創業250年を祝い、パリにブティックを再開した香水のウビガン。
Paris 2025.09.02
香水ファンにとって香りの伝説的な老舗、ウビガン。日本でもセレクトショップで2~3年前から取り扱われているブランドだ。メゾンの創業は国王に即位したルイ16世が、戴冠式を行った1775年である。この時代らしくウビガンは香水そして手袋の製造販売を行い、ブティックはサン=トノレ通りにあった。開業するやすぐさま貴族たちの間で話題となり、マリー=アントワネット王妃も早い時期から顧客に。フランス革命でヴェルサイユを離れる際に、亡命先での使用のために王妃は香りと化粧品の買い出しに使いの者をフォーブル・サン=トノレ通りの店に向かわせた、というエピソードが残されている。ナポレオン1世、英国のヴィクトリア女王、さらにダイアナ妃も顧客だったという。
ラデュレ、ニットのMolli、老舗のゴヤールといった高級ブティックが集まる一角にオープンしたパリ店。©Pietra Studio
ウビガンは現在モナコに所在するペリス・グループの傘下に収められている。50年ぶりにパリに再開したウビガンのブティックがあるのは、フランソワ・プルミエ通りで、店の内装を託されたのはフィレンツェがベースの建築家フィリッポ・ブレシだ。彼をインスパイアしたのは、パリの宮殿や歴史ある個人邸宅などの壮麗さ。そこに現代的タッチをミックスしたインテリアはとても洗練され、エレガンスが漂う。
店内は伝統と現代が融合するデザイン。©Pietra Studio
ボワズリーが美しい棚に、香水のボトルが花とともにディスプレイされている。©Pietra Studio
かつてのブティックが花々の籠を看板にしていたようにウビガンはフローラル系の香りで知られている。もっとも19世紀末に合成香料を用いた「フジェール・ロワイヤル」は花ではなく植物だったが。パリだけでなくカンヌのクロワゼット大通りにもブティックをオープン。ウビガンはフランスの卓越したサヴォワールフェールが生み出す香りの新しい歴史を、この2つのブティックから世界に広めてゆくに違いない。
香水ボトルの背景には、曲線の縦溝が入ったシャンパントーンのパネル。©Pietra Studio
赤はMon Boudoir、緑はQuelques Fleurs Jardin Secretというようにボトルの首に巻かれたリボンの色が香りの違いの目印。©Pietra Studio
62, rue Francois 1er
75008 Paris
営)11:00~20:00
無休
https://www.houbigant-parfum.com/
@houbigant_paris
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editing: Mariko Omura