創作料理のおいしさとスタッフの若者パワーに圧倒される、2区のレストラン「バビ」。

Paris 2025.12.06

今年の夏に開店したBabi(バビ)の評判がとても良い。カウンター席を含め合計30席というこじんまりしたレストランで、毎夜、賑わいを見せている。店でまず驚かされるのは、そこで働くスタッフの若さである。全員が25歳以下で、最年少は18歳。料理を愛する彼らから発せられるエネルギーが、広くはない店内に大いなる熱気をもたらしているのだ。

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左:地下鉄3番線Sentier駅から徒歩約5分。 右:ワイン担当のジェレミー(左)と料理担当のネオがデュオで活躍するバビ。


店があるのは市場通りであるモントルグイユ通りから入る、さほど長くないけれど飲食店が並び活気に満ちたマンダール通り。ワイン担当のジェレミー・タッシュとシェフのネオ・ゲラン。ミシュラン一つ星のShabour(シャブール)とその同系列のTékés(テケス)で共に働いた仲よしの二人が、ワインと季節の味の対話を提案する店を作ったのだ。

ビストロと星付きレストランの中間という感じの料理である。1皿の中に盛り込まれた様々な国の調味料、調理法が混じり合い、絡み合い、予測不可能な独自の味を生み出しているのがバビのクリエイション。開店以来のベストセラーのひとつは「オレ・オレ・セビーチェ」で、これはスズキにアクアヴェルデ、エシャロット、ズッキーニをさいの目切りしたソースを合わせ、パッションフルーツが風味を際立たせるというものだ。いまの季節、例えば「オニオーベルジーヌ」はゆず風味でマリネしたナスの切り身の串刺しで、そこにブルターニュのロスコフ・オニオンとピスタチオのクランブルが乗せられ、それに呼応しておさらにはピスタチオのクリームが。ナスは見た目も食感も肉のようで、なんだか味までも......。肉汁のように見えるソースも実は肉汁ではなくて、というように、料理がテーブルに登場するたびに味の驚きが用意されている。それはデザートまで続く。マグロのジャム?ラディッシュとバター? デザートメニューに書かれた文字からは、そのおいしさの想像がつかない!

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左:ワインのセレクションはジェレミーにお任せ! 右:シェアする前菜のひとつTapita(9ユーロ)は揚げピタパン。ゴマなど3種のソースで。味覚の旅の始まりだ。photography: Mariko Omura(右)

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左:オレ・オレ・セヴィーチェ。右は低温調理で36時間かけた柔かな豚の胸部肉のフライ。下味にはみりんや味噌が使われている。

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骨を抜いた鳩に酢飯を詰めたり、ブルターニュ産のロブスターのトルテリーニにはキムチ風フェンネルを添えたり......。これらはオープン時の人気料理だった。なおバビの料理はシェアが基本で、例えば二人なら前菜をひとつにメインを3つ、というのが良いボリュームとか。

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ワインはフランス、アルメニア、イスラエルなどヴァラエティに富む産地から厳選した独立系ワイナリー、新進気鋭のワイナリー、老舗ワイナリーなど。グラスワイン(9ユーロ~)のセレクションも10種近くあり、ネオの料理を熟知するジェレミーは、これ以上ないほどぴったりのワインを選んでくれる。

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小さな店内にネオとジェレミーのビジョンを反映するインテリアを任されたのは、エマ・コレとトマ・ディテールが主宰するOno Studio。床はモンプリエ近郊からのタイル、カウンターは花崗岩で、カーテンはパリの職人による仕立てである。また食器はパリ郊外に窯を持つ陶芸家キャロル・フレルにオーダーした特注品というように、バビは人間の手の温もりが感じられる要素に満たされているのだ。4人の食事ならテーブル席もいいけれど、バビの特等席は何といっても、ライブ感満載のオープンキッチンの前のカウンター席である。料理人との対話も可能だし、またその仕事ぶりを眺めているだけでも楽しめるので、一人の食事ならここは退屈知らず!

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テーブル席にするか、カウンター席にするか。何れにしても食事の予約を忘れずに。

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カウンター席。店内エントランスホールと奥の部屋の2パートに分かれている。photography: Mariko Omura(右)

ところで、店名バビの由来はというと......Babiというのは中東において愛らしいあだ名であり、また名前を忘れてしまった時に呼びかける時に使う言葉でもあるという。そして話し始めた"赤ちゃんがバブバブ言う"という意味の動詞Babiller(バビエ)にもかけた店名なのだそうだ。

Babi
11, rue Mandar 
75002 Paris
営)19:00~24:00
休)日、月
@restaurant.babi

Google Map

editing: Mariko Omura

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