ゲランの名香シャリマー。誕生100周年を祝い、アート展も愛をテーマに。

Paris 2025.10.29

ゲランのシャリマーはいまから100年前、1925年に現在のシャンゼリゼ通り68番地 本店ブティックの上階で3代目調香師ジャック・ゲランによって創香された。インド・ムガル帝国のシャー・ジャハーンが王妃のために築いたシャリマー庭園がインスピレーション源という、愛をテーマにした香りである。今回が17回目というゲラン本店の3フロアを使って開催するアート展は『En plein coeur(Straight to the heart)』と題され、シャリマーの100周年を祝って愛をテーマに構成された。バブロ・ピカソ、デイヴィッド・ホックニー、ニキ・ド・サン・ファル、アリスティド・マイヨールなど著名なアーティストと現存する新進アーティスト30名の作品を展示。会場に集められた愛は、破片となった愛、抵抗における愛、身体と心と大きく3つに分類されている。

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ブティックの地下、地上階、2階の3フロアを使った『En plein coeur』展。地下の奥にはエロティック・ルームと呼ばれる小さな部屋が。photography: Mariko Omura

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左:アリスティド・マイヨール『Le Couple ou L'homme et la femme』(1896年)Courtesy Galerie Dina Vierny ©Aristide Maillol, Le Couple or L'homme et la femme, 1896 右:アンディ・ウォーホルの映画『Sleep』で眠り続ける姿を撮影されたジョン・ジョルノ。その彼が愛の失望を語る作品『Everyone is a complete disappointment』(2018年)©Giorno Poetry Systems - Courtesy of Giorno Poetry Systems and Almine Rech

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レン・ハン『Untitled』(2014年)。裸体の写真に対して閉鎖的な中国では展示が禁じられたといういまは亡き写真家の作品を前にする機会だ。©Ren Hang,Untitled,2014

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この展覧会はゲランがパートナーを務めるアート・バーゼル・パリの一環で、ブティック内で開催される17回目となるアート展なのだが今回とてもユニークでゴージャスな試みがなされたのだ。展示されているいくつかの作品について、メゾンの専属調香師&フレグランス クリエイション ディレクターのデルフィーヌ・ジェルクがアーティストとの対話から共通の感動が得られる香りをクリエイト。該当作品の脇に赤いボックスが置かれ、蓋を開けると香りを染み込ませたハートが! この香りを体験することで、来場者たちはアーティストの愛の表現により深く浸ることができるのだ。

たとえば、2枚の舌が絡むイヴァン・アルゴテによるブロンズの彫刻。アーティストが求める唾液の香りに対し、デルフィーヌは自分がキスした相手から感じたい、しっとりとした甘みのある香りをクリエイトして「Kiss」と命名した。ロンロン&インリのふたりの結びつきを象徴するモノクロ写真については、「Chambre Noire(暗室)」をクリエイト。どことなく化学的で気を引く香りである。この仕事の取り組みに、彼女はおおいなる自由を感じたそうだ。

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左:エロティック・ルーム内に展示されているイヴァン・アルゴテの彫刻『Lengua con Lengua(Tongue with Tongue)』(2019年)。 右:Magic Studioがデザインした香りの容器、蓋を開けると香りが込められたハートが姿を現す。photography: Mariko Omura

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ロンロン&インリ『Untitled 2008 NO.25』(2008年)。写真から創香のインスピレーションを得たデルフィーヌが生み出した香りは「Chambre Noire(暗室)」。©RongRong&inri/Three Shadows Photography Art Centre/ Collection privé

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ヴァレンティン・レンジャー作『Heart's Choir Digital Lovers』(2024年)。作者はこの作品の香りとしてフレッシュでフローラルなプティ ゲランを選んだ。©Valentin Ranger,Heart's Choir Digital Lovers,2024

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リウ・ボーリン作『Hiding in the City -Paris, Love』(2014年)。バラの花と香水ラ プティット ローブ ノワールのボトルが埋め尽くす写真。作家はここに初めて自身の顔も取り入れている。©Liu Bolin, Courtesy Liu Bolin /Galerie Paris-Beijing/ Collection-Guerlain

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地下のメイン会場に入るや、目に飛び込んでくるのはロバート・メイプルソープが撮影した笑顔のルイーズ・ブルジョワだろう。この写真の脇に置かれた香りは、もちろん彼女が愛用していたシャリマーだ。また、ブティック2階への階段の壁に展示されているのはピエール&ジルによるシルヴィ・バルタンとジョニー・アリディで、このふたりの永遠の愛を語る作品に添えられているのは激しい鼓動を意味するゲランのシャマードである。

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左:ルイーズ・ブルジョワの写真の右脇に置かれているのはシャリマーの香り。 右:ピエール&ジルの作品中のカップルはシルヴィ・ヴァルタンとジョニー・アリディ。photography: Mariko Omura

アートと香りが融合したこの展覧会、ゲランだから提案できる贅沢な官能の旅へ出かけることができる。なお、これは誕生100周年を記念して発表されたデルフィーヌによるオーデパルファン「Shalimar L'Essence(シャリマー レソンス)」の香りに酔う機会でもある。彼女は100年前にジャック・ゲランがシャリマー創香に際して世界で初めて配合した合成香料のエチルバニリンの香りに、ゲランの代名詞であるマダガスカル産のヴァニラチンキを重ね合わせた。これにより、シャリマーのアイデンティティを損なうことなく力強さがもたらされたのだ。

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シャリマーの誕生から100年。日本では10月1日に販売が始まったシャリマー レソンス。photography: Mariko Omura

『En plein coeur』展
開催中~11月16日
La Maison Guerlain
68 avenue des Champs Elysées
75008 Paris
営)11:30~19:00最終入場(月~土)、11:30‐18:00最終入場(日)
料)無料
https://www.guerlain.com/uk/en-uk/c/exposition-en-plein-coeur.html

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editing: Mariko Omura

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