
パリから古都奈良の祈り☆
とても久しぶりに訪れたのは、パリ16区にあるMusée Guimet(ギメ東洋美術館)。
この美術館の常設展の中では特にカンボジアコーナーが好きで、5年前の特別展で更に魅了され、
(その時のブログ→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/post-114.html)
そして実現したカンボジア旅行。アンコールワットにはもう一度訪れたいと願ってます!
(2016年カンボジアブログ→https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/post-501.html)
さて、今回の目的は日仏友好160周年を記念してフランス国内で開催されている大規模な日本文化紹介事業「ジャポニスム2018」の公式企画の一つ「古都奈良の祈り」展を鑑賞するため。
東京から奈良へ行くより、パリの自宅から簡単に徒歩で来ることができるギメ美術館で日本の国宝、重要文化財を鑑賞できるとは、なんてありがたい!またとないチャンス!と出かけた次第。
展示作品は、「興福寺」所蔵の「木造 地蔵菩薩立像」(重要文化財)と「木造 金剛力士立像(阿形・吽形)」(国宝)。
ちょっと薄暗く、天井から柔らかく日差しが入る吹き抜け天井の円形スペースの図書館、書庫のような場所に3体が並んで展示された姿は圧巻。
厳か。
ここにいるだけでどんどん心が静まってゆく…。
コテコテの日本人な私には西洋美術のキリスト教に関わる彫刻などはそれはそれで感心、感激はするのですが、日本の仏像と対峙した時は気持ちの奥に迫って来るもの、死生観や世界観が長く深く沁みてくるようで、ずっと観てても飽きません。
老後の楽しみは奈良の仏像めぐり&写経。
って、、話が逸れそうなので本展に戻しますと、まずは「地蔵菩薩立像」。
パンフレットによると9世紀(平安時代)の作品で仏教が標榜する「慈悲と智慧」の特に慈悲を行する菩薩。
その誓願は「代受苦」(だいじゅく)。
私達は人生において様々な苦しみに翻弄されるけれど、地蔵菩薩はその苦厄を私達に代わって受け、苦しみの軽減をもたらす菩薩として信仰されているもの。
苦しみを代わって受けてくれるなんて…。
でもどこまでも表情も体全体からのオーラも柔らかく、優しい。
その「地蔵菩薩立像」の両脇には阿形(あぎょう)と吽形(うんぎょう)で一対の「金剛力士立像」。
一般的には仏教寺院の門に仏法守護の役割で置かれているもので、「仁王」または「力士」と呼ばれ親しまれている武神像。
この作品は何時代でしょう?は社会科・歴史の問題にありがち〜。
力強さと写実性を見れば一目瞭然、鎌倉時代(13世紀)☆
口を大きく開けた「阿形」、
口を固く結ぶ「吽形」。
(その目ヂカラに圧倒されてちょっとブレてしまった…)
阿吽の呼吸に合わせた躍動感と迫りくる気迫、筋骨隆々の姿はどこまでも力強く、逞しく、格好いい。
それぞれが反対方向に腰をひねり、その動きで翻る衣服の裾はシンメトリーの演出もとてもドラマチック。
阿形は「動」を表現しているのに対し、
吽形は「静」を表現しているそう。
どちらも一つ一つの筋肉がとてもリアルに美しく、こめかみや腕、ふくらはぎに浮き出た血管から緊張感も伝わってきました。
こういった仏像に対面するのも久しぶりでしたが、鑑賞後はなんとも言えないスッキリした気持ちになり、良いものを見せていただいた!という満たされた気持ちになりました。
*「古都奈良の祈り」展は2019年3月18日まで
ARCHIVE
MONTHLY