「ウォッチパーティ」が大人気。モードの都で広がる、ファッションショーの新しい楽しみ方。

Paris 2025.11.27

パワーアップするファッションウィークは、パリ中を巻き込む風物詩に。

9月29日から10月7日、恒例のファッションウィークがパリで開催された。今季は「世紀のファッションウィーク」との呼び声が高く、新アーティスティックディレクターによるコレクションが目白押し。シャネル、バレンシアガ、ロエベ、ジャンポール・ゴルチエ、ひと足早くメンズやオートクチュール週間でファーストショーを行ったディオール、セリーヌ、メゾン マルジェラも含めれば、実に10以上のメゾンが新ディレクターを迎えて新章の扉を開いた。

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左:マチュー・ブレイジーによるシャネルの初コレクションは最大の話題のひとつ。 中央:ディオールではジョナサン・アンダーソンが6月にメンズを披露、ウィメンズの初コレクションにも大きな拍手が。 右:バレンシアガを引き継いだピエールパオロ・ピッチョーリ。photography: Spotlight

ファッションショーは、19世紀の終わりにフレデリック・ワースが店員に服を着せて顧客に見せたのが始まりだという。プレタポルテが確立した1960年代を経て、現在のようなファッションウィークの姿になったのは70年代以降。80〜90年代にはコム デ ギャルソンが、続いてマルタン・マルジェラらのベルギー勢が現れてパリモードのコードを変えた。ミュグレー、アライア、ゴルチエが活躍し、カール・ラガーフェルドのシャネル、ジョン・ガリアーノのディオールがメガショーを繰り広げ、スーパーモデルがブームになったモードの時代。なんとかショーを見ようと会場入口に詰めかけたのは、熱狂的なファッションアディクトだった。とはいえ、20世紀のファッションウィークは、モードという閉じられた世界のお祭りに過ぎなかった感がある。

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チュイルリー庭園で開催されたディオールのショーには、BTSのJIMINを待つファンが紫の風船を手に集結。photography: Henshu Kim

21世紀に入って、ショーと同時にコレクションの全ルックがネットで公表されるようになり、ファッションウィークは一般にダイレクトに繋がった。5年前のコロナ禍でフィジカルなショーの時代が終わるかと思われたのも束の間、ファッションウィークは年を追うごとに巨大化している。公式カレンダー上のプレゼンテーションは100を超えた。メゾンの広告塔やアンバサダーを務めるセレブリティ、ことにK-POPスターの姿を求めてパラスホテル前やショー会場入口に集結し、歓声を上げるファンの姿はいまや風物詩だ。場外の風景がランウェイやフロントロウ以上に話題を呼び、ファッションショーはパリ中を巻き込んだイベントになった。

「モードエリートのファッションショーを一般にも」と話題になったLyas。フィガロ紙のインスタグラム(@lefigarostyle)でも紹介。

ウォッチパーティの出現も今季の新しい話題だ。事の起こりは、インスタグラムで約40万人のフォロワーを持つインフルエンサーLyas。6月のメンズ週間にディオールのショーのライブストリーミングをフォロワーとともに見る会を10区のバーで企画した。「30人くらい来るかな、と思ったら200人くらい集まって」と当人が驚くほどの反響を手に、今回はモードのオルタナティブスペース、ラ・カゼルヌの広い中庭で11のウォッチパーティを開催。サッカーのワールドカップさながらに、モードファンが集まって、歓声を上げながらショーを観戦(?)する。スポーツカフェならぬモードカフェのテレビ画面でショーのライブを見る時代がやってくるかもしれない。

ラ・カゼルヌの中庭で開催されたウォッチパーティ。コンピューターを模した大スクリーンが登場。

髙田 昌枝/Masae Takata
1992年渡仏、2017年より「フィガロジャポン」のパリ支局長。増え続けるショーとイベント、交通渋滞で、ファッションウィークではチームの取材スケジュール管理に頭を抱える。

*「フィガロジャポン」2026年1月号より抜粋

text: Masae Takata (Paris Office)

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