
パリ14区でジャコメッティ☆
美しさの基準は時代や国によって異なり、そもそも個人によって何を美しいを感じるかは違っていると思います。
名画と言われるような西洋絵画で美しいとされる女性の体型は現代の感覚では太め?!
そんな中で初めて観て驚いたのは、アルベルト・ジャコメッティ(Alberto Giacometti)のスレンダーな彫刻作品たち。
ほっそ!
女性らしい柔らかい丸み、男らしさを感じる筋骨隆々シックスパックな腹筋などとは全く異なるそのラインを目の当たりにしての衝撃。
そしてその細さの美しさに魅かれるようになりました。
(関連ブログ→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/post-769.html)
と言う訳で彼のアトリエを再現したという“Institut Giacometti”(ジャコメッティ・インスティテュート)へ行って来ました。
でもジャコメッティのアトリエは同じモンパルナス界隈にあったものの、ここではなかったそう。
この建物は元々は1913年に建てられたもので20世紀前半の装飾芸術家・ポール・フォロ(Paul Follot)のアトリエ。
何気に壁のデザイン、手すりの青、窓枠の飾りなど建物全体が綺麗です☆
入口を入ってすぐ横にガラス張りのコーナーがジャコメッティと親交のあったロベール・ドワノーらの撮った写真を元に再現したアトリエ。
ジャコメッティの作品自体の展示は少ないです。
つくづく細い!とは思うけれど、人の細さも様々あって鍛えた感のあるストイックな細さ、病的な細さ、か弱く儚げな細さ、少年少女期特有の細さ、一見細いけど実は骨太?!と色々だな〜なんて思いながらの鑑賞。
そして只今6月9日までですが、企画展“「FLORA」 TERESA HUBBARD / ALEXANDER BIRCHLER ”(「フローラ」テレサ・フッバード / アレキサンダー・ビルヒラー)を開催中。
ジャコメッティが一時期つき合っていた彫刻家フローラ・メイヨ(Flora Mayo)に焦点を当てたもので、彼女をモデルに製作したジャコメッティ作品やアメリカ人とスイス人のデュオ現代アーティストのテレサ・フッバード &アレキサンダー・ビルヒラーによるフローラ作品レプリカなどを展示。
フローラの名前自体は長くジャコメッティの恋人として知られていただけ…。
フローラの息子さんデビッド・マイヨさんが語る映像が流されていたのですが、息子自身が母(フローラ)からパリでの生活やジャコメッティとの関係について聞いたことはほとんどなく、それについては比較的最近デビットさんの娘がネットで検索して初めて認識したそう。
元々はフローラはアメリカ出身で裕福な家庭に生まれ、不自由なく育ち、実業家と結婚するも、夫がビジネスに失敗。
彼女は以前から興味のあった芸術の世界に踏み入るもその作品が評価されることはなく、一時期ジャコメッティの恋人に。
パリに渡って以降の後半生の生活は厳しいものだったようです。
デビットさんが母フローラの生涯を淡々と語る中で、ジャコメッティが作ったフローラの頭部彫刻を前に(この作品↓)「まさに母です…」と声を詰まらせ目を潤ませた姿はちょっと切なくなりました。
ところで、気をつけたいのがこの美術館は小さいので予約制で15分ごとに30人限定での入場となります。
館内のアール・デコなインテリア装飾も美しく、
天井吹き抜けガラス張りのメゾネット。
書斎のような部屋は真っ白でモダンでした。
こんな部屋が欲しい…♡な妄想も広がるこれまた素敵な邸宅美術館でした。
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