-au-Feu」37ユーロ。グラスワイン18ユーロから。
メゾン・ヴィルロワ〈8区|シャンゼリゼ〉
33, rue Jean Goujon 75008 ★Google Map
01-45-05-68-00
ALMA-MARCEAU 全11室、バスタブ付き4室
プレミアルーム1,180ユーロ~、プレミアスイート1,780ユーロ~(いずれも1室2名、朝食込み)
レストラン「トラント=トロワ」
営)12:00~13:30L.O.、19:30~21:30L.O.(火~土)
休)日、月
要予約
スパ
営)7:00~22:00
無休
https://the-c.com/property/maison-villeroy/
パリ在住歴32年。出版社勤務後、フリーランスエディターを経て、2017年より「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。本誌連載「Hot from PARIS」でパリの"いま"を伝える。
*「フィガロジャポン」2025年5月号より抜粋
●1ユーロ=約162円(2025年4月現在)
●日本から電話をかける場合、フランスの国番号33の後、市外局番の最初の0を取ります。フランス国内では掲載表記どおりかけてください。
●各紹介アドレスのデータ部分のは地下鉄の駅を示しています。
●掲載店の営業時間、定休日、商品・料理・サービスの価格、掲載施設の開館時間やイベントの開催時期などは、取材時から変更になる可能性もあります。ご了承ください。
photography: Ayumi Shino text: Masae Takata(Paris Office)