ブリエンヌ・パリ・ディスのシャツ、インスピレーション源は18世紀ディレクトワール様式の個人邸宅。

Paris 2026.01.25

ファーストコレクションから日本で販売されているBourrienne Paris X(ブリエンヌ・パリ・ディス)。これはシャツのブランドである。デザインのベースは18世紀に男性が着ていたシャツにあり、発足当初はメンズの白いシャツだけのコレクションだった。最近ではジェンダーレスの定番シャツだけでなく、ストライプだったりブルーの麻素材だったりとシーズンごとにちょっとしたファンタジーが加えられたコレクションがメンズとレディースで発表されている。

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パリ10区のBourrienne Paris Xのブティック。裏手の窓から中庭に面した18世紀の邸宅が見えるが、こちらはオフィスゆえに一般公開はされていない。


ブティックのあるオートヴィル通り58番地。この裏がメゾンのオフィスを擁する本拠地なのだが、単なるパリの建物というのとはちょっと異なる。驚くべき建物といっていいくらい。ブランド創業者のカリーヌ・ベグベデールがオフィスを探している際に出会い、一目惚れして入手した1787年建築の個人的宅Hôtel de Bourrienne(オテル・ドゥ・ブリエンヌ)である。6年前のことで、修復工事を行いディレクトワール様式の室内装飾が残るパリ唯一の家が美しく21世紀に蘇ったのだ。建築されて5年後、この家に暮らし始めた優美で才気あふれる女性Fortunée Hamelin(フォルチュネ・アムラン)は自宅でサロンを開催したことで知られている。ナポレオン1世、ヴィクトル・ユゴー、シャトーブリアンなどが集まる人気のサロンだった。

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ディレクトワール様式は、高価なゴールドを使う代わりにインテリアに色彩を取り入れていた。ここはかつてフォルチュネの寝室だったスペース。

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2026年春夏コレクションの発表が邸宅内で行われた。暖炉の上に飾られているのはフォルチュネの肖像画。オフィスは2階フロアにある。photography: Mariko Omura

彼女がこの時代のパリ社交界にその名を轟かせていたのはMerveilleuses(メルヴェイユーズ)のエスプリの持ち主だったこともある。フランス革命後の恐怖政治時代に対抗するように出現したのは、自由で新たなモードをまとい浮かれるレ・メルヴェイユーズ(女性)とレ・アンクロワイヤーブル(男性)と呼ばれる先進的な若者たち。21歳のフォルチュネもその波に乗って......1979年に腰までスリットが入った薄物の下着のようにシンプルな服で胸もあらわにシャンゼリゼ大通りを女友達と闊歩したというエピソードを残したのだ。彼女の後、この家の持ち主となったのが邸宅に名を残しているナポレオン1世の中学の同級生で彼の個人秘書を務めるルイ・フォヴレ・ド・ブリエンヌである。

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ディレクトワール様式は、1790年前後からナポレオン・ボナパルトが皇帝に即位する1804年ごろまで続いた室内装飾や衣服の様式。

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キッチンからの眺め。建物の裏に中庭が広がる。

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シャツのコレクションに大いなるインスピレーションを与えのはこの建物が持つ歴史、ここに漂う魂だと語るカリーヌ。時代のエスプリはもちろんだが、ボワズリーや壁の刳型装飾など文化遺産たる建築物そのものからもインスパイアされる。例えばシャツの袖口や胸元に白い糸で刺繍されているのはフォルチュネの寝室だった部屋の壁を飾る帯状装飾から、というように。

クオリティにこだわるブリエンヌ・パリ・ディス。ポプリンはイタリアから、麻はベルギーから、ボタンはオーストラリアの貝ボタンというように厳選した上質の素材を用い、袖口や胸元を飾る刺繍の縁取りはフランス北部のリルで150年の歴史を持つ職人のアトリエが担当。またプラストロンの細かいプリーツはブルターニュでサヴォワールフェールを護る職人の手によるものだそうだ。最初は白だけで始まったコレクション。現在はシーズンを超えてブティックやサイトで販売しているアイコニック・コレクション、そして好評なデザインについては、シーズン・コレクションに新しい素材や色のバージョンを加えている。

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アイコニック・コレクションより。左は邸宅の装飾のディテールの刺繍。右はブルターニュの職人が手がけるプラストンのプリーツ。

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左:白いシャツに袖、襟のバリエーションの遊びが見られるブランド。 右:背中の微妙なタックも職人の技だ。

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2026年春夏コレクションより。

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2026年春夏コレクションより。白いシャツのコレクションが色へと少しづつ広がってゆく。

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昨秋には、Alix D. Reynisとアール・ドゥ・ターブルについてのコラボレーションを発表した。繊細な白のリュクスという共通項を持つ2つのメゾンはオテル・ドゥ・ブリエンヌを象徴する花モチーフにインスパイアされ、日常使いの品をクリエイト。コーヒー用タンバル、プレート、小皿、ランチョン・マット、ナプキン、そしてブリエンヌ・パリ・ディスのアーティスティック・ディレクターであるセシル・フォシェールがデザインしたラヴァリエール襟のシャツである。どれをとってもノーブルなエレガンスが漂う。このコレクションはパリ6区のAlix D. Reynisおよび10区のBourrienne Paris Xのブティックで購入が可能だ。

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オテル・ドゥ・ブリエンヌ。コラボレーションのモチーフはフォルチュネのバスルームだった部屋の天井の花モチーフから。

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Bourrienne Paris X & Alix D.Reynisの限定コレクションより。プレートはバスルームの天井のロザスをそのままモチーフにしている。

Bourrienne Paris X
58, rue d'Hauteville
7010 Paris
営)11:00~19:00
休)日
https://bourrienne.com/
@bourrienneparisx

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editing: Mariko Omura

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