
Georgia O'Keeffe☆ジョージア・オキーフ展
☆NYブログ☆
Whitney Museum of American Art(ホイットニー美術館)を訪れた日のこと。
(関連記事→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/whitney-museum-of-american-art.html )
K「この人(アーティスト)知ってる?」
夫「知ってるよ、ジョージア・オキーフ。野生動物の骨を描いた作品とか有名だと思うけど。ほら、こういう感じの」
K「へ〜、鹿? 違う、牛だって。タイトルは、Summer Days」
宙に浮いた牛の頭蓋骨と花、ニューメキシコの赤土の山脈と地平線が描かれたその絵はなんともシュールな印象で心に残りました。
と、恥ずかしながら私はホイットニー美術館で初めて知ったそのアーティストは、アメリカのモダニズムを牽引した20世紀の重要作家のひとりとされるGeorgia O'Keeffe(ジョージア・オキーフ)。
なとな〜く興味が湧いたジョージア・オキーフだったのですが、偶然にもMoMA(ニューヨーク近代美術館)で只今『Georgia O'Keeffe :To See Takes Time(ジョージア・オキーフ展)開催中。
というわけで、こちらも鑑賞しました。
とにかく彼について何も知らなかったので、まずはその基本情報からの確認でした。
勝手に「彼」と思い込んでいたのですが、ジョージア・オキーフは、1887年にウィスコンシン州サン・プレーリー近くの農家に7人兄弟の2番目、長女として生まれた人でした。
早くから芸術における才能を発揮し、10歳の頃には画家になることを決意したとか。
その決意は確かに早いとは思うけれど、芸術的な才能はかなり早く見えるのも確か。
以前何かの本で読んだのですが、芸術的天分の中でも一般的にもっとも早くその才能の有無が見えるのが絵を描くという才能。その次が音楽的才能、長じて小学校高学年ぐらいから文学的才能が発揮されると。
さて本展は、かつてオキーフが書いた“To see takes time「見るには時間がかかる」をタイトルに掲げた展覧会。
花の絵で最もよく知られるオキーフ(1887〜1986年) の木炭、鉛筆、水彩、パステルなどさまざまな手法で40年以上描き溜められた作品の数々、普段個別に見ることの多い作品を原画も合わせ一堂に集め、作家の制作手法を垣間見ることができるというもの。
その長いキャリアの中で、観察と抽象の間にあるモチーフを発展させ、繰り返し変化させながら、同じ主題を再考し、作り直したことがよく伝わる展示でした。
ざっくりとオキーフのクロノロジーを確認しながらの鑑賞。
8歳でシカゴ美術館付属美術学校に入学すると成績は常にトップクラス、その後ニューヨークのマンハッタンにあるアート・スチューデンツ・リーグに入学し、そこでも油絵で学内賞をとるほど成績優等生。
が、しかし健康や経済的な理由、何かをそっくりそのまま描くリアリズムの画法に疑問を感じ、自らをアーティストとしても見出せず学校をやめ、その後はしばらくプロのイラストレーターとして働き始めます。
転機はヴァージニア大学のアートのサマースクールに参加した際に、画家で講師のアーサー・ウェズリー・ダウに出会い、その新鮮さに衝撃を受け、それが作家人生を大きく変えるきっかけに。
ダウのスタイルは、当時パリの美術界でブームとなっていた日本美術、日本画の濃淡表現を実践したもので、オキーフもそれを学び、それまでの伝統的な写実表現から抽象表現へと傾倒していきます。
1912年から14年間は、コロンビア・カレッジや西テキサスA&M大学で美術教師として働きながら、その時期に抽象絵画を発表。
1916年にニューヨーク市の前衛的なギャラリー291にてグループ展、1917年には個展開催。
ギャラリー291のオーナーであった写真家アルフレッド・スティーグリッツに出会い、結婚。
スティーグリッツはオキーフ作品の展示やプロモート活動を行い積極的にオキーフをサポート。
花、葉、岩などをモチーフにした作品を制作し始める。
1920年代終わりにはモダニズム作家の代表格として評価され、ニューヨークの高層ビルや花を描いた作品が支持されました。
1929年に初めてニューメキシコを訪れて以来、幾度と訪れる中で、ネイティヴアメリカンやヒスパニック文化に感銘を受け、スティーグリッツとの死別後、1949年には完全移住。
62歳から1986年に亡くなるまでの約40年間を荒野のゴーストランチの家と緑豊かななアビキューの2つの家で過ごしたそう。
やや駆け足気味での鑑賞でしたが、私にとっては知らなかった画家、作品を知る良い機会となりました。
ただちょっと残念ながら本展では代表作と言われる動物の骨や花の絵が少なめでした。
花弁を拡大した作品をたくさん描いたオキーフですが、一般的にそれは女性器を象徴していると指摘されています。
しかしオキーフ自身は花を描くことの意図について一貫して何も語らず。
当時はまだまだ男性中心主義の美術界だったでしょうし、それを思うとジェンダー格差に挑戦しながらの制作であり、美術界だけでなく、女性社会史的にも重要作家だったことを少し知ることができたジョージア・オキーフ展でした。
*****おまけのTYO*****
ご近所ビオスーパーで買った『弁天堂』のロールケーキ。
スーパーで買えるというお手軽感も良く、すっかりお気に入り。
クリーム控えめ、素朴に優しい生地の美味しさを楽しむ系ロール♡
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