CHICHI PARIS ~パリに住むエステティシャンのblog~

パリの活け〆の魚屋さんEbisu

フランス人は人を自宅に招くのが大好きです。招かれたら次は招くのがマナーで、招く→招かれる→また招く→また招かれる・・・を繰り返して友情を深めていきます。だからこの人と親しくしたいなと思ったら、自宅に招くのが一番です。料理が苦手だったり、ディナーではハードルが高いと思ったら、ランチとかアペリティフから始めてもOKで、とにかく家に招き招かれるのが重要で「仲良くしましょう」の合図です。

京都に住んでいるフランス人の知人が「知り合った日本人を自宅に招待しても、彼らは僕を全然招待してくれない」と落ち込んでいて、「日本人は自宅よりレストランや居酒屋など外で食事することが多い」と説明しても、彼にしたらどうしても《自宅に招かれない≠友達》で、日本語が上手なのに京都在住のフランス人とばかり付き合っているそうです。ま、女性との関係は別でちゃっかり日本人の彼女はいるのですがね(^m^)

ebisu2.jpg

さて、私は自宅に友人達を招待するときずーっと避けていたことがあります。それは『和食』。

パリで手に入る日本食材は限られているし、パリの日本食レストランより日本で食べたほうが絶対に美味しいと思う。普段でもパリにいるときは和食は殆ど口にしないし、そもそも毎日フランス料理でも平気。日本で食べるお寿司は大好きですが、フランスでよく見かけるサーモンのお寿司を見ただけでもう食べる気が失せてしまう・・・。こんな具合なので、ごくたまーにトンカツや天ぷらを作って食べるだけで十分満足で、魚は毎週マルシェで買うけれど、お刺身よりカルパッチョやセビーチェ、タルタルにして食べることが多いです。

ところが、先日結婚したカップルを招待することになり、ある事情で和食でおもてなしすることになったのでした。和食をフランス人に振舞うって久しぶりすぎて、一体何を作ればいいのー!?

IMG_9076.jpg

料理上手な日本人の友人達から色々とアドバイスをもらい、買い物に走り回り、魚屋さんもいつものマルシェではなく、友人お勧めの水槽で泳いでいる魚を活け〆にしてくれるという11区の魚屋さん「ポワッソニエ(フランス語で魚屋)Ebisuに行ってきました。

とびきり新鮮な魚が揃っていると聞いていたけれど、魚がツヤツヤ光っているいる。透明感があり目玉も透き通っていて見るからに新しい!30センチはある立派な車海老は、天ぷらにしたら美味しそう。

IMG_9075.jpg

活〆の魚がありました!一本釣りの天然のドラ・グリーズ(dorade grise、黒鯛)。まるでタグ付きのセコガニや松葉ガニのように”IKEJIME"プレートが付いています☆ 

IMG_9084.jpg

どうやら全部の魚が活け〆ではなく、活け〆とそうでない魚、そして水槽で泳いでいるのを網ですくって締めてくれる魚の3種類があるようです。それにしても、鯖や鯵も身がピーンと反り返っていて新鮮!

IMG_9079.jpg

本日のオススメはVieille(ヴィエイユ)という名前の魚。初めて聞く名前で、直訳すると「古い、年寄り」。なんて悲しい名前。おまけに見かけが怖すぎる・・・。

Img_Labrax56_Lavieillepoisson.png

数種類の魚を買ってお刺身にするか鯵を酢で〆ようかなとも考えていたけれど、時間がなくなって慌てたくないからお刺身のセットを注文することにしました。サーモン、マグロ、鯛、アワビの4種類。フランス人にはやはりサーモンが人気だそうです。鯛は活け〆のドラ・グリーズ(黒鯛)ではなくドラ・ロワイヤル(draude royale ヨーロッパへダイ)を選びました。フランスではドラ・ロワイヤルの方が値段が高く高級なイメージなので、本当は活け〆の黒鯛の方が値段が高く味も謙遜ないけれど、多くのフランス人がドラ・ロワイヤルというだけで喜ぶというツマラナイ理由からです(汗)

フランスでは生食用の魚は寄生虫予防のためー20℃以下で24時間以上冷凍してから販売するよう定められているので普通は冷凍下処理されているのですが、ここのは生で、その代わりものすごく注意してチェックしているそうです。

IMG_9092.jpg

ついでにお昼ごはん用にチラシ寿司をお持ち帰りで作ってもらいました。Ebisuのムッシューは産地や食べ方など親切に説明してくれるし、最近は冷凍食品専門店の魚を買う人も多いけれど、こうして色々と教えてもらえるし何より新鮮な魚は味が全然違いますね。

サーモンとマグロと鯛と、一番上の魚が見た目で躊躇したVieille(ヴィエイユ)は初めて食べたけれど、炙って甘辛い醤油ダレが塗ってあり、ホロホロとした食感とコクのある味で、ムッシューのお勧めどおりすごく美味しかったです。魚の下に生姜の千切りが入った酢飯が敷いてあります。これで15ユーロとものすごく良心的な値段!

IMG_9088.jpg

さぁ、チラシ寿司を食べた後は、苦手な和食作りです・・・(^_^;)

 

【 Poissonnerie Ebisu 】

30 Rue du Chemin Vert, 75011 Paris

chichi

立神詩帆 / Shiho Tatsugami
2002年渡仏。エコール・フランソワーズモリスで学び、エステティック・コスメティックCAP国家資格を取得。2011年からパリ7区でエステサロンCHICHI(シシィ)を自営。All About のフランス流美容ガイドとして、パリジェンヌから学ぶ美容情報やライフスタイルに関するコラムを掲載中。
好きなものは、フランスの食文化、1日の終わりのアペリティフ、アルゼンチンタンゴ、旅。

www.chichiparis.com
https://allabout.co.jp/gm/gp/1693/
Instagram: @chichi_paris7

ARCHIVE

MONTHLY

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
キーワード別、2024年春夏ストリートスナップまとめ。
連載-パリジェンヌファイル

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories